医療・医薬・福祉

アストラゼネカのタグリッソ、早期EGFR遺伝子変異陽性肺がんに対する術後補助療法として中枢神経における再発リスクを82%低減

アストラゼネカ株式会社
ESMOにて発表の第III相ADAURA試験データは、これまでに示されてきたタグリッソの中枢神経系転移への臨床活性をより確固たるものに


本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年9月19日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、第III相ADAURA試験において事前に規定していた探索的解析より、タグリッソ(R)(一般名:オシメルチニブ、以下タグリッソ)が、完全切除した早期(病期IB期, II期およびIIIA期)上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんの術後補助療法として中枢神経系(CNS)無病生存期間(DFS)の臨床的に意義のある改善を示した、との良好な結果を発表しました。

NSCLC患者さんのおよそ30%は、治癒を目指した切除手術が可能な早期の肺がんと診断されますが、この早期がんの段階においても術後の再発が多くみられます(1-3)。脳転移といった中枢神経系での再発はEGFRm NSCLCにおいて頻度が高く、これを発症した患者さんの予後は特に不良です(4-5)。

今回の試験結果は、2020年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の年次総会(バーチャル会議)のプレジデンシャルシンポジウムにおいて、9月19日に発表され(abstract #LBA1)、同時に主要な結果がThe New England Journal of Medicine( https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027071 )に掲載されました。

本解析により、術後補助療法による再発または死亡の発現率がタグリッソ投与群においてプラセボ投与群よりも低かったことが示されました (タグリッソ11%対プラセボ46%)。再発患者さんのうち、遠隔臓器に再発が見られた患者さんの割合は、プラセボ投与群の61%に対し、タグリッソ投与群では38%でした。タグリッソは中枢神経系での再発または死亡のリスクを82%低減しました(ハザード比 0.18; 95% 信頼区間 0.10-0.33; p<0.0001)。中枢神経系再発に対する無病生存期間(CNS DFS)は、どちらの投与群においても中央値に未到達です。

また、事後解析において、18カ月の時点での脳での再発の推定確率は、その他の部位での再発を経験しなかった患者さんのうち、プラセボ投与群の9%に対してタグリッソ投与群の患者さんにおいては1%未満でした。主要評価項目である病期II期およびIIIA期の患者さんにおける無病生存期間については、術後補助療法としてのタグリッソは、再発または死亡のリスクを83%低減しました(ハザード比 0.17; 95% 信頼区間 0.12-0.23; p<0.0001)。

日本の国立がん研究センター東病院呼吸器外科長であり、第III相ADAURA試験の治験責任医師である坪井正博医学博士は次のように述べています。「早期EGFR遺伝子変異陽性肺がんの治療は、術後補助化学療法後も依然として再発率が高いため、手術をもって完結するという概念を改める時が来ました。今回のこれらの新たなデータは、タグリッソの顕著な無病生存期間の延長とともに特に脳での再発率の低下を示し、本剤が患者さんの無病生存期間を延長することを明らかにしました」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントJosé Baselgaは次のように述べています。「ひとたび肺がんが脳に転移すると、その予後は患者さんにとって深刻なものとなります。タグリッソは、その血液脳関門を通過することにより、すでに明らかとなっている脳内の病勢進行の治療における有効性を術後補助療法に拡大しています。この特筆すべき新たなデータは、タグリッソが早期がん患者さんにおける脳転移の再発を予防することを示すものであり、本剤がEGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんにとってその予後を改善させる可能性があることを支持するものです。タグリッソは、この転移性肺がんと闘う世界中の患者さんのためにも、この疾患に対する術後補助療法の標準治療となるべきであると考えています」。



本試験におけるタグリッソの安全性および忍容性は転移性EGFRm NSCLCを対象とするこれまでの試験結果と一致していました。治験担当医師の評価において、全ての原因によるグレード3以上の有害事象の発現率はプラセボ投与群の3%に対し、タグリッソ投与群で10%でした。

現在、術後補助療法としてタグリッソが承認されている国はありません。2020年7月( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020080601.html )、タグリッソは、治癒目的の完全切除後の早期EGFRm NSCLC患者さんの術後補助療法として、米国で画期的治療薬指定(BTD)を取得しました。タグリッソは、局所進行性または転移性EGFRm NSCLCの一次治療薬、および局所進行性または転移性EGFR T790M変異陽性進行NSCLCの治療薬として、米国、日本、中国、EUおよびその他多くの国において承認されています。

以上

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肺がんについて
肺がんは、男女共にがんによる死因の第1位であり、すべてのがんによる死亡の約5分の1を占めています(6)。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大きく分けられ、肺がん患者さんの80~85%がNSCLCと診断されます(7)。NSCLCの全患者さんの大多数は進行がんと診断され、そのうち約25~30%は切除可能と診断されます(1-3)。

切除可能ながん患者さんの多くが、手術(腫瘍の完全切除)および術後補助療法としての化学療法を受けても再発します(8)。また早期の肺がんは、肺がんとは無関係な疾患の画像診断でがんが見つかった際に診断されることが多くあります(9-10)。

欧米ではおよそ10~15%、アジアでは30~40%のNSCLC患者さんがEGFR遺伝子変異を有しています(11-13)。これらの患者さんはがん細胞の成長を促す細胞シグナル伝達経路を阻害するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療への感受性が高くなります(14)。

ADAURA試験について
ADAURA試験は、腫瘍の完全切除および術後補助療法として(術後補助化学療法を伴う症例を含む)病期IB期、II期、IIIA期のEGFRmのNSCLC患者さん682例を対象に、タグリッソの術後補助療法に対する無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第III相試験です。患者さんはタグリッソ80mg錠1日1回経口投与で3年間または再発するまで治療を受けました。

なお、本試験は米国、欧州、南米、アジア、中東の20ヵ国以上、200を超える施設で実施されました。主要評価項目は病期II期およびIIIA期の患者さんにおけるDFSであり、副次評価項目は病期IB期、II期およびIIIA期の患者さんにおけるDFSです。データ解析は当初2022年に予定されていました。本試験では全生存期間の評価を引き続き行います。

タグリッソについて
タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)は第3世代不可逆的EGFR阻害剤であり、中枢神経系転移に対する臨床活性も有しています。現在、タグリッソ40mg錠および80mg錠の1日1回経口投与は、EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCの一次治療、およびEGFR T790M遺伝子変異陽性進行NSCLCの治療薬として米国、日本、中国およびEUを含む多くの国で承認されています。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、さまざまな病期における異なる組織型の肺がん、治療法、作用機序に対して、承認済みおよび後期臨床開発段階の新薬候補を含め、包括的なポートフォリオを有しています。

アストラゼネカは既承認薬イレッサ(R)(ゲフィチニブ)およびタグリッソ(オシメルチニブ)の提供や、現在進行中の第III相試験であるLAURA、NeoADAURA、FLAURA2によって得られる新たなエビデンスを通じて、疾患の遺伝的要因としてのEGFR遺伝子変異を持つ患者さんのアンメットニーズに応えることを目指しています。

当社はまた、タグリッソとc-Met受容体チロシンキナーゼの選択的阻害薬であるサボリチニブ、および他の新薬候補との併用療法を評価する、現在進行中の第II相SAVANNAH試験およびORCHARD試験を通じて、腫瘍の耐性メカニズムを解き明かそうとしています13。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に7つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca (英語のみ)をフォローしてご覧ください。


References
1. Cagle P, et al. Lung Cancer Biomarkers: Present Status and Future Developments. Archives Pathology Lab Med. 2013;137:1191-1198.
2. Le Chevalier T. Adjuvant Chemotherapy for Resectable Non-Small-Cell Lung Cancer: Where is it Going? Ann Oncol. 2010;21:196-8.
3. Datta D, et al. Preoperative Evaluation of Patients Undergoing Lung Resection Surgery. Chest. 2003;123: 2096–2103.
4. Rangachari, et al. Brain Metastasesin Patientswith EGFR-Mutatedor ALK-RearrangedNon-Small-Cell LungCancers. LungCancer. 2015;88,108–111.
5. Ali A, et al. Survival of Patients with Non-small-cell Lung Cancer After a Diagnosis of Brain Metastases. CurrOncol. 2013;20(4):e300-e306.
6. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf Accessed September 2020.
7. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer Accessed September 2020.
8. Pignon et al. Lung Adjuvant Cisplatin Evaluation: A Pooled Analysis by the LACE Collaborative Group. J Clin Oncol 2008;26:3552-3559.9. Sethi S, et al. Incidental Nodule Management – Should There Be a Formal Process?. Journal of Thorac Onc. 2016:8;S494-S497.
10. LUNGevity Foundation. Screening and Early Detection. Available at: https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/screening-early-detection#1. Accessed September 2020.
11. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in 11. Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
12. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
13. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: a Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
14. Cross DA, et al. AZD9291, an Irreversible EGFR TKI, Overcomes T790M-Mediated Resistance to EGFR Inhibitors in Lung Cancer. Cancer Discov. 2014;4(9):1046-1061.


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