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2型糖尿病のある人の食物繊維、ビタミン、ミネラル不足の裏には歯の喪失やハグキの問題がかくれている可能性

サンスターグループ
~第66回日本糖尿病学会年次学術集会で発表~

医療法人 南昌江内科クリニック/一般社団法人 南糖尿病臨床研究センターとサンスター株式会社は、共同研究により、クリニック通院中の2型糖尿病のある人を対象に、アンケートを用いて歯の本数、ハグキの状態と食品、栄養素摂取量の関係を調査し、関係性を分析しました。 その結果、2型糖尿病のある人は、歯の本数の減少やハグキの状態の悪化により食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足しやすいことを明らかにし、この研究成果を「2型糖尿病患者における歯数・歯周状態と摂取できる食品・栄養素の関連についての検討」という演題で、第66回日本糖尿病学会年次学術集会(2023年5月11日(木)~5月13日(土)、於:鹿児島)にて発表しました。 この結果から、糖尿病がある人への栄養的サポートの場面では、栄養の偏りの裏にはお口の問題がかくれていることを疑い、食習慣とともに歯の本数やハグキの状態をヒアリングしたうえで、お口の状態を配慮したアドバイスを行うことが重要であると考えられます。


<発表概要>
◆研究の背景・目的
糖尿病の食事療法は、エネルギー摂取量と栄養素構成の適正化が基本とされており、さらに合併症予防の観点で、食物繊維を多く含む食品を摂取することが推奨されています。(糖尿病治療ガイド2022-23, 日本糖尿病学会編)
歯数の減少により、摂取する食品、栄養素の量や多様性に影響があることが多く報告されています。2型糖尿病患者は歯周病の発症・進行リスクが高く、歯を失いやすいことから、口腔機能の低下により適切な食事療法の実行が難しくなっていることが懸念されます。しかしながら、糖尿病患者における口腔状態と、栄養や食品摂取量との関係についてはよくわかっていません。
そこで今回の研究では、2型糖尿病患者の口腔状態と栄養素・食品摂取量の関係を明らかにすることを目的としました。

◆対象者と方法
対象者:15本以上の天然歯を有するクリニックに通院中の2型糖尿病患者104人
デザイン:横断的研究
口腔状態に関する指標:アンケートによる歯の本数、ハグキの状態(大変良い~悪いの4段階)など
食品・栄養素摂取量:簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による1日あたりの粗摂取量算出値
身体指標: HbA1c、BMIなど

◆研究結果
1.歯の本数、ハグキの状態と食品・栄養素摂取量の関係 (Spearman’s ρ )
歯の本数が少ない群では、緑葉野菜、にんじん・かぼちゃの摂取量が少なく、栄養素としては、植物性たんぱく質、カロテン類の摂取量が少ないという関係性が示されました。また、年齢と歯の本数には負の相関がありました。
ハグキの状態が悪いと答えた人ほど、骨ごと食べる魚、にんじん・かぼちゃ、酒類の摂取量が少なく、栄養素としては植物性たんぱく質、K、Ca、Mgなどの灰分、カロテン類、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸)、ビタミンC、総食物繊維※、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の摂取量が少ないという関係性が示されました。
※総食物繊維は水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の両方を含みます

2.歯の本数と食物繊維摂取量の関係について他の因子を考慮した関係性を検討(一般化線形モデル)
糖尿病の食事療法において重視される食物繊維の摂取量について性別や年齢の影響を調整して解析すると、歯の本数が多いほど総食物繊維、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の摂取量が多いという有意な相関が示されました。
さらに、解析対象者を血糖コントロール指標のHbA1c値が7%未満または7%以上で層別化し、歯の本数が24本未満と24本以上の群で性別・年齢調整後の総食物繊維摂取量を比較しました。その結果、HbA1c7%未満の層では、歯の本数による総食物繊維量に差はありませんでしたが、7%以上では、歯の本数が24本未満の群は、24本以上の群と比べて1日の総食物繊維摂取量が有意に低値でした。(図1:左)
同様に、日本における肥満の定義BMI25以上か否かで層別に解析したところ、BMI25未満の層において、歯が24本未満の総食物繊維量が24本以上の群と比べて有意に少ないことが示されました。BMI25以上の層においては、両群ともに低い値で、群間の差はありませんでした。(図1:右)
図1. 歯の本数(24本以上の有無)と総食物繊維量の層別解析
<今後の展望> 
今回の研究では、2型糖尿病のある人において、歯を多く喪失している場合や、ハグキの状態が良くない場合、食物繊維などの栄養素が不足しやすいことが示されました。とくにHbA1cが高めの方や、BMI25以下の肥満でない方は、口腔機能の低下により食物繊維が多く含まれる食品の摂取が困難になっている可能性が示唆されました。
本研究の結果だけでは因果関係はわかりませんが、栄養的サポートの場面では、お口の状態についてヒアリングした上で、お口の状態に応じた食事のアドバイスをすることや、歯科通院によりしっかり噛んで食べられるお口を維持できるようにサポートすることで、糖尿病のある人のQOL改善につながることが期待されます。

●医療法人 南昌江内科クリニックについて
1998年に「患者さんが安心して気持ち良く、治療が長続きできるクリニック」として設立しました。糖尿病と共に生きる患者さんの人生を考え、元気を発信することをモットーとしています。また、日々絶え間なく進歩していく医療技術を、技術の特質をしっかりと噛み砕いて、患者さん個々の体質と人生観にあった最適な医療を提供するように心がけています。
HP: https://www.minami-cl.jp/

●一般社団法人 南糖尿病臨床研究センターについて
クリニック発の新しい知見から新しい治療法を生み出すことを目指して、2019年に設立されました。患者さん、医療スタッフ、大学・企業との連携により、医療情報の整理・解析からリアルワールド由来の新しい知見の発信を行い、患者さんごとに最適化した医療の提供へのフィードバックを目指しています。
HP: https://www.minami-cl.jp/crcd/

●サンスターグループにおける「糖尿病と口腔保健」研究について
サンスターは、「常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する」の社是のもと、オーラルケア製品、化粧品、健康食品などの事業を行っています。また、糖尿病と歯周病の関係性にいち早く着目し、国内外の大学、医療機関と連携して研究、新製品の開発および啓発活動に取り組んできました。今後もお口の健康を起点としながら全身の健康に寄与する情報・サービス・製品をお届けすることで、人々の健康寿命の延伸に寄与することを目指していきます。
HP: https://jp.sunstar.com/
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