医療・医薬・福祉

リムパーザとベバシズマブの併用療法、新たに診断された進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として無増悪生存期間を全患者集団で22カ月に、HRD陽性患者集団で37カ月に延長

アストラゼネカ株式会社
アストラゼネカとMSDのリムパーザ、ベバシズマブとの併用で全患者集団の病勢進行または死亡のリスクを41%減少


本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年9月30日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびMSD Inc., Kenilworth, N.J., US(米国およびカナダではMerck & Co., Inc、以下MSD)は、2019年9月28日、新たに診断された進行卵巣がん患者さんを対象とした第III相PAOLA-1試験において、リムパーザ(オラパリブ)により無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長が認められたという良好な詳細結果を発表しました。

初回治療後の維持療法として実施された本試験では、患者さんの遺伝子変異等のバイオマーカーの状態および過去の手術の結果を問わず、リムパーザとベバシズマブの併用療法を標準治療であるベバシズマブ単剤療法と比較検討しました。治験医師による評価に基づくPFSにおいて、リムパーザとベバシズマブの併用療法群では病勢進行または死亡のリスクが41%減少(ハザード比0.59に相当)し、PFS中央値はベバシズマブ単剤療法群が16.6カ月であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法群で22.1カ月に延長されました。また、試験開始から2年経過した時点において病勢進行が認められなかった患者の割合は、ベバシズマブ単剤療法群では28%であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法群では46%でした。

盲検下独立中央判定(BICR)に基づいたPFSによる感度解析の結果は一貫しており、治験医師による評価に基づくPFSの結果と同様に、ベバシズマブ単剤療法群の中央値が18.3カ月であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法群の中央値は26.1カ月に延長されました。リムパーザとベバシズマブの併用療法群で認められた安全性および忍容性プロファイルはそれぞれの薬剤に関する既知のプロファイルと一致しており、QOL(生活の質)への悪影響は認められませんでした。

本結果はスペインのバルセロナで開催された2019年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の年次総会プレジデンシャルシンポジウムにおいて発表されました(抄録 #LBA2_PR)。

また本試験では、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)およびより広範な相同組換え修復異常(HRD)患者集団を含めた探索的なサブグループ解析も実施し、リムパーザとベバシズマブの併用療法がベバシズマブ単剤療法よりも、大きなベネフィットを示す結果が得られました。

BRCA遺伝子変異陽性のサブグループにおいて、リムパーザとベバシズマブの併用療法は病勢進行または死亡のリスクを69%減少しました(ハザード比0.31に相当)。新たに進行卵巣がんと診断された患者さんの約半数が該当するBRCA遺伝子変異陽性を含めたより広範なHRD陽性のサブグループ(BRCAm患者さんを含む)においては、リムパーザとベバシズマブの併用療法は病勢進行または死亡のリスクを67%減少しました(ハザード比0.33に相当)。

オンコロジー領域の研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「本試験は世界的な標準治療とリムパーザを用いる日常的な臨床診療を反映するよう設計されています。今回の結果により、バイオマーカーの有無または外科手術の結果にかかわらず、初回治療後の維持療法としてリムパーザとベバシズマブの併用療法を受けた進行卵巣がん患者さんの半数近くで治療開始2年後も病勢進行が認められなかったことが確認されました。当社は、1日も早くリムパーザをこれらの患者さんにお届けするため規制当局と連携してまいります」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「PAOLA-1試験は、進行卵巣がん患者さんの初回治療後の維持療法としてのリムパーザによる治療で肯定的結果を得られた2番目の第III相試験となりました。良好な結果を達成したSOLO-1試験に続き、私たちはより多くの卵巣がん患者さんに対する潜在的な治療選択肢を探求するというアストラゼネカおよびMSDの継続的な取り組みを再確認することができたPAOLA-1試験の結果に励みを感じています」。

PAOLA-1試験の治験責任医師を務め、Centre Léon Bérardの臨床腫瘍医で、GINECOグループの代表者でもあるIsabelle Ray-Coquardは次のように述べています。「新たに進行卵巣がんと診断された患者さんの維持療法を含む初回治療の目的は再発を遅らせることです。しかしながら残念なことに、再発リスクは高く、3人に2人の割合で最初の診断から3年以内に再発してしまいます。PAOLA-1試験では、リムパーザとベバシズマブの併用療法の有効性が示され、進行卵巣がん患者さんの初回治療後の維持療法に関する現在の治療を変える可能性があります」。




グレード3以上の有害事象(AE)の発現率は、リムパーザとベバシズマブの併用療法群において57%、ベバシズマブ単剤療法群においては51%でした。主な発現率20%以上のAEは悪心(53%)、疲労(53%)、高血圧(46%)、貧血(41%)、リンパ球減少(24%)、嘔吐(22%)および関節痛(22%)でした。グレード3以上のAEは高血圧(19%)、貧血(17%)、リンパ球減少(7%)、好中球減少 (6%)、疲労 (5%)、悪心(2%)、下痢 (2%)、白血球減少 (2%)嘔吐(1%)および腹痛(1%)でした。リムパーザの休薬に至ったAEの発現率は54%、投与中止に至ったAEの発現率は20%でした。

アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われているリムパーザは進行卵巣がんおよび転移性乳がんの治療薬として承認され、現在まで全世界で2万5,000人を超える患者さんの治療に使用されています。同剤は、4つの異なるがん腫 (卵巣、乳房、膵臓および前立腺)に対して良好な第III相試験の結果を示した唯一のPARP阻害剤です。

※進行卵巣がんに対するリムパーザとベバシズマブの併用療法は本邦未承認です。

以上

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PAOLA-1について
PAOLA-1試験は、新たにFIGO臨床進行期分類III-IV期の高異型度漿液性または類内膜卵巣がん、卵管がんまたは腹膜がんと診断され、プラチナ製剤ベースの化学療法とベバシズマブによる1次治療により完全または部分奏効を示した患者さんを対象とし、初回治療後の維持療法としてリムパーザとベバシズマブの併用療法あるいは標準治療であるベバシズマブ単剤療法の有効性および安全性を比較検討した無作為化二重盲検第III相試験です。

PAOLA-1はGINECO(Groupe d’Investigateurs National des Etudes des Cancers Ovariens et du sein)を代表してARCAGY Research(Association de Recherche sur les CAncers dont GYnécologiques)により実施されたENGOT(European Network of Gynaecological Oncological Trial groups)の試験です。ACARGY-GINECOは患者さんのがんの臨床研究およびトランスレーショナルリサーチに特化した学究的な団体であり、GCIG(Gynecologic Cancer InterGroup:婦人科がんグループ)の会員です。

卵巣がんについて
卵巣がんは全世界で、女性のがんによる8番目の死因です。2018年には、約30万人が新たに診断され、約18万5,000人が死亡しました (1)。大多数は進行(III期またはIV期)卵巣がんと診断され、5年生存率は約30% (2) です。新たに進行卵巣がんと診断された患者さんにとって治療の最大の目的は、完全寛解または根治の達成を目指し、病勢の進行を出来る限り遅らせ生活の質を維持することです。(3,4,5,6)

相同組換え修復異常について
相同組換え修復異常(HRDs)はBRCA遺伝子変異をはじめ、その他多くの遺伝子異常を含み、その異常は検査により診断可能です。BRCA遺伝子は相同組換えを介してDNAの修復を促進するため、本遺伝子の変異は相同組換えの修復異常の原因となり、正常細胞のDNA修復機構を妨げます。BRCA遺伝子変異は、新たに進行卵巣がんと診断された患者さんの半数近くに認められる多くの相同組換え修復異常のひとつの要因であり、リムパーザを含むPARP阻害剤に対する感受性をもたらします。

リムパーザについて
リムパーザは、ファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、BRCA遺伝子変異の有無に関わらず、プラチナ感受性再発卵巣がんの維持療法として現在EU諸国を含む64カ国で承認されており、プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効後のBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としても米国、EU、日本およびその他数カ国において承認されています。また、本剤は化学療法による治療歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、日本を含む43カ国において承認されており、EUにおいては、局所進行乳がんも含まれます。さらに、卵巣がん、乳がんおよび膵がんに関する薬事承認審査が他の国・地域において進行中です。

アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われているリムパーザは進行卵巣がんおよび転移性乳がんの治療薬として承認され、現在までに全世界で2万5,000人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは複数のがん腫にわたって、リムパーザが単剤療法および併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するため一致協力しています。リムパーザはがん細胞のDDRメカニズムを標的とする新薬候補のアストラゼネカの業界を主導するポートフォリオの基盤となる化合物です。

GINECOについて
GINECO(Groupe d’Investigateurs National pour l’Etude des Cancers de l’Ovaire et du sein)は国および国際的なレベルで婦人科疾患および進行乳がん臨床試験を企画・実施する、フランス国立がんセンター(INCA)によって命名されたフランスのがん研究協力団体です。1993年に設立されたGINECOグループは、ENGOTおよびGCIGなどの国際的コンソーシアムの会員です。

ENGOTについて
ENGOT(European Network for Gynaecological Oncological Trial groups)はESGO(欧州婦人科腫瘍学会)の研究ネットワークです。2007年に創設されたENGOTは現在欧州25カ国の21の協力団体により構成されています。

GCIGについて
The GCIG(Gynecological Cancer InterGroup)は婦人科がん患者さんの転帰を改善するために品質の高い臨床試験の推進および円滑な実施を目指しています。1998年創設されたGCIGは世界28カ国の23の協力団体により構成されています。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMSD Inc., Kenilworth, N.J., US(米国およびカナダではMerck & Co., Inc、)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがんの種類における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は共同で、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1医薬品との併用療法としてリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたオンコロジーをアストラゼネカの成長の主要な推進力として進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. The World Health Organization. IARC. Globocan 2018. Available at: http://gco.iarc.fr/ [Accessed August 2019].
2. National Cancer Institute. (2019). Cancer Stat Facts: Ovarian Cancer Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/ovary.html [Accessed August 2019].
3. Moore K et al. Maintenance Olaparib in Patients with Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer. Presented at ESMO October 2018.
4. Raja, F. A., Chopra, N. & Ledermann, J. A. 2012. Optimal first-line treatment in ovarian cancer. Ann. Oncol. Off. J. Eur. Soc. Med. Oncol. 23 Suppl 10, x118-127.
5. NHS Choices, Ovarian Cancer Available at: https://www.nhs.uk/conditions/ovarian-cancer/treatment/ [Accessed August 2019].
6. Ledermann.et al. 2013. Newly diagnosed and relapsed epithelial ovarian carcinoma: ESMO Clinical Practice for diagnosis, treatment and follow-up. Annals of Oncology, 24(suppl 6), pp.vi24-vi32.
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