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世界5大医学雑誌Lancetに掲載 「世界の疾病負荷研究」の報告書を発表。COVID-19拡大要因について調査。

アズ・ワールドコムジャパン株式会社
慢性疾患、大衆衛生への対策が不十分との結論。日本では、たばこと高血圧が課題。

米国ワシントン大学保健指標・保健評価研究所(IHME)を中心に、152の国や地域の大学、研究所、政府機関が参加する共同研究「世界の疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study: GBD)」では、COVID-19の重症化や拡大に影響を与える公衆衛生や慢性疾患の状況を世界的に調査し、その研究成果を取りまとめました。本研究成果は、学術論文として、10月16日(英国時間 10月15日 木曜日 23:30)発行の世界5大医学雑誌Lancetに掲載されます。以下に、研究成果の概要を紹介します。



2020年10月16日
The Institute for Health Metrics and Evaluation
ワシントン大学保健指標・保健評価研究所

慢性疾患の増加と公衆衛生の失敗が重なって生じた破滅的状況が、COVID-19の世界的流行に拍車をかけたことが、最新の疾病負荷推定研究から明らかに。


世界でも類を見ない包括的な枠組みとして、204の国や地域にて、286の死因、369の疾病や傷害と87のリスク要因を分析する世界的研究を実施。2019年の状況を明らかにし、COVID-19が重症化しやすい基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)への備えが十分であったかを調査した。
その結果、慢性疾患が世界的に蔓延していること、さらには、予防可能なリスク要因を抑制すべき公衆衛生が機能していないことが原因で、COVID-19のような急激な衛生緊急事態に対して脆弱な状況が続いていることが明らかになった。
このことは、慢性疾患、社会的不平等とCOVID-19が重なって起きている世界的シンデミック(貧困のような社会的要因と様々な伝染病の相乗的な作用)に緊急に取り組むこと、それにより、より盤石な公衆衛生システムを確立しつつ、人々の健康を向上させることが必要であることを示している。これを実現できれば、世界各国が将来のパンデミックの脅威に対してより弾力的に対処できるようになる。

「世界の疾病負荷研究」の報告書にはリスク要因および慢性疾患負荷についての国別データが掲載されており、最も対処が必要な課題を示すロードマップとなっています。日本における主要リスク要因別の死亡者数(2019年)を見ると、たばこの摂取が最も多いことが特徴で、世界では最も多い収縮期高血圧が2番目に位置しています。

2019年 日本における主要リスク要因と死亡者数(全年齢層、男女)


たばこ (死亡者数212,000人)
収縮期高血圧 (死亡者数196,000人)
食事リスク (死亡者数138,000人)*果物の摂取量が少ない、食塩の摂取量が多い等
空腹時高血糖 (死亡者数101,000人)
腎機能障害 (死亡者数78,400人)


2019年 世界全体における主要リスク要因と死亡者数(全年齢層、男女)


収縮期高血圧 (死亡者数1,080万人)
たばこ (死亡者数871万人)
食事リスク (死亡者数794万人)
大気汚染 (死亡者数667万人)
空腹時高血糖 (死亡者数650万人)


また、日本における健康損失*1において、非感染性疾患(NCDs; 循環器疾患・がん・糖尿病・慢性呼吸器疾患等)が占める割合は、1990年の81.9%から、2019年の85.4%へと4.3%増加しています。
そのリスク要因では、タバコの摂取、収縮期高血圧、飲食のリスク、空腹時高血糖値に次いで、高肥満度指数が入っています。
*1健康損失:障害調整生命年(DALYs; 健康状態、疾病や障害による早死により失われた命の年数)で算出

なお、日本の若年死亡*2における非感染性疾患の割合は、1990年の78.7%から2019年の83.4%と6.0%増加しており、全年齢よりも上昇率が高くなっています。
*2若年死亡:損失生存年数(YLLs; 疾病により失う命の年数)で算出

<発表の詳細>
COVID-19と、過去30年以上にわたって世界的に増加を続ける慢性疾患、そして、肥満、高血糖、大気汚染などの関連リスク要因が重なって破滅的状況が作り出され、その状況がCOVID-19による死亡者数の増加に拍車をかけています。

本日『Lancet』誌で発表された「世界の疾病負荷研究」[1] で明らかにしている各国の基礎疾患の最新状況は、COVID-19の世界的流行に対する備えが十分であったかを示すとともに、今後のパンデミックの脅威を防ぐためには慢性疾患や公衆衛生に取り組むことが重要であることを示唆するものです。
また、主要リスク要因(高血圧、高血糖、高肥満度指数;BMI、高コレステロール)の増大により、世界的にこれまで伸びてきた平均余命が転換点に差し掛かっている可能性があることも判明しました。なお、この結果には、一部の国(アメリカ合衆国およびカリブ海諸国)における循環器疾患による死亡者数が増加したことも関与しています。

こうした取り組みの上での具体的な課題として、本報告書の著者は、健康的な行動習慣を呼びかけ、医療資源へのアクセスを国民に促すためのインセンティブを設けるなどといった、疾病予防に関するする各国政府の取り組みが目標に達していない点を挙げています。

研究リーダー/IHME所長Christopher Murray(クリストファー・マレイ)教授のコメント
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リスク要因の大半は予防や治療が可能なもので、そうした要因の低減に取り組めばとても大きな社会的・経済的恩恵が得られます。しかしながら、特に、食事の質やカロリーの摂取、運動といった面での不健康な行動習慣を変えることに失敗しています。この原因の一端として、政策の不備や、公衆衛生や行動研究に割り振る研究資金が不足していることが挙げられます。[2]
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病気は、他の病気と相互作用するだけでなく、社会的要因とも深く関わり合いを持ちます。疫病の流行において被害を拡大する要因がこれらの相互作用です。生活様式・環境や社会的不平等などの社会的要因に起因する疾病の負荷を受けている集団において、疫病が流行することで疾病負荷がさらに悪化し、その集団の脆弱性を一層高めてしまう、という負のスパイラルとも言えるシンデミックの発生が、問題をより深刻化させるのです。
COVID-19においては、肥満、糖尿病や循環器疾患など、本研究の対象となるリスク要因と非感染性疾患(NCD)の多くが、重症化リスクと死亡リスクの上昇に関係することがわかっています。そのため、慢性疾患、社会的不平等とCOVID-19が重なって起きているシンデミックに対処する緊急対策を行う必要があることを強調します。

『Lancet』誌の編集長 Richard Horton(リチャード・ホートン)博士のコメント
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私たちが直面している脅威はシンデミックと言え、その性質から、それぞれの病気を治療するだけでなく、その根底にあり病気を形づくっている貧困、住宅、教育、人種といった社会的不平等の是正にも取り組むことが要求されます。どれも、人の健康を左右する大きな要因です。
COVID-19は急性憎悪した衛生緊急事態です。それによって浮き彫りにされた公衆衛生上の課題が放置されて慢性化してしまうことは、将来の危機を無視するということです。COVID-19において、非感染性疾患はこれまでに100万人の死亡例に深く関与しており、パンデミックが収束した後も世界中で人々の健康に影響を及ぼし続けます。COVID-19収束後の公衆衛生システムをいかに立て直していくかを考える上で、この「世界の疾病負荷研究」が示す国ごとの重点課題を取り入れることが大切です。[2]
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その他、発表の詳細につきましては、こちらのURL(https://prtimes.jp/a/?f=d67688-1-pdf-3.pdf )
よりご覧ください。
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