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~歯科健診をより多くの人・企業に~                      日立とライオンが健康診断データを解析歯科健診による従業員のオーラルケア行動変容が生産性向上に寄与する可能性を確認

ライオン株式会社

 ライオン株式会社(代表取締役社長 竹森 征之)は、株式会社日立製作所の日立健康管理センタ(※1)(茨城県日立市)と協働で、企業における歯科健診の導入が従業員の口腔・全身健康に及ぼす影響について、調査研究を実施してきました。これまでに、歯科健診が従業員の口腔健康状態の改善につながるとともに、全身健康にも寄与する可能性を確認し、当社リリースにて報告しています(2023年2月)(※2)。本研究では、人間ドックと歯科健診をともに受診した日立グループ従業員を対象に、問診データからオーラルケア行動と生産性との関連について解析しました。その結果、対象者のうちオーラルケア行動が増加した従業員(※3)は、生産性を評価する指標の一つであるプレゼンティーズム(※4)が有意に改善していることが分かり、歯科健診をキッカケとしたオーラルケア行動変容が従業員の生産性の向上に寄与する可能性が明らかとなりました。本研究の内容は、2023年5月19日(金)~21日(日)に開催された「第72回日本口腔衛生学会学術大会」にて当社と日立健康管理センタが共同で発表しました。

(※1) 日立健康管理センタ:本資料4ページ 参考情報参照
(※2) 日立とライオンが健康診断データを解析 職域における歯科健診の導入が口腔及び全身の健康状態に寄与する可能性を確認
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/8522/20230209_01.pdf
(※3) オーラルケア行動が増加した従業員:1日の平均歯みがき回数、フロス使用率、歯科通院率のいずれかもしくは複数項目が増加した従業員
(※4) プレゼンティーズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤することで、業務効率が低下している状態

■研究の背景
 近年、政府が掲げる「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」のなかで、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討が盛り込まれるなど、歯科口腔保健の推進に向けて、歯科健診に注目が集まっています。しかしながら、現在のところ、成人以降(就労世代)における歯科健診は、塩酸・硫酸などを扱う一部の限定された労働者においてのみ義務化されるにとどまっており(図1)、積極的に歯科健診を取り入れる企業は少ないのが現状です。その理由の一つとして、歯科健診導入による企業側のメリットが分かりにくいことが考えられます。当社では、企業における歯科健診の有用性の明確化に向けて、日立健康管理センタと協働で調査研究を実施し、これまでに、歯科健診を健康診断に導入することで、従業員のオーラルケア行動が増加し、口腔の健康状態が改善することを確認しました。一方で、歯科健診を含む健康経営施策の導入にあたっては、従業員の生産性向上も企業にとって非常に大きなメリットの一つですが、これまでに歯科健診と生産性との関連についての報告はほとんどありませんでした。そこで本研究では、歯科健診と従業員の生産性を評価する指標の一つであるプレゼンティーズムとの関連性について検証しました。

■研究内容
対象者:株式会社日立製作所日立健康管理センタにおける歯科健診受診者
受診期間:2018年4月~2020年3月
対象者数:7,763名(2018年度、2019年度に人間ドック及び歯科健診を実施した者)
歯科健診内容:
・オーラルケア行動に関する問診(1日の歯みがき回数、フロス使用率、歯科通院率など)
・唾液検査(多項目・短時間唾液検査システム ; SMT)
・口腔内カメラによる撮影
解析項目:オーラルケア行動の変化とプレゼンティーズム(WFun)(※5)の関連

(※5) WFun:Work Functioning Impairment Scaleの略。経済産業省が推奨するプレゼンティーズム測定法の一つで、7つの質問票から7-35点で労働機能障害の程度を算出する。点数が高いほど労働機能障害が高いことを示す。WFunは人間ドック内の問診結果より抽出し解析に供した。

■研究結果
オーラルケア行動(1日の歯みがき回数、フロス使用率、歯科通院率)の実践頻度が増加した従業員では、プレゼンティーズムが有意に改善
 これまでの研究より、歯科健診を導入した2016年度から2019年度にかけて、従業員のオーラルケア行動に関する問診データを解析した結果、経年的にオーラルケア行動(1日の歯みがき回数、フロス使用率、歯科通院率)の実施頻度が増加することが明らかとなっています。本研究では、このようなオーラルケア行動の実践頻度の増加とプレゼンティーズムとの関連性を検証すべく、2018年度から2019年度にかけて、オーラルケア行動の実践頻度が増加した群(※6)と不変群、減少した群とのプレゼンティーズムの変化を比較解析しました。その結果、オーラルケア行動が増加した群では、そうでない群と比較して有意にプレゼンティーズムが改善していました(図2)。
また、睡眠や運動などの健康習慣(※7)はプレゼンティーズムとの関連が既に知られているため、これらの影響を考慮した条件においても、オーラルケア行動がプレゼンティーズムと関連するかについて検証しました。プレゼンティーズムを目的変数、オーラルケア行動とその他の健康習慣、年齢、性別を説明変数とした重回帰分析(※8)を実施した結果、従来言われていた通り、睡眠や運動といった健康習慣とプレゼンティーズムとの間に有意な関連を確認でき、それと同時に、これら健康習慣の影響を考慮したうえでもオーラルケア行動の変化はプレゼンティーズムと関連することが明らかとなりました(図3. 偏回帰係数:0.23, p < 0.01)。以上のことから、オーラルケア習慣の改善は、他の健康習慣の改善と同様に、生産性向上に寄与する可能性が示唆されました。

(※6) オーラルケア行動増加群:歯磨き回数、フロス使用頻度、歯科通院頻度のいずれか
もしくは複数項目が増加した群
           不変群:歯磨き回数、フロス使用頻度、歯科通院頻度のいずれも変化しなかった群
           減少群:歯磨き回数、フロス使用頻度、歯科通院頻度のいずれか
もしくは複数項目が減少した群
           また、上記のいずれにも該当しないものは解析より除外した。
(※7) 健康習慣:睡眠時間、残業時間、運動習慣、飲酒量、喫煙習慣
(※8) 重回帰分析:結果(目的変数)を予測するときに、2つ以上の変数(説明変数)との相関関係を数式化
して示す手法


本研究結果について、下記の通り発表しました。

■今後の予定
 当社は、オーラルヘルス領域の基本的考え方に基づく全ての企業活動を「LIONオーラルヘルスイニシアチブ(※9)」として順次展開しております。本研究は、この一環として実施し、今後もお口を起点とした人々の健康増進への貢献を目指してまいります。

(※9) 当社の中長期経営戦略フレーム「Vision2030」実現に向けたオーラルヘルス領域活動の総称
概要は、2022 年 8 月 8 日発表資料(https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/8251/20220808a.pdf

■参考情報
<日立健康管理センタ>
 株式会社日立製作所病院統括本部配下4施設(※10)の1つであり、茨城地区を中心とした事業所の従業員を対象として、人間ドックを実施しています。メタボリックシンドローム改善施策である「はらすまダイエット(※11)」など、従業員の健康増進に積極的に取り組んでいます。

(※10) 4施設:日立総合病院、ひたちなか総合病院、日立健康管理センタ、土浦診療健診センタ
(※11) はらすまダイエット:株式会社ニッセイコムの登録商標

<おくちプラスユー>
 当社では、企業の従業員を始めとした法人向けに、唾液検査やセミナーなどを通じてオーラルケアの習慣づくりを支援するサービスを提供しています。

▼詳細はこちら
法人向けウェルビーイング(健康経営)サポートサービス
『おくちプラスユー』
https://oral-kenkou.lion.co.jp/
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