医療・医薬・福祉

アストラゼネカのタグリッソ、EGFR遺伝子変異陽性早期肺がん患者さんの術後補助療法として、米国で承認取得

アストラゼネカ株式会社
再発または死亡リスクの80%低減を示した、第III相ADAURA試験におけるタグリッソの顕著な結果に基づく承認


本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年12月21日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、12月21日、タグリッソ(R)(一般名:オシメルチニブ、以下タグリッソ)が、治癒的腫瘍切除後の早期ステージの非小細胞肺がん(NSCLC)で上皮増殖因子受容体変異陽性(EGFRm)の成人患者さんに対する術後補助療法の治療薬として、米国で承認されたことを発表しました。タグリッソは、承認された検査にてエクソン19欠失型またはエクソン21 L858R点突然変異が確認されたEGFRm患者さんに適応となります。

今回の承認は、米国食品医薬品局(FDA)のリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムのもとで対応されており、米国のほかに5カ国が、FDAが主導するプロジェクトOrbisを通じて、このプロジェクトでの申請・審査プロセスに参加しました。

NSCLC患者さんのおよそ30%は、治癒切除可能な早期ステージに診断されます。しかしながら術後再発率は未だ高く、ステージIB期でも診断された患者さんの半数近く、ステージIIIA期では4分の3以上もの患者さんが5年以内に再発を経験します(1-4)。

今回の米国における承認は、タグリッソが主要評価項目であるII期およびIIIA期のEGFRm NSCLC患者さんにおける無病生存期間(DFS)、ならびに重要な副次評価項目の1つである全症例(IB~IIIA期)におけるDFSにおいても統計学的に有意で、かつ臨床的に意義のある延長を示した第III相ADAURA試験のデータに基づいています。

第III相ADAURA試験の治験責任医師であり、コネチカット州ニューヘイブンにあるYale Cancer CenterおよびSmilow Cancer Hospitalの腫瘍内科主任医長であるRoy S.Herbst医学博士は次のように述べています。「外科的完全切除および術後補助化学療法を受けても再発率が高いEGFR遺伝子変異を有する早期肺がん患者さんにおいて、タグリッソによる術後補助療法は顕著なDFSの延長を示しました。今回の承認は、ステージに関係なく全ての肺がん患者さんに対して、診断時および治療方法を決定する前にEGFR遺伝子変異の有無を検査することの重要性を裏付けるものです。このことによって、より多くの患者さんがプラクティスを変え得る治療をタグリッソにより受けられるようになります」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者Dave Fredricksonは次のように述べています。「今回初めて、米国において、EGFRm早期肺がん患者さんに、バイオマーカーに基づく分子標的治療のオプションが選択可能となります。ADAURA試験のデータから、タグリッソはこの疾患の経過を変え得ることが示され、今回の承認によって、早期肺がんに対して手術と化学療法以外の治療はないというこれまでの考えは変わっていくでしょう。アストラゼネカは治癒の期待ができる、より早期ステージのがん患者さんの治療に貢献できるよう、引き続き努力していきます」。

タグリッソによる術後補助療法は、ステージII期およびIIIA期の患者さんにおける主要評価項目であるDFSにおいて、疾患の再発または死亡のリスクを83%低下させました(ハザード比0.17; 95%信頼区間[CI]0.12~0.23; p<0.0001)。また、全症例(IB~IIIA期)におけるDFSにおいては、タグリッソが再発または死亡のリスクを80%低下させました(ハザード比0.20; 95%CI 0.15-0.27; p<0.0001)。さらに、2年経過時点における全症例(IB~IIIA期)の無病生存率は、タグリッソ投与群の患者さんの89%に対し、現行の標準治療であるプラセボ投与群では52%でした。本試験におけるタグリッソの安全性および忍容性は、転移を有する患者さんを対象としたこれまでの試験と一致していました。

タグリッソは、2020年4月( https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2020/2020041701.html )に、独立データモニタリング委員会より、タグリッソが顕著な有効性を示したとして、ADAURA試験の非盲検化を予定より2年早める勧告を受け、7月30日、米国食品医薬品局より画期的治療薬に指定( https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2020/2020080601.html )されました。なお、被験者は試験を継続中であり、現在も本試験の盲検は維持されています。ADAURA試験のデータは、2020年5月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会(バーチャル会議)のサイエンティフィックプログラムのプレナリーセッションで発表され、The New England Journal of Medicine( https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027071 )誌に掲載されました。

今回の米国における薬事申請は、安全で効果的な治療をできるだけ早く患者さんに届けることを目的とした、米国のRTORパイロットプログラムの下で審査されました。なお、今回の審査においては、国際的なパートナー間でオンコロジー治療薬の同時申請および審査の枠組みを提供するFDA Oncology Center of Excellence主導によるプロジェクトOrbisを通して、5カ国の保健当局がFDAと協力しています。このプロジェクトには、カナダ保健省、オーストラリア薬品・医薬品行政局、ブラジル国家衛生監督庁、連邦内務省スイス医薬品局、シンガポール保健科学局が参加しており、英国医薬品医療製品規制庁がオブザーバーとして審査に加わっています。

なお、中国においても、ADAURA第III相試験に基づいて、EGFRm早期NSCLC患者さんの術後補助療法としてタグリッソの優先審査が行われています。本適応症は、欧州においても規制当局による審査が行われており、その他各国での追加承認申請に向けた議論が進行中です。

タグリッソは、1日1回の経口錠剤で、局所進行性または転移性EGFRm NSCLCの一次治療、および局所進行性または転移性EGFR T790M変異陽性NSCLCの治療薬として、米国、日本、中国、欧州、および世界中の多くの国々で承認されています。

※EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの術後補助療法に対するタグリッソの適応は、本邦では未承認です。

以上

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肺がんについて
肺がんは、男女共にがんによる死因の第1位であり、すべてのがんによる死亡の約5分の1を占めています(5)。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大きく分けられ、肺がん患者さんの80~85%がNSCLCと診断されます(6)。NSCLCの患者さんの大多数は進行がんで診断され、切除可能と診断されるのは全体の約25~30%です(1-3)。

切除可能ながん患者さんの多くが、手術(腫瘍の完全切除)および術後補助療法としての化学療法を受けても再発します(4)。また早期の肺がんは、肺がんとは無関係に撮像された画像で診断されることがほとんどです(7-8)。

欧米ではおよそ10~15%、アジアでは30~40%のNSCLC患者さんがEGFR遺伝子変異を有しています(9-11)。これらの患者さんはがん細胞の成長を促す細胞シグナル伝達経路を阻害するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療への感受性が高くなります(12)。

ADAURA試験について
ADAURA試験は、腫瘍の完全切除および術後補助療法として(術後補助化学療法を伴う症例を含む)病期IB期、II期、IIIA期のEGFRmのNSCLC患者さん682例を対象に、タグリッソの術後補助療法に対する無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第III相試験です。患者さんはタグリッソ80mg錠1日1回経口投与で3年間または再発するまで治療を受けました。

なお、本試験は米国、欧州、南米、アジア、中東の20ヵ国以上、200を超える施設で実施されました。主要評価項目は病期II期およびIIIA期の患者さんにおけるDFSであり、重要な副次評価項目は病期IB期、II期およびIIIA期の患者さんにおけるDFSです。データ解析は当初2022年に予定されていました。本試験では全生存期間の評価を引き続き行います。

タグリッソについて
タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)は第3世代不可逆的EGFR阻害剤であり、中枢神経系転移に対する臨床活性も有しています。現在、タグリッソ40mg錠および80mg錠の1日1回経口投与は、EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCの一次治療、およびEGFR T790M遺伝子変異陽性進行NSCLCの治療薬として米国、日本、中国およびEUを含む多くの国で承認されています。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、さまざまな病期における異なる組織型の肺がん、治療法、作用機序に対して、承認済みおよび後期臨床開発段階の新薬候補を含め、包括的なポートフォリオを有しています。

アストラゼネカは既承認薬イレッサ(R)(ゲフィチニブ)およびタグリッソ(オシメルチニブ)の提供や、現在進行中の第III相試験であるLAURA、NeoADAURA、FLAURA2によって得られる新たなエビデンスを通じて、疾患の遺伝的要因としてのEGFR遺伝子変異を持つ患者さんのアンメットニーズに応えることを目指しています。

当社はまた、タグリッソとc-Met受容体チロシンキナーゼの選択的阻害薬であるサボリチニブ、および他の新薬候補との併用療法を評価する、現在進行中の第II相SAVANNAH試験およびORCHARD試験を通じて、腫瘍の耐性メカニズムを解き明かそうとしています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に7つの新薬の販売を開始し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体、エピジェネティクスおよび細胞療法の6つの科学的基盤を強化し、個別化併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。


References
1. Cagle P, et al. Lung Cancer Biomarkers: Present Status and Future Developments. Archives Pathology Lab Med. 2013;137:1191-1198.
2. Le Chevalier T. Adjuvant Chemotherapy for Resectable Non-Small-Cell Lung Cancer: Where is it Going? Ann Oncol. 2010;21:196-8.
3. Datta D, et al. Preoperative Evaluation of Patients Undergoing Lung Resection Surgery. Chest. 2003;123: 2096–2103.
4. Pignon et al. Lung Adjuvant Cisplatin Evaluation: A Pooled Analysis by the LACE Collaborative Group. J Clin Oncol 2008;26:3552-3559.
5. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf Accessed August 2020.
6. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at https://www.lungevity.org/about-lung-cancer/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer Accessed August 2020.
7. Sethi S, et al. Incidental Nodule Management – Should There Be a Formal Process?. Journal of Thorac Onc. 2016:8;S494-S497.
8. LUNGevity Foundation. Screening and Early Detection. Available at: https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/screening-early-detection#1 Accessed August 2020.
9. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
10. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
11. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: a Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
12. Cross DA, et al. AZD9291, an Irreversible EGFR TKI, Overcomes T790M-Mediated Resistance to EGFR Inhibitors in Lung Cancer. Cancer Discov. 2014;4(9):1046-1061.


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