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てんかんがある子どもと家族への影響とは?新型コロナウイルス感染症が与える診療と生活への影響調査レポート

ノックオンザドア株式会社
てんかん患者・家族とつくるプラットフォーム「nanacara(ナナカラ)」独自調査

てんかん患者と家族、専門医で構成する「SAChi(サチ)プロジェクト」と、てんかん患者・家族向けプラットフォーム「nanacara(ナナカラ)」を開発・運営するノックオンザドア株式会社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による、てんかん患児と家庭の診療や生活への影響に関する調査を実施しました。 調査では、多くの家庭で普段の診療や、生活の中で影響が出ていることがわかり、診療においては遠隔診療への移行や要望、生活においては、リハビリ等への影響や患児のストレス、そして今後への不安など心配事が多く聞かれました。 本調査の結果を元に、nanacaraでは、COVID-19と共存する社会において、てんかん患児と家族が安心して暮らせるための「新しい生活様式」への付加情報を医療機関や他支援者と共に公開していきたいと考えています。



【調査概要】
調査実施時期:2020年5月6日(水)~12日(火)
調査方法:nanacara公式Facebook、公式LINE、各患者家族会に向けたメッセージにてWEBフォームを用いてアンケート調査を実施
回答属性・人数:0歳~19歳のてんかん症状のお子さまを持つ20~60代のご家族、205名

7割で診療への影響が出ており、9割の家庭で遠隔診療利用意向あり
てんかんがある子どもや自分が感染した場合の看病への不安も大きく、リハビリ・デイサービスの利用中止や家族含めての外出自粛等生活への影響が大きく出ている



診療への影響:7割の家庭で、てんかん診療に影響。遠隔診療への移行が進行。
Q:COVID-19の流行後、てんかん診療への影響はありましたか?(n=205世帯、複数回答)


 診療への影響について、「特に影響はなかった」と答えた家庭は「30.7%」にとどまり、約7割の家庭で影響が出ていることがわかりました。内容として最も回答が多かったのは「受診の間隔をあけた 28.3%」となり、その他にも「通院の延期 14.1%」「検査の延期 8.8%」など、本来医療機関にかかるべき内容が受けられていない状況がわかります。その中で2位に「遠隔診療に変更になった 22.0%」があり、遠隔診療が活用され始めていることがうかがえます。自由記述では「入院中のこどもに面会できなくなった」という声も複数あり、子ども・家族ともにストレスがかかる状態であることがうかがえます。

【大阪市立総合医療センター 小児神経内科医のコメント】
7割の方が診療に影響が出た結果には、影響の大きさを感じました。「通院や検査が延期になった」「救急受診がしづらくなった」方は予想よりも多く、子どもの病状と家族の不安ともに心配されます。また、多くはないとはいえ、9名(4.4%)で主治医のいる病院に救急受診できなくなっていたこと、「検査入院」や「外科手術」が延期になった子どもがいたことは、病状への影響が懸念され大きな課題と考えました。また、基本情報の回答にもある通り、2割の方で発作が悪化したという結果もみられており、今後影響が続くことによる悪影響が心配されます。


■遠隔診療の利用意向:9割の家庭が遠隔診療の利用意向あり、自由記述では遠隔診療の際の不安の声も
Q:てんかんの診療に遠隔診療を利用したいと思いますか?(n=205世帯、複数回答)



 遠隔診療について「利用したいと思わない」と答えた家庭は「9.8%」で、約9割の家庭は遠隔診療について利用意向を示していることがわかりました。約3割の家庭で既に遠隔診療を受診済み、予定があると回答しており、約6割が、「今後遠隔診療を利用したい」と回答しています。てんかん診療において、セカンドオピニオンでの需要も見られ、15.6%の家庭が「セカンドオピニオンで利用したい」と回答されています。遠隔診療を依頼し断られたケースは「2.9%」と低い結果となりました。自由記述では「遠隔診療では検査が行えず不安」や「診療の後に、物品を取りにいかなければならず難しい」等の声があがっていました。


【大阪市立総合医療センター 小児神経内科医のコメント】
てんかん診療への影響を緩和する手段の1つに遠隔診療があります。政府もオンライン診療の活用を述べています。しかし、COVID-19流行下での急な施行のため、電話回線、ネット環境等インフラ整備の問題や、病院・薬局・家庭間の連携が円滑に行えない等、多数課題が出てきています。病院でのリソースに限りもあり、患者全員に提供をすることが難しいという現実もあります。
その中でも、基礎疾患が重く、感染症にかかると重篤になる患児が優先的に遠隔診療を受けられるようにする等、工夫が必要と感じています。
遠隔診療は、「情報インフラの整備」「症状の見落とし」「プライバシー保護」「検査ができない」等、COVID-19流行前から上がっていた課題もあり、その点において、nanacaraのような普段のてんかん発作の記録等症状に関するデータの活用等を行うことで、今後のCOVID-19と共存する社会では、遠隔診療を有効に活用できるものと考えています。


■生活への影響:障がいを持つ子どものストレス、リハビリ等、発達への影響を懸念
Q:新型コロナウイルス(COVID19)の流行後、生活への影響はありましたか?(n=205世帯、複数回答)


 生活への影響は「外出しにくい 57.6%」が1位となりました。自由記述でも「感染で重症化する懸念があり、家族全員外出せずに過ごしている」等もあり、一般家庭よりも外出自粛への意識は高くなっていることがうかがえます。2位は「家族が家にいて、仕事・家事に支障が出た 55.6%」となり、普段よりも他家族の対応に時間を取られている様子も見受けられます。3位は「デイサービス等への通所を控えた 43.4%」であり、5位の「病院への受診を控えた」よりも9.3ポイントほど高く、てんかんがある子どもの家族が大きな不自由を受け入れながら感染防止に最大限の注意をはらっていた様子がうかがえます。


【大阪市立総合医療センター 小児神経内科医のコメント】
医療面と同じくらい子どもと家族の生活が大切であることは言うまでもありません。しかし、学校の休校とデイサービスの自粛の影響で、子ども達(きょうだいも含む)が常に自宅にいるため、「仕事・家事ができない」が過半数で見られていました。
回答は大多数が母親でしたが、学校や福祉サービスが対応している時間の必然性が伺われました。
また、心理的不安として「自分が感染した場合の子どもの世話」への懸念が約84%と高く、学校やデイケアが使えない時の代替手段を考える事や、支援校・児童デイサービスへ通うことの意義を関係者が再認識することが必要だと考えます。身体障がいがある子どもでは、リハビリに通えないことにより、体が動かせなくなる不安もあります。代替として、「訪問看護・訪問(在宅)リハビリテーション」を、一定期間利用できる可能性があります。病院の患者(在宅)支援部門や、訪問看護ステーション(リハビリ記載のある)へ問い合わせてみると良いでしょう。ただし、小児対応可能な事業所は以前よりも増えているとはいえ、限られているので、必ずしも利用できるとは限りません。その際は、在宅でご家族の支援により、リハビリに代わる活動が行えるよう、各種療法士等によるサポートが必要だと考えます。

■家族の心理的負担:自分や子どもが感染した場合の看護・介護についての不安が多数
Q:新型コロナウイルス(COVID19)の流行後、あなた(家族)の心理的な負担について教えてください(n=204世帯、複数回答)




 心理的な負担について上位10位までの結果をまとめた。8割を超える家庭が、自分が感染した場合の子ども(患児)の世話に関する不安を抱いており、2位(72.2%)も子どもが感染した場合に自分がどこまで付き添えるのかを不安視する回答となった。総じて、コロナ感染症自体への不安というよりも、新型コロナウイルス(COVID19)が与える子どもの症状や治療への影響、そしてそれによる生活への影響がどのようなものかという情報が不足することへの不安が多い結果となった。その他の回答では「外出自粛で子ども(患児)の体重増加による健康状態への不安 10.2%」、「てんかんに関する相談相手と会えなくなり不安 8.3%」等の回答があった。


■その他:自粛解除後の生活に対して、様々な不安が多く残っている
Q:新型コロナウイルス(COVID19)の流行により、感じられたことや困られている事があればお聞かせください(n=143、自由回答)


 自由記述式に対して143件の回答が得られた。それらを分類した結果、最も多い分類としては「てんかん診療やその体制に関わること」で22.4%、次に多かったのは「園・学校・福祉施設に関すること」の21.7%、3位には「家庭への影響」19.6%と続いた。これら上位の中でも多かったのは「登園・投稿に関する不安」で「自粛解除となったとしても、通わせて良いのか?」「子どもの発達・ストレス緩和を考えると通わせたいが」等、預け先の施設再開による期待と感染リスクへの不安への葛藤の声が多く聞かれました。



【大阪市立総合医療センター 小児神経内科医師のコメント】
これからの課題となる、ウイルスとの共存、つまりは政府の示す「新しい生活様式」について、全世界で模索が始まっています。しかし、このような基礎疾患がある子どもと家族に向けた情報は注目されにくく、後手に回ってしまうことが予測されます。今回のアンケート結果がその中に一石を投じられることを期待しています。COVID-19が与える子どもの症状や治療、それによる生活への影響など、情報が不足することへの不安が多いことが読み取れ、少しずつでも正確で安心できる情報を発信していくべきだと考えます。


■nanacara特設サイト「COVID-19と子どものてんかん」を開設
 今回の調査結果及び、てんかん専門医である大阪市立総合医療センター 小児神経内科医師のコメントを受け、SAChiプロジェクトとノックオンザドアはてんかんのお子さまを持つご家族向けのCOVID-19に関する情報ページを大阪市立総合医療センター 小児神経内科医師監修のもと6/5(金)より開設します。

<WEBサイト>https://knockonthedoor.jp/covid19/

<nanacaraアプリから>※6月中に開設予定
nanacaraアプリ→設定画面→お知らせ
iPhoneの方:AppStore(https://apps.apple.com/jp/app/id1475500805?mt=8
Androidの方:Google Play(https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.knockonthedoor.healthcare.kids&hl=ja
※nanacaraアプリについて:https://knockonthedoor.jp/
少しでも、てんかんのお子さまとご家族が安心して暮らせるよう、お役に立てると幸いです。


【大阪市立総合医療センター 小児神経内科 医師のコメント】
てんかんとCOVID-19感染についての情報が少しずつ出てきたものの、COVID-19流行下の生活による、てんかんがある子どもと家族への影響に関する調査や情報は出ておらず、本報告はとても貴重であると考えています。
我々医療従事者も、そして行政の方や、その他関わる支援者の方々にもぜひこの結果に目を通して頂き、必要な支援を考える上での参考にしていただけたらと思います。「新しい生活様式」について、行政の強いバックアップを期待し、現場では医療従事者と(子どもと)家族が情報伝達をスムーズに行い、連携することで「COVID-19感染第二波に注意しながら、十分な診療を継続し、前向きな生活が送れる」ことを目指すべきと考えており、我々は少しでもお役に立てればと思っております。

nanacara医学監修/大阪市立総合医療センター 岡崎 伸/九鬼 一郎

【患者家族のコメント】
今回の調査は新型コロナウイルスによる患者と家族への影響がいかに大きかったかを改めて知る機会となりました。また多数の回答をいただいたにも関わらず「患児が感染した」「自分や家族が感染した」というご報告はなく、てんかん患児の家族がどれほど感染防止に心を砕いたのかが伺える結果でもありました。
現在は緊急事態宣言も解除されていますが、第二波第三波の到来、そして今後起きうるであろう自然災害や新しい感染症の流行などに備えるため、今回各家庭で見えた課題を洗い出し、どう乗り越えていくかを子どもに関わる主治医や教育関係者と家族で話し合い整理しておくことが大切だと感じました。また行政や各医療機関においては、MEIS(医療的ケア児等診療情報共有サービス)の一刻も早い実用化と内容の充実を図ると共に、医療を日常的に必要とする慢性疾患の患者と急性期の患者を災害時にどうケアし包括していくのかを検討し、具体案を周知してくださるよう願います。
今回貴重なご意見を寄せてくださった205家族のみなさま、そして日々子ども達のために共に考え寄り添ってくださる全てのみなさまに、心から御礼申し上げます。今回の調査結果をもとに、各学会や行政への働きかけを行うと共に、既存の情報やサービスの精査共有を行い、私たちでみなさんに提供できる機能やサービスについても改めて検討・実行していきます。

SAChiプロジェクト 本田香織(てんかん患児の母)

■さいごに
 nanacaraでは、今後もご家族の声を聴きながら、共にできることを検討していまいります。COVID-19の収束は勿論のこと、てんかん症状を持つ方とそのご家族が安心して生活ができる毎日が一日も早く訪れるよう、願っております。

■問い合わせ先
ノックオンザドア株式会社(担当:林)
電話番号:03-6820-0931
メールアドレス:info@knockonthedoor.jp
URL:http://www.knockonthedoor.jp

Sachi Project 事務局(担当:本田)
電話番号:080-8507-3747
メールアドレス:honda@sachi-project.org
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