医療・医薬・福祉

アストラゼネカのセルメチニブ、叢状神経線維腫を有する神経線維腫症1型の小児患者さんに対する初めての治療薬として欧州医薬品評価委員会(CHMP)より承認勧告を取得

アストラゼネカ株式会社
セルメチニブが小児患者さんにおいて腫瘍縮小効果を示したSPRINT試験第II相パートに基づく勧告


本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年4月26日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、欧州連合(EU)において、アストラゼネカおよびMSDのセルメチニブが、手術不能かつ症候性の叢状神経線維腫(Plexiform Neurofibromas、以下、PN)を有する3歳以上の小児の神経線維腫症1型(以下、NF1)を適応症とする治療薬として、条件付き製造販売承認が勧告されたことを発表しました(1)。

NF1は世界中で3,000人に1人が罹患している消耗性の遺伝性疾患です(2,3)。NF1患者さんの30~50%には神経鞘に腫瘍が発現し(PN)、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害および腸や膀胱の機能不全などの病的状態を引き起こす可能性があります(4,5-8)。

欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)の肯定的見解は、米国国立がん研究所(NCI)の米国癌治療評価プログラム(CTEP)によるSPRINT試験第II相パート層1の結果に基づくものです。本試験の結果はThe New England Journal of Medicine( https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa1912735 )に掲載されました(8)。承認勧告の条件として、SPRINT試験のより長期の追跡調査における安全性および有効性データを、CHMPに提供する予定です。

SPRINT試験第II相パート層1における客観的奏効率(ORR)は、セルメチニブ単剤を1日2回経口投与されたPNを有するNF1小児患者さんにおいて66%(50例中33例が確定部分奏効例)でした(1)。ORRは完全奏効または20%以上の腫瘍縮小を評価基準とする部分奏効が確定された患者さんの割合と定義されています(1)。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニットの責任者であるDave Fredricksonは次のように述べています。「今回の勧告は、多くのNF1小児患者さんにとって外科的手術が選択肢とはならない中、NF1に対する手術以外の治療選択肢として唯一承認された治療薬に、EUの小児患者さんが一歩近づいたことを意味しています。この希少遺伝性疾患に苦しむ小児患者さんたちは、この疾患と闘うための新たな治療の選択肢を強く望んでいます」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント兼グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「SPRINT試験において、セルメチニブは、手術不能な腫瘍を縮小させることが示されました。このことはこの消耗性疾患に苦しむ子どもたちにとって意義のある臨床的進歩です。我われは、EUにおけるNF1小児患者さんに、この重要な治療選択肢を届けることに一歩近づけたことを嬉しく思います」。

セルメチニブは、2020年4月に、手術不能かつ症候性のPNを有するNF1小児患者さんに対する治療薬として米国でKoselugoの医薬品名で承認( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020042201.html )されました(7)。また、その他の国および地域においても承認申請を進めています。PNを有するNF1成人患者さんを対象としたセルメチニブの臨床試験、および小児患者さんにおける年齢に適した代替の製剤の臨床試験を今年中に開始予定です。

※セルメチニブは本邦では未承認です。

以上

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神経線維腫症1型(NF1)について
NF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、皮膚あるいは皮下の柔らかい塊(皮膚の神経線維腫)、皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)(1)、および患者さんの30~50%にみられる神経鞘の腫瘍(叢状神経線維腫[PN])を含む多くの症状を伴います(2,4,9,10)。これらのPNは、疼痛、運動機能障害、気道機能不全、腸や膀胱の機能不全および外見の変化などの病的状態を引き起こし、悪性末梢神経鞘腫を発症する可能性があります(5-8)。PNは幼児期に発症し、重症度は多岐にわたります。また、この疾患によって平均余命が8~15年短縮する可能性があります(6,12)。

SPRINT試験について
SPRINT試験の第I相パートおよび第II相パート層1は、手術不能なPNを有するNF1小児患者さんを対象にセルメチニブ単剤療法を行い、客観的奏効率や患者報告アウトカムおよび機能アウトカムへの影響を評価するものです(11)。米国国立がん研究所(NCI)の米国癌治療評価プログラム(CTEP)による本試験は、NCIとアストラゼネカとの共同研究開発契約に基づき、神経線維腫症治療促進プログラム(NTAP)からの追加支援を得て実施されました。

セルメチニブについて
セルメチニブは、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1/2阻害剤)です(1)。MEK1/2タンパクは、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)経路の上流調節因子です。MEKとERKはともに、RASによって調節されるRAF-MEK-ERK経路の重要な構成要素であり、さまざまな種類のがんで活性化されることが多いです(11)。

セルメチニブは、2019年4月には画期的治療薬、同年12月には希少小児疾患治療薬、2018年2月に希少疾病用医薬品として米国FDAから指定を付与されました。さらに希少疾病用医薬品としてEU、日本、ロシア、スイス、韓国、台湾およびオーストラリアの規制当局から指定を付与されています。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については https://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。


References
1. Koselugo (selumetinib). [Summary of Product Characteristics]. AstraZeneca Pharmaceuticals; 2021
2. Cancer.Net. Neurofibromatosis Type 1. Available at: https://www.cancer.net/cancer-types/neurofibromatosis-type-1 Accessed March 2021.
3. National Human Genome Research Institute. About Neurofibromatosis. Available at: https://www.genome.gov/Genetic-Disorders/Neurofibromatosis Accessed March 2021.
4. Hirbe AC, Gutmann DH. Neurofibromatosis type 1: a multidisciplinary approach to care. The Lancet Neurology. 2014;13:834-43. DOI:10.1016/S1474-4422(14)70063-8.
5. Dombi E, Baldwin A, Marcus LJ, et al. Activity of selumetinib in neurofibromatosis type 1-related plexiform neurofibromas. N Engl J Med. 2016;375:2550-2560. DOI:10.1056/NEJMoa1605943.
6. Mayo Clinic. Neurofibromatosis. Available at: https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/neurofibromatosis/symptoms-causes/syc-20350490. Accessed March 2021.
7. NHS Choices. Neurofibromatosis Type 1, Symptoms. Available at: https://www.nhs.uk/conditions/neurofibromatosis-type-1/symptoms Accessed March 2021.
8. Gross AM, et al. Selumetinib in Children with Inoperable Plexiform Neurofibromas. N Engl J Med. 2020 Apr 9;382(15):1430-1442. DOI:10.1056/NEJMoa1912735.
9. Jett K. et al. Clinical and genetic aspects of neurofibromatosis 1. Genetics in Medicine. 2010:12(1):1-11. January 2010.
10. Ghalayani P, et al. Neurofibromatosis Type I (von Recklinghausen's Disease): A Family Case Report and Literature Review. Dent Res J. 2012;9(4):483-488.
11. Koselugo (selumetinib) [prescribing information]. Wilmington, DE: AstraZeneca Pharmaceuticals LP; 2020.
12. Evans DGR, et al. Reduced Life Expectancy Seen in Hereditary Diseases Which Predispose to Early-Onset Tumors. Appl Clin Genet. 2013;6:53-61.
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