医療・医薬・福祉

テックドクター、「AIと医療の関係研究所」第一弾の取り組みを始動

株式会社テックドクター
矢野裕一朗 教授と共同で、ウェアラブルデバイス×大規模言語モデル(LLM)の融合システムを開発




株式会社テックドクター(本社:東京都中央区、代表取締役:湊 和修、以下 テックドクター)は、「AIと医療の関係研究所」の第一弾目の取り組みとして、順天堂大学医学部 総合診療科学講座 教授/AIインキュベーションファーム センター長の矢野 裕一朗先生をアドバイザーに迎え実証事業を開始しました。
本取り組みでは、ウェアラブルデバイスから得られる生体データと、大規模言語モデル(LLM)を活用した医療支援システムの開発・検証に取り組みます。

■背景と目的

近年、心拍数・歩数・睡眠といった日常の生体情報をウェアラブルデバイスで取得し、健康状態のモニタリングや疾患リスクの予兆検出に活用する動きが広がっています。しかし、こうした解析結果を医師や患者が直感的に理解し、日々の判断に役立てるためには、データを“使える情報”へと変換する仕組みが不可欠です。

この“使える情報”への変換において、LLM(大規模言語モデル)の記憶機能は非常に有効です。LLMは、学習によって得た医学的知識や一般的な健康情報といった長期記憶に加え、ユーザー(医師や患者)との個別の対話履歴や過去データを短期的に保持する能力を備えています。これにより、単なるデータの提示にとどまらず、個々の状況や履歴を踏まえたうえで、文脈に即したパーソナライズされた説明や示唆を自然な言葉で提供することが可能となり、データ活用の促進に大きく寄与すると期待されます。

本取り組みでは、ウェアラブルデバイスから得られるデータを、統計的手法や機械学習・ディープラーニングなどを用いて解析します。その結果を大規模言語モデル(LLM)と融合することで、個人に最適化されたフィードバック、異常検知、健康管理支援など、医療者や患者にとって理解しやすく有益な情報を、自然言語で提供する新たなシステムの開発に取り組みます。

■実証事業の概要

本実証では、テックドクターが保有する10名程度・最大2年間分のウェアラブルデバイスデータを用い、以下のプロセスでシステム開発および検証を行います。
- データ解析
・時系列解析を用いた長期的な傾向や季節変動の抽出
・感染症などによる急激な生理的変化の検出
・アンケートや自己申告情報(例:疲労感や生理周期)との統合解析

- LLMによる自然言語化
・解析結果に基づき、医療者や患者向けに意味付けされたフィードバックを生成
・トレンド分析や異常イベントの説明を自動化するためのプロンプト設計

- 評価・改善
・テックドクターの解析基盤「SelfBase」との一致率による定量評価
・社内評価者による定性レビューを通じた、解釈の明瞭さや実用性の検証


■診療現場での活用イメージ動画

本実証を通じて開発したシステムが、将来的に診療現場でどのように活用されるかをイメージした動画も公開しています。実際の利用シーンを想定した内容となっておりますので、ぜひご覧ください。

イメージ動画:https://youtu.be/d_U4UfEDwHE