医療・医薬・福祉

難病:肺高血圧症の本邦における治療ターゲット・意義に関する報告を発表

NPO法人 Japan PH Registry
~肺高血圧症治療のターゲットや治療の有効例を明らかに~




本邦における肺高血圧症治療の第一人者たちで構成され、難病治療の治療成果を研究・発表するNPO法人Japan PH Registry(JAPHR)が2つの研究成果を論文化いたしましたので。報告いたします。1つめの報告は厚生労働省の指定難病:肺動脈性肺高血圧症における治療ターゲット・リスク評価の有効性を本邦で始めて明らかにしたもので、全国の難病治療の質の均てん化に貢献するデータです。また2つめの報告は肺の疾患を併発した肺高血圧症の患者さんに対する治療の有効性を検証したデータで、今後のこの領域の治療成績の向上に役立つことが期待されます。

JAPHRについて
Japan PH Registry(JAPHR)は厚生労働省の指定難病である肺動脈性肺高血圧症や慢性肺血栓塞栓症に関して日本における疫学・治療成績をオールジャパン体制で収集し、難病の克服にあたってより良い診療の基盤となるデータを提供するプロジェクトです。
本プロジェクトは2018-2019年度の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のクリニカル・イノベーション・ネットワーク推進支援事業産学官共同レジストリ利活用プロジェクトのサポートを受けて産官学連携の体制整備を行い、現在はその支援を受けた特定非営利活動法人Japan PH Registryが運営しています。

報告1:本邦の肺動脈性肺高血圧症におけるリスク評価指標の意義を初めて検証
-肺動脈性肺高血圧症の治療効果判定がリスク評価指標を用いることで推測可能に-
 
 指定難病:肺動脈性肺高血圧症の治療は専門性が高く、診療に不慣れである医療機関で地領を行った際には、適切な治療の開始が遅れてしまうケースがしばしばみられることがこれまで問題でした。JAPHRを構成する研究組織の一つで、肺動脈性肺高血圧症の全国の治療成績のデータ収集・解析を行うJAPHR-PAH(研究代表者:田村雄一(国際医療福祉大学三田病院))は、このたびBMC Pulmonary Medicine誌に、簡便なリスクスコアを用いて肺動脈性肺高血圧症の適切な病態評価と治療が行うことができることをこのほど報告いたしました。
本研究では肺動脈性肺高血圧症患者さんのアセスメントにおいて、4つの指標を用いすることで治療反応性が評価できることを明らかにしたものです。この4つの指標は、フランスをはじめとした欧州においてすでに用いられているものです。本邦の肺動脈性肺高血圧症の治療成績は諸外国と比較して優れていることはすでにJAPHR-PAHから2018年に報告されておりましたが、今回4つの指標を用いて評価を行うと、この指標の改善度は肺高血圧のレベルと並行して変動していることを明らかにいたしました。
 本研究成果を用いることで、肺高血圧症の治療ターゲットがわかりやすくなり、難病診療の経験が多くない医療機関においても質の高い医療ができる、医療の質の均てん化に貢献することが期待されます。
Tamura Y, Kumamaru H, Abe K, et al. Improvements in French risk stratification score were correlated with reductions in mean pulmonary artery pressure in pulmonary arterial hypertension: a subanalysis of the Japan Pulmonary Hypertension Registry (JAPHR). BMC Pulmonary Medicine誌21巻28 (2021) https://rdcu.be/chmX9

報告2:本邦初の呼吸器疾患に伴う肺高血圧症の前向き症例登録研究の結果が明らかに
—肺動脈性肺高血圧症の類似例が多く、治療薬の良好な反応が期待できる可能性—

JAPHRを構成する研究組織の一つで、呼吸器疾患を合併する肺高血圧症の患者レジストリを研究するJRPHS(研究代表者:田邉信宏(済生会習志野病院))はCirculation Journal誌に呼吸器疾患を合併する肺高血圧症の日本における症例の特徴や、薬剤への反応性と反応群の特徴を明らかにする論文を2021年3月25日掲載いたしました。
本研究では、2013年から2016年に肺高血圧症および呼吸器疾患を専門とする全国の25施設より281例の症例が登録され、その52% は重症肺高血圧症、43%は換気障害が軽度である肺動脈性肺高血圧症(PAH)類似例でした。3年生存率は54%と不良でありましたが、換気障害が軽度の群では診断後2ケ月以内に肺動脈性肺高血圧症に対する治療薬を開始することで生存期間の延長を認めました。また肺動脈性肺高血圧症治療薬投与による治療反応良好例は、換気障害が軽度群で多く観察されました。
以上の結果から、本邦における呼吸器疾患を合併する肺高血圧症症例にはPAHに類似した例が含まれており、薬物による治療反応が期待できることが明らかになりました。また今回得られた知見から、治療反応性が期待できる群を事前に画像上や臨床所見から予測する方法について検証を進め、今後の本疾患の予後改善のための臨床試験の基礎データとして活用して参ります。
Tanabe N, Kumamaru H, Tamura Y, et al. Multi-Institutional Prospective Cohort Study of Patients With Pulmonary Hypertension Associated With Respiratory Diseases. Circulation Journal誌85巻4号333ページ. https://doi.org/10.1253/circj.CJ-20-0939
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