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認知症の画像バイオマーカーとして研究されている海馬体積と、認知能力を計測するデジタルアプリ「CQ test(R)」のスコアの相関を示す論文が「Scientific Reports」に掲載されました

株式会社Splink
ブレインヘルスケア事業を展開する株式会社Splink(本社:東京都千代田区、代表取締役:青山 裕紀、以下「Splink」)が、新潟県厚生連佐渡総合病院と共同で行った、認知能力を計測するSplink社製デジタルアプリであるCQ test(R)(Cognitive Quotient Test)に関する実証研究で、認知症の画像バイオマーカーとして研究されている脳海馬部位の体積とCQ test(R)のスコアの相関性を確認しました。今回の研究成果により、健常者も対象に含めて認知能力の客観的な定量化を行うことができ、初期認知症のスクリーニングにおけるデジタルアプリの一層の活用が期待されます。 なお、今回の研究結果は、2020年10月7日付でネイチャー・リサーチによって刊行されているオンラインの学術ジャーナル「Scientific Reports」に掲載されました(https://www.nature.com/articles/s41598-020-74019-7)。


本研究成果のポイント


本研究では、初期認知症の画像バイオマーカーとして研究されている海馬体積とデジタルアプリであるCQ test(R)のスコアに相関があることを確認した。
MMSE等の既存認知機能検査は認知症診断のカットオフ精度が高いという強みの反面、健常者に対しては天井効果(健常者は満点スコアを取ってしまう)があるという特性を持つ。CQ test(R)は健常者においても海馬体積とスコアに相関が見られた。
本研究によりCQ test(R)は、この天井効果を回避し、従来は定量化・可視化することが難しかった健常人の認知能力も鋭敏に検出できる可能性を示した。
デジタルアプリを利用した認知能力測定の、初期認知症のスクリーニングへの活用が期待される。


■研究の背景と目的
海馬体積はMRIを用いた初期認知症の兆候を示す指標として研究されてきました。海馬体積の減少は、アルツハイマー病患者の80~90%において確認されているほか、軽度認知障害、前頭側頭型認知症、血管性認知症についても報告されています。また、海馬体積が小さいことは、将来のアルツハイマー病のリスクと関連しているとの研究成果があります(※ 「引用文献」参照)。

しかし、MRIを用いた検査には利用可能台数や費用などの制約があるため、MRIを用いた海馬体積指標の有用性を社会において活かすには、健常者にも対応できるスクリーニングテストと組み合わせることが重要です。

本研究では、スクリーニングテストとしてCQ test(R)を採用し、そのスコアとMRIで測定した海馬体積の相関を調査しました。 Splinkが開発したCQ test(R)は、パソコンやタブレットなどのデジタルデバイスで利用できるアプリケーションで、MMSEやMoCAに代表される従来の評価ツールでは天井効果によって捉えられなかった認知症の早期発見を目的としています。

■研究内容と結果
CQ test(R)とMRIによる海馬体積の測定の両方を被験者418人(年齢は59~80歳。女性が53%)に実施し、予測モデルを構築するためのderivation cohort(322名)と、モデル検証のための独立したvalidation cohort(96名)にわけ、測定結果について分析を行いました。その結果、CQ test(R)のスコアはいずれのcohortにおいても海馬体積と相関を示すことを確認しました。

画像1: Validation cohortにおけるCQ test(R)のスコアと海馬体積の相関関係




Model 1(標準化正規分布上のCQ test(R)得点の和): r=0.54 [95%CI 0.38-0.67]
Model 2(多変量線形回帰モデル): r=0.53 [95%CI 0.37-0.66]
Model 3(年齢等も含めた多変量線形回帰モデル):r=0.70 [95%CI 0.62-0.90]

(※ グラフ中の「VC」は「Validation Cohort」。)


画像2 CQ test(R)




CQ test(R)は、MMSE等の従来の認知能力の評価手法の課題であった、天井効果によって捉えられなかった早期認知症を簡便・迅速に発見できるように、十分に検証され広く使用されている神経心理学的テストに基づいてSplinkが開発したアプリです。iPad等のデジタルデバイスで利用できるアプリで、10分でテストが完了します。画像のような5つの質問内容から構成されています。



画像3 海馬体積はMRI画像から自動抽出法により算出(色のついた部分が海馬)




■ 今後の展開
CQ test(R)を用いることで、費用や時間をかけずに健常者も対象に含めて認知能力の客観的な定量化を行うことができ、計測した認知能力をもとに初期の認知症のスクリーニングをできるようになることが期待されます。また、デジタルアプリであることから、喫煙歴、家族歴、併存疾患、身体活動などの情報と合わせることが容易であり、生活習慣と認知能力を組み合わせた多様な研究が今後期待されます。

■ 原著論文
本研究はScientific Reports誌のオンライン版で先行公開されました(2020年10月7日付)。
Title: Association between cognitive quotient test score and hippocampal volume: a novel, rapid application-based screening tool
Authors: Wataru Kasai, PhD1; Tadahiro Goto, MD, MPH2; Yuki Aoyama, MBA1; Kenji Sato, MD3
Affiliation:
Splink Co. Ltd. Japan, Tokyo, Japan
Graduate School of Medical Sciences, University of Fukui, Fukui, Japan
Department of Surgery, Sado General Hospital, Niigata, Japan
URL:https://www.nature.com/articles/s41598-020-74019-7

引用文献


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Devanand DP, Pradhaban G, Liu X, et al. Hippocampal and entorhinal atrophy in mild cognitive impairment: prediction of Alzheimer disease. Neurology. 2007;68(11):828-836.
Barnes J, Whitwell JL, Frost C, Josephs KA, Rossor M, Fox NC. Measurements of the amygdala and hippocampus in pathologically confirmed Alzheimer disease and frontotemporal lobar degeneration. Arch Neurol. 2006;63(10):1434-1439.
Kril JJ, Patel S, Harding AJ, Halliday GM. Patients with vascular dementia due to microvascular pathology have significant hippocampal neuronal loss. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2002;72(6):747-751.
Du AT, Schuff N, Chao LL, et al. Age effects on atrophy rates of entorhinal cortex and hippocampus. Neurobiol Aging. 2006;27(5):733-740.



■ Splink会社概要
本社所在地:東京都千代田区霞が関3丁目3−2 新霞が関ビル18階
事業内容:ブレインヘルスケア事業、医療データ基盤事業
設立:2017年1月
代表取締役:青山 裕紀
URL:https://www.splinkns.com/


■ Splink採用情報
URL:https://www.wantedly.com/companies/splinkns


■ 本件に関するお問い合わせ
e-mail:pr@splinkns.com (広報担当:沖本)
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