医療・医薬・福祉

リムパーザ、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性進行乳がん治療としてEU(欧州連合)における承認を取得

アストラゼネカ株式会社

アストラゼネカとMSDのリムパーザ、OlympiAD第III相試験において化学療法と比較して病勢進行または死亡のリスクを42%低減
EUで承認されたBRCA変異陽性HER2陰性進行乳がんに対する初のPARP阻害剤であり、リムパーザに対する3件目となる承認

本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年4月10日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース、以下「メルク(北米以外ではMSD)」)は、2019年4月10日に欧州委員会により、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性(以下、gBRCA変異)、ヒト上皮成長因子受容体2 (以下、HER2) 陰性局所進行または転移性乳がんの成人患者さんに対する治療薬としてリムパーザが承認を取得したことをお知らせいたします。

この承認により認められる適応対象は、術前・術後補助化学療法、もしくは転移性がんの治療としてアントラサイクリン系およびタキサン系抗悪性腫瘍剤(禁忌でない場合)による化学療法の治療歴がある患者さんです。また、ホルモン受容体(HR)陽性乳がんの患者さんについても、内分泌療法中または内分泌療法の終了後も病勢進行している場合、もしくは内分泌療法が適さないと判断された場合にはリムパーザによる治療の対象となります。*注

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者であるデイヴィド・フレドリクソンは次のように述べています。「今回のリムパーザの承認取得により、この難治性がんと闘う欧州の患者さんに対して、化学療法以外の選択肢として新たに経口分子標的薬を提供することが可能となりました。今回の承認によってBRCAやホルモン受容体、HER2などのバイオマーカーの発現を検出する検査の重要性が高まり、医療従事者が情報に戻づいて患者さんにとって最適な治療を選択するサポートにもなります」。

MSDリサーチラボラトリーズのシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「今回の承認の根拠となったOlympiAD試験において、リムパーザは、化学療法と比較してgBRCA変異を有する転移性乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善しました。この新たな治療選択肢を欧州の患者さんに提供できることうれしく思うとともに、より良い治療アウトカムへの貢献となることを期待しています」。

今回の承認はリムパーザの有効性および安全性を医師の選択した化学療法(カペシタビン、エリブリンあるいはビノレルビン)と比較検討した無作為化、非盲検の第III相試験であるOlympiAD試験のデータに基づいています。無増悪生存期間(PFS)は、化学療法群に比べてリムパーザ群で有意に延長し、優越性が検証されました(ハザード比= 0.58〔95%信頼区間: 0.43~0.80〕、p=0.0009、層別log-rank test)。PFSの中央値は、リムパーザ群7.0ヵ月に対し化学療法群4.2ヵ月となり、リムパーザ群で2.8ヵ月延長されました。リムパーザを服用した患者さんの客観的奏効率(ORR)は、化学療法群で23%、リムパーザ群で52%でした。

リムパーザは今回、欧州において3件目となる適応承認を受けました。アストラゼネカとMSDは、複数のがん種を横断してリムパーザをより多くの患者さんに1日も早くお届けするべく共同開発を進めています。リムパーザにおいては、gBRCA変異を有するHER2陰性乳がん患者さんの術後補助療法として評価するOlympiA試験をはじめ、広範な臨床開発プログラムが進行中です。

以上

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OlympiAD試験について
OlympiAD試験は302例の患者さんを対象とし、リムパーザ錠(300 mg 1日2回投与)の有効性および安全性を医師の選択した化学療法(カペシタビン、エリブリン、またはビノレルビン)と比較検討した無作為化、非盲検、多施設共同第III相試験です。205例の患者さんがリムパーザ群に、97例の患者さんが化学療法群に無作為に割り付けられました。OlympiAD試験に参加した患者さんは生殖細胞系BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異陽性HER2陰性乳がん(ホルモン受容体陽性またはトリプルネガティブ乳がん)を有しており、転移性がんに対しリムパーザの投与を受けました。

試験登録前、すべての患者さんがアントラサイクリン系(禁忌でない場合)、および術前補助療法、術後補助療法または転移がんに対する治療としてタキサン系化学療法を行っています。すべての転移乳がんの患者さん(全体の71%) において、転移乳がんに対する化学療法による前治療は多くとも2次治療までであり、ホルモン受容体陽性乳がんの患者さんにおいては、ホルモン療法が不適切であると考えられる疾患を有していない限り、少なくとも1回のホルモン療法(術後補助療法または転移がんに対する治療)を受け、治療中に病勢進行が見られました。また、術前補助療法、術後補助療法または転移がんに対する治療として、プラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受けた患者さんも参加しています(全体の28%)。

リムパーザを投与された患者さんを対象としたOlympiAD試験における主な副作用(回答率20%以上のもの)は、吐き気(58%)、貧血(40%)、倦怠感(無力症を含む)(37%)、嘔吐(30%)、好中球減少(27%)、気道感染(27%)、白血球減少(25%)、下痢(21%)、頭痛(20%)でした。投与を中止した患者さんの割合は、リムパーザ投与群で5%、化学療法群で8%でした。

進行乳がんについて
進行/転移乳がんとはステージIIIおよびIVの乳がんを指します。ステージIIIは、局所進行乳がんと呼ばれることもあります。また、転移乳がんは乳がんの最も進行した状態(ステージIV)であり、がんが最初に発生した部位である乳房から離れた臓器に転移した時の状態を示しています。現在、治癒できる治療法はなく、症状の進行または死期を遅らせることを目標としています。

2018年には全世界で推定210万人が新たに乳がんと診断されており、これは女性がん患者さんの約1/4 (24.2%)に相当します。ヨーロッパでは、乳がんに5年以上罹患している患者さんは2018年で推定2,054,887人であり1、早期乳がんと診断された女性の約30%が進行がんへと移行します。

BRCAについて
乳がん感受性遺伝子(BRCA1およびBRCA2)は、損傷したDNAの修復に関わるタンパク質を生成するヒト遺伝子であり、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たします。これらの遺伝子のいずれかが変異あるいは変化すると、BRCAタンパクが生成しないまたは正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。その結果、細胞のがん化につながるさらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなります。

リムパーザについて
リムパーザ(オラパリブ)は、ファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA遺伝子変異陽性など、相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞/腫瘍のDNA損傷応答を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害はDNA一本鎖切断に結合するPARPを補足し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のがん種において開発が進行中です。

リムパーザについてはアストラゼネカとMSDによる共同開発、商業化が行われています。また、進行卵巣がんおよび転移乳がんにつき複数の適応で承認され、現在まで全世界で2万人を超える患者さんに使用されています。また2019年2月26日には、リムパーザが第III相POLO試験において、gBRCA変異を有する転移膵臓がんにおける有益性を実証した最初のPARP阻害剤となったことを発表しています。

リムパーザはPARP阻害剤としては最も広範囲かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは本剤が単剤療法として複数のPARP依存性腫瘍に与える影響、および併用療法として複数のがん種に作用するメカニズムを解明するために協働しています。リムパーザはアストラゼネカの業界を主導するがん細胞のDNA損傷応答(DDR)メカニズムを標的とする新薬候補のポートフォリオの基盤となる化合物です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、アストラゼネカとメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース、北米以外ではMSD)は、アストラゼネカの世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがん種における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社はリムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1薬との併用でリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたオンコロジーをアストラゼネカの4つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

*注)リムパーザの本邦における乳がんの効果・効能は「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」です。
また、本邦における効能効果に関連する使用上の注意は以下の通りです。

- 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法の場合
- 再発時の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で奏効が維持されている患者を対象とすること。
- 臨床試験に組み入れられた患者における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法終了後から再発までの期間(PFI)等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
- がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌の場合
- 本剤の術前・術後薬物療法としての有効性及び安全性は確立していない。
- 本剤の投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある患者を対象とすること。
- 承認された体外診断薬等を用いた検査により、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異又は病的変異疑い)を有することが確認された患者に投与すること。

References
1. International Agency for Research on Cancer. Breast-fact-sheet. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/20-Breast-fact-sheet.pdf. Last accessed February 2019
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