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アストラゼネカのリムパーザ、第III相PROfound試験においてBRCA1/2またはATM遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として、死亡リスクを31%低減

アストラゼネカ株式会社
リムパーザは転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんにおいて全生存期間を延長した唯一のPARP阻害剤


本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年9月20日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、9月20日、第III相PROfound試験の最終結果において、アストラゼネカとMSDのリムパーザ(R)(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)が、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんで、相同組換え修復関連(HRR)遺伝子変異のうち、BRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異陽性の患者さんを対象として、エンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステル(アビラテロン)と比較して、全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したことを発表しました。

PROfound試験は、前治療として新規ホルモン製剤であるエンザルタミドまたはアビラテロンの投与中に、病勢進行が認められた患者さんを対象に実施しました。前立腺がんは男性において2番目に罹患率が高いがんであり、2018年には世界中で推定130万人が新たに前立腺がんと診断されました(1)。HRR遺伝子変異は、mCRPC患者さんの約20~30%に発現しています(2)。

主要な副次評価項目であるOSで、リムパーザは、エンザルタミドまたはアビラテロンと比較して、死亡リスクを31%低減しました(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.50~0.97、p=0.0175)。エンザルタミドまたはアビラテロン投与群の患者さんの66%が、病勢進行後にリムパーザをクロスオーバーして投与されていたにも関わらず、OSの中央値はエンザルタミドまたはアビラテロン投与群では14.7カ月であったのに対し、リムパーザ投与群では19.1カ月でした。

HRR遺伝子(BRCA1/2、ATM、CDK12およびその他11のHRR遺伝子)変異を有する全患者さんを含めた集団を対象に行った探索的解析でも、エンザルタミドまたはアビラテロン投与群と比較して、リムパーザ投与群で死亡リスクが21%低減し、OSの延長傾向を示しました(HR:0.79、95%CI:0.61~1.03)。OSの中央値は、エンザルタミドまたはアビラテロン投与群では14.0カ月であったのに対し、リムパーザ投与群では17.3カ月でした。

PROfound試験の治験責任医師の一人で、The Institute for Cancer Researchの医薬品開発部門および王立マースデン病院の責任者であるJohann de Bono氏は次のように述べています。「PROfound試験においてリムパーザは複数の主要な評価項目で統計学的に有意で臨床的に意義のある有効性を示しており、OSの最終結果から、mCRPC患者さんの標準治療が変わる可能性がより強固なものとなりました。PROfound試験の結果によって、リムパーザが今後、これまで予後が不良で治療選択肢がほとんどなかった患者さん方に、分子レベルを標的とする治療として、プレシジョン・メディシンという新たな時代の薬剤として、前立腺がんの治療において重要な役割を担う可能性があることを示しています」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「今回得られた最終結果により、これまで生存期間延長を達成するのが非常に困難だった特定のmCRPC患者さんの治療状況を変える可能性があります。リムパーザは、BRCAまたはATM遺伝子変異陽性の患者さんにおいてエンザルタミドまたはアビラテロンと比較して、生存期間の延長を示した唯一のPARP阻害剤です。引き続き、世界中の患者さんにリムパーザをお届けしていきたいと願っています」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「PROfound試験は、特定のmCRPC患者さんにおける治療選択肢を同定するために、分子バイオマーカー検査を用いて良好な結果が得られた最初の第III相試験です。これらの結果は、高リスクの患者さんを特定するとともに、医師が治療選択を判断するための、HRR遺伝子変異に対する遺伝子検査の重要性を裏付けるものです。これらの結果は、特定のHRR遺伝子変異を有するmCRPC患者さんにおけるリムパーザの潜在的価値を示しています」。

PROfound試験のOSの最終結果は、2020年欧州臨床腫瘍学会の年次総会プレジデンシャルシンポジウムにおいて、9月20日(日)にバーチャル会議で発表され、同時にThe New England Journal of Medicine( https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2022485 )にも掲載されました。



リムパーザ投与群全体で発現率が20%以上の有害事象は、貧血(50%)、悪心(43%)、疲労/無力症(42%)、食欲減退(31%)、下痢(21%)および嘔吐(20%)でした。CTCAEグレード3以上で発現率が高かった有害事象は、貧血(23%)、悪心(2%)、疲労/無力症(3%)、食欲減退(2%)および下痢(1%)でした。リムパーザ投与群の患者さんの20%が有害事象により投与を中止しました。

第III相PROfound試験では、リムパーザがBRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異陽性の患者集団において、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の有意な延長を示し、2019年8月に、主要評価項目を達成しました( https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2019/2019081902.html )。また、本試験では主要な副次的評価項目である全HRR遺伝子変異を有する患者集団におけるrPFSの統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長も達成しており、これは2020年5月の米国による承認( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020052701.html )の根拠となっています。EUやその他の国においても規制当局による審査が進行中です。

アストラゼネカとMSDは、リムパーザとアビラテロンとの併用療法を、mCRPCの1次治療として、アビラテロン単剤療法と比較して評価するために実施中の第III相PROpel試験など、転移性前立腺がんに関する臨床試験を今後も実施していきます。同試験のデータは、2021年に解析を予定しています。

以上

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転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
前立腺がんは高い死亡率を伴うがんです(1)。前立腺がんの発症は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます(3)。男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます(3)。進行前立腺がん患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています(3)。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます(4)。mCRPCに対する治療選択肢は増えてきていますが、依然として5年生存率は低く、これらの患者さんの治療において生存期間を延長させることが、引き続き主要な治療目標となっています(4)。

相同組換え修復関連(HRR)遺伝子変異について
正常細胞において、HRR遺伝子はDNAの損傷の正確な修復に関与しています(5,6)。HRRが欠損するとDNAの損傷が修復されず、正常細胞の死をもたらします(6)。しかし、がん細胞においてはこれとは異なり、HRR経路の変異が異常な細胞を増殖させ、がんを引き起こします(6)。HRRの欠損は、リムパーザなどのPARP阻害剤の標的となるがん細胞の特徴として立証されています。PARP阻害剤はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォークの停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を引き起こしがん細胞死を誘導します(6)。

PROfound試験について
PROfound試験は前向きな無作為化非盲検多施設共同第III相試験で、新規ホルモン製剤治療薬であるアビラテロンまたはエンザルタミドとの比較において、リムパーザの有効性と安全性を評価する試験です。本試験は、新規ホルモン製剤による治療歴のある進行がんで、かつBRCA1/2、ATM、またはその他12のHRR遺伝子のいずれかに変異が見られるmCRPC患者さんを対象に実施しました。

この試験は、HRR遺伝子変異陽性を有する患者さんを2つのコホートに振り分けて組み入れ、解析するよう設計されました。主要評価項目はBRCA1/2またはATM遺伝子変異を有する患者さんのrPFSであり、リムパーザが臨床的効果を示した場合、副次的な解析対象集団として、HRR遺伝子変異(BRCA1/2、ATM、CDK12およびその他11のHRR遺伝子)を有する全患者さんを含めた集団も対象に解析を実施しました。

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法として、現在EU諸国を含む多くの国で承認されており、白金製剤ベースの化学療法に奏効後のBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としても米国、EU、日本、中国およびその他数カ国において承認されています。米国においては、相同組換え修復機能不全陽性進行卵巣がん患者さんに対するベバシズマブとの併用療法が初回治療後の維持療法としても承認されました。また、化学療法による治療歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、日本を含む多くの国において承認されており、EUにおいては、局所進行乳がんも含まれます。さらに、米国およびその他数カ国においては、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんの初回治療後の維持療法としても承認されています。また、米国においては、HRR遺伝子変異を有するmCRPCの治療薬として承認されました。加えて、卵巣がん、乳がん、膵がんおよび前立腺がんに関する薬事承認審査が他の国において進行中です。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、全世界で3万人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および他の薬剤との併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザはDDRを標的とした新薬であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保有しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも7つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、注力する肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんを成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca (英語のみ)をフォローしてご覧ください。


References
1. Bray et al. (2018). Global cancer statistics 2018: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA: A Cancer Journal for Clinicians, 68(6), pp.394-424.
2. Mateo, J, et al (2015). DNA-repair defects and olaparib in metastatic prostate cancer. New England Journal of Medicine, 373(18), pp.1697 - 1708.
3. Cancer.Net. (2019). Treatment of metastatic castration-resistant prostate cancer.
www.cancer.net/research-and-advocacy/asco-care-and-treatment-recommendations-patients/treatment-metastatic-castration-resistant-prostate-cancer [Last Accessed: September 2020].
4. Kirby, M. (2011). Characterising the castration-resistant prostate cancer population: a systematic review. International Journal of Clinical Practice, 65(11), pp.1180-1192.
5. Li et al. (2008). Homologous recombination in DNA repair and DNA damage tolerance. Cell Research, 18(1), pp.99-113.
6. Ledermann et al. (2016). Homologous recombination deficiency and ovarian cancer. European Journal of Cancer, 60, pp.49-58.

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