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順天堂大学が外国人診療に役立つ「やさしい日本語」を医学部の授業で初実施

学校法人 順天堂
診療場面で活かすことを目指し、外国人模擬患者役の留学生を相手に実習

順天堂大学医学部(学部長:服部信孝)は、2020年9月28日、4年生の学生(137名)を対象に外国人診療の際に役立つ「やさしい日本語」の実習授業を実施しました。医学部生たちが将来、医療現場において活用することを想定し、医学教育の一環として「やさしい日本語」を授業として取り入れるのは、国内の医学部において初めての試み※となります。 ※本学調べ


武田裕子教授による講義の様子
当日は、まず初めに医学教育研究室の武田裕子教授が、国内で「やさしい日本語」が必要とされる背景について説明し、実際に医療の現場で日本語を母語としない方が困る事例などについて紹介しました。その後、学生たちはグループに分かれ、日本語を母語としない外国人患者役の留学生に向けて、診断や治療について説明するロールプレイに取り組みました。「相手の日本語の会話力によって、伝わる言葉もあれば、伝わらない言葉もある」「ジェスチャーが役立った」など、授業の最後には学生同士が実際にロールプレイ実習を通して得た“気づき”を共有し、将来、医師になった時に、診察場面で患者さんとより良いコミュニケーションを取るにはどうするべきかを考えました。

<実施日時>
・2020年9月28日(月)1.13:00~15:00、2.15:00~17:00
※医学部4年生137名を上記1.、2.の2組(1.68名、2.69名)に分けて実施

<授業の目的>
「やさしい日本語」の成り立ちや必要とされるに至った背景を理解し、日本語を母語としない方々が医療機関を受診する際に直面する困難を認識する。留学生とのロールプレイを通して「やさしい日本語」を体験し、伝えるための工夫と共に「相手に合わせる」ことの意味と大切さを理解する。

<授業内容>
【1】「やさしい日本語」についての講義

大震災をきっかけに注目されるようになった「やさしい日本語」が、日本語を母語としない患者診療に役立ち、医療機関で必要とされている背景について、医学部医学教育研究室の武田裕子教授が説明しました。

【2】「やさしい日本語」への言い換え練習
「常用しているお薬はありますか?」「精密検査が必要ですので、まず採血をしましょう」など、医療現場で頻出するフレーズを「やさしい日本語」に置き換える練習をしました。

【3】日本語を母語としない外国人模擬患者とのロールプレイ実習
外国人留学生が模擬患者役となったロールプレイを行いました。学生たちは“捻挫の患者さん”になった留学生に対して「やさしい日本語」で病態や処方の説明に挑戦し、留学生とのやり取りを通して得た“気づき”を発表し合いました。
外国人患者役の留学生とのロールプレイ

「やさしい日本語」とは…
「やさしい日本語」は、難しい言葉を言い換えるなど相手に合わせて分かりやすく伝える日本語のことを言い、阪神淡路大震災で日本語に不慣れな外国人に死傷者の発生率が高かったことから注目されるようになりました。日本語も英語も理解が困難な外国人支援に活用されているほか、高齢者や障がいのある方、子どもたちなど、情報を得ることが難しい方々にも用いられます。現在、行政窓口や生活情報の提供、観光の場面で効果を発揮していますが、医療関係者への認知度はまだ高くありません。法務省による外国人住民調査(2016)でも、日本語を使えると回答した外国人は右のグラフのように8割を超えており、「やさしい日本語」は外国人とのやり取りにおいて広く役立つことが期待されています。本年9月25日に文化庁から発表された調査結果でも、日本に住んでいる外国人に対して半数近い人が『「やさしい日本語」で分かりやすく伝える取り組みが必要』と考えていることが分かりました。


日本に在留する外国人の日本語の会話力

<関連リンク>


日本で暮らす外国人が病院で直面する「言葉の壁」。医療現場で必要とされる「やさしい日本語」とは―?https://prtimes.jp/story/detail/wrVyLdCGmx0


授業を受けた学生の感想
これまで“海外の人にも対応できるように英語を”と言われて学んできた中で、日本語を簡単にして伝えようとする「やさしい日本語」は目から鱗でした。ロールプレイを通して実践してみたことで、人によって理解している言葉と理解していない言葉がバラバラなため、伝わり方にも差があることがわかりました。一人一人の背景や日本語レベルをよく見てコミュニケーションを取ることの大切さを感じました。

外国人患者役を務めた留学生からの声
ロールプレイで学生たちは、言葉を言い換えてくれたり“これはわかる? あれはわかる?”というように尋ねてくれました。わからない時は携帯で実物を示してくれたり、絵をかいたり、ジェスチャーを使ってくれて、回を重ねるごとに私にもわかる言葉を的確に選んでくれるようになりました。外国で一人、母語ではない言葉で医療を受けるのは不安です。そのため、医学部で今回のような教育が行われていることを知ることができて、外国人の一人として安心しました。

武田裕子教授コメント
3年ほど前から、医師や看護師、薬剤師など医療者を対象に「やさしい日本語」を広める活動を行っています。今回初めて医学部の正規授業で教育する機会を持ちましたが、学生たちの柔軟性と発想の豊かさに驚かされました。言い換えに四苦八苦しそうな医療現場の言葉も難なく伝わりやすい短い文章に置き換えていて、SNS文化の影響を感じます。学生たちは、出身国や日本語レベルの異なる留学生を相手に、伝わる言葉は一人ひとり異なると実感できたようです。授業前後のアンケートで、日本語を母語としない方の診療に対する不安が減り、積極的に役立ちたいと考えるようになったことが明らかになりました。英語が苦手だから外国人診療は避けたいと考える医療者が少なくないなか、学生の時に「やさしい日本語」に出会う意義は大きいとあらためて思いました。
武田裕子教授

<関連記事のご紹介>
順天堂大学プレスリリース
■外国人診療に役立つ「やさしい日本語」の動画教材を公開 ~医療者が使えるフレーズを事例別に紹介~(2020.9.25)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20200925-01.html
■医療で用いる「やさしい日本語」-新型コロナウィルス検査編-動画を公開(2020.4.30)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20200430-04.html

順天堂大学特設サイト「CO-CORE」
■社会的処方を身につけ、本当の意味で患者さんに寄り添える医師を育成(武田裕子教授インタビュー)
https://www.juntendo.ac.jp/co-core/education/yuko_takeda.html
■日本で暮らす外国人のための医療関係者向け「やさしい日本語」ワークショップを開催
https://www.juntendo.ac.jp/co-core/education/yasashii-nihongo.html
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