美容・健康

日本メナード化粧品とファスマック、肌あれと皮膚常在菌の関係を解析

日本メナード化粧品 総合研究所
肌のpHを5.5以下にすることで皮膚常在菌のバランスが整い、肌あれを防ぐ

日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、株式会社ファスマック(神奈川県厚木市緑ヶ丘5-1-3、代表取締役社長:布藤 聡)との共同研究で、皮膚常在菌と肌性状との関係を調査しました。すこやかな肌のpHは弱酸性(pH約4.5~6.0)といわれますが、今回の結果から、その中でもpH5.5以下の肌ではアクネ菌の割合が少なく、このことが肌あれ防止につながると考えられました。さらに、研究を進め、皮膚常在菌のバランスを整える最適なpHの範囲があることもわかってきました。今後、本研究成果を肌あれ対策化粧品の開発に活かしていきます。


私たちの肌には多くの常在菌が存在し(皮膚常在菌)、肌状態に影響を与えます。本共同研究では、皮膚常在菌と肌あれとの関係を明らかにするため、皮膚常在菌叢※1の解析および肌あれ指標である経皮水分蒸散量(TEWL※2)を含む肌性状の測定を行い、その関係を調査しました。なお、皮膚常在菌叢のバランスは微生物遺伝子を網羅的に解析できる次世代シーケンサーという技術を用いて解析しました。


その結果、顔の肌において、皮膚常在細菌叢に占めるアクネ菌の割合が少ない肌(40%以下)およびpH が低い肌(pH5.5以下)ではTEWLが低く維持されていました。さらに、肌のpH が低下するとアクネ菌の割合が減少することも明らかになりました。すこやかな肌のpHは弱酸性(pH約4.5~6.0)といわれますが、その中でもpHを5.5より低く維持することでアクネ菌が少ない皮膚常在菌バランスになり、肌あれ予防につながると考えられました。

また、今回、皮膚常在菌叢に占めるアクネ菌の割合は、表皮ブドウ球菌の割合および細菌の多様性と関連していることも見出しました。さらに研究を進め、皮膚常在菌バランスを整える最適なpHの範囲があることもわかってきました。今後、肌あれを効果的に防ぐアプローチに応用していきます。

なお、本研究成果の一部は、皮膚科学分野の英文誌 International Journal of Cosmetic Science に掲載されました。

※1 細菌、真菌などを含む、肌に生息する微生物の集まり。
※2 trans-epidermal water loss 肌表面から蒸散する水分量。値が高いほど水分が蒸散しやすく、バリア機能が低いことを示す。肌あれ状態ではバリア機能が低下していることから、今回、TEWLを肌あれの指標とした。


<参考資料>
1.肌の菌叢解析
健常人 30 名(女性15名、男性15名:24~48歳)を対象とし、ひたい及びほほから、綿棒を用いた拭き取り法によって、夏と冬の2回サンプリングを行いました。菌叢解析は、微生物遺伝子を網羅的に解析できる次世代シーケンサーという技術を用いて実施しました。
その結果、細菌について、性別、部位、季節に関わらず、アクネ菌が最も優勢であり、次いで表皮ブドウ球菌が多く生息していました。
図1 皮膚常在菌の菌叢解析結果


2.顔における肌あれとアクネ菌、pHの関係
1.と同じ被験者の顔(ひたい及びほほ)において、肌あれ指標である経皮水分蒸散量(TEWL)とアクネ菌、pHとの関係を解析したところ、TEWLが高い肌(15以上)では、皮膚常在菌叢に占めるアクネ菌の割合は40%以上、pHは5.5以上と、どちらも高い値を示していました。一方、アクネ菌の割合が少ない肌(40%以下)およびpHの低い肌(5.5以下)ではTEWLが低く維持されていました(図2)。このことから、アクネ菌の割合を少なく抑えること、pHを低く維持することで、肌あれがおきにくくなると考えられました。
図2 TEWLとアクネ菌の割合、pHの関係

また、アクネ菌とpHの関係を解析したところ、pHが高くなると、アクネ菌の割合も多くなることを見出しました(図3)。このことから、肌のpHを低く維持することがアクネ菌の割合を少なく抑えることにつながると考えられます。さらに、皮膚常在菌のバランスを整える最適なpHの範囲があることもわかってきています。今後、皮膚常在菌とpHの関係に着目した肌あれ対応化粧品の開発に活かしていきます。
図3 アクネ菌の割合とpHの関係


3.顔における皮膚常在菌叢のバランス
皮膚常在菌叢に占めるアクネ菌の割合と、他の菌との関係について解析を行いました。その結果、アクネ菌の割合が少なくなると表皮ブドウ球菌の割合が多くなるという結果が得られました(図4)。また、アクネ菌の割合が多くなると細菌の多様性指数(Shannon value※3) が低くなること、表皮ブドウ球菌が多くなると細菌の多様性指数が高くなることが明らかになりました(図5)。つまり、アクネ菌の割合が少ない皮膚常在菌叢のバランスを保つには、表皮ブドウ球菌の割合を増やし、多様性を向上させることが重要だと考えられました。
※3 シャノン多様性指数。菌叢における菌の種類の多さ、構成比率の両方から多様性を評価した指数。
図4 アクネ菌の割合と表皮ブドウ球菌の割合の関係

図5 アクネ菌および表皮ブドウ球菌の割合と皮膚常在細菌の多様性との関係


4.掲載雑誌・タイトル・著者について
雑誌名: International Journal of Cosmetic Science
タイトル: Relationship between skin fungal and bacterial microbiomes and skin pH
掲載アドレス: https://doi.org/10.1111/ics.12842
著者: Narifumi Akaza, Anna Iijima, Shiori Miura, Youichi Yashiro(日本メナード化粧品)
Kazuto Takasaki, Takahiro Matsudaira, Atsuko Usui(株式会社ファスマック)
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