医療・医薬・福祉

高齢者施設における、新型コロナワクチン接種に関する実施後レポート

株式会社メグラス
~医療機関と高齢者施設の両視点からみえた課題~

株式会社メグラス(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:飛田拓哉、以下「メグラス」)は、2021年5月26日から2021年6月1日まで実施した高齢者施設における新型コロナワクチン接種に関して、実施後に見えた評価点と課題点、またワクチン接種までの一連の動きを本レポートにて展開いたします。




メグラス(https://meglus.co.jp/)では、医療機関と高齢者施設の両方を運営しており、医療機関ではワクチンの手配、管理、接種を、高齢者施設では入居者様への接種オペレーションに関する業務を実施いたしました。
本レポートが広く展開されることで、未知のウイルスと懸命に闘う医療・介護業界の皆さまだけなく、社会全体にとって何かの示唆やきっかけに繋がることを願います。


【評価点と課題点】
高齢者施設におけるワクチン接種により見えた評価点と課題点を具体的に示します。

評価点1.…ご入居者様への接種における看護スタッフと介護スタッフの連携
今回、当施設で接種したファイザー社製ワクチンの場合、冷蔵庫から取り出して6時間以内に接種を行わなければなりません。限られた医療スタッフで対応するには、1人15分ずつの経過観察を看護師が担う場合、医師の接種介助に回ることが出来ません。そのため、経過観察を介護スタッフに任せるといったオペレーションの工夫を行い、限られた時間内で効率よく接種を完了させることが出来ました。

評価点2.…バイアルロスを出さないための事前計画の実施
ファイザー社製ワクチンの場合、1バイアルが6回分です。従って、6の倍数の接種人数を計画し、直前キャンセルを防がなければ、バイアルロスが発生します。ご入居者様の人数次第で事前にロスが把握出来る場合もあれば、接種当日に接種予定者が発熱してしまう等、想定外のロスが発生する場合もあります。そのため、ロスが見込まれる・発生した場合にメグラスのスタッフが接種を行えるよう、数名が常に控えている状態をつくりました。結果的に、メグラスにおいては、一切のバイアルロスを発生させておりません。

課題点1.…乱立するシステムによる混乱、作業効率の低迷
医療機関がワクチンを入手するにあたり、3つのシステムへの初期登録と運用が必要でした。供給量管理のため、接種記録のため、倉庫管理のためと用途は異なりますが、運用を行う部門からは、それぞれ別個にIDパスワードの発行作業に手間がかかったという声や、手入力の箇所については人為的なミスが起こる可能性を指摘する声が上がりました。

課題点2.…自治体ごとに異なる手続きフロー(接種対象者リストの提出方法など)
メグラスが運営する高齢者施設は、複数の自治体にまたがっています。高齢者施設等従事者向けの優先接種における接種対象者リストについて、愛知県名古屋市ではオンラインシステム上でのデータでの提出、大府市ではUSBでのデータ提出を求められました。このように、各自治体ごとに異なるデータ提出方法に対応していく必要があります。


【接種準備~当日実施までの具体的な流れ】
ここからは、メグラスが運営する医療機関(メグラス在宅クリニック葵)と介護施設(あんしんせいかつ葵、あんしんせいかつ内山、あんしんせいかつ香流)にて、ワクチン接種に向けてどのような動きを進めたのか、時系列にて説明いたします。なお、本レポートに記載の対象地域は、愛知県名古屋市となります。

◆医療機関での動き
1.メグラス在宅クリニック葵の集合契約の実施
名古屋市医師会に対して、当院がワクチンの接種を対応する旨を申し出、集合契約を行いました。

2.ワクチン入手のために必要なシステムの準備
ワクチンを入手するにあたり、複数システムの利用が必要であったため、それぞれのアカウント登録作業を進めました。当院は基本型施設でなくサテライト型施設(基本型施設からワクチンを分配される施設のこと)であったこともあり、以下3つのシステムの登録が必要でした。

V-SYS…ワクチン接種円滑化システム(国がワクチンの供給量全体を把握するため)
VRS…ワクチン接種記録システム(専用のタブレット端末とともに配布される)
SWMS…佐川急便による倉庫管理システム(ワクチンの輸送手配のため)

それぞれの具体的な使用シーンについては後述しますが、これらのID・パスワードを登録し(最初に設定されているID・パスワードもそれぞれ異なる)、同時運用を進めていく必要がありました。
※今後、愛知県大府市・愛知県刈谷市・愛知県安城市にてメグラスが運営する高齢者施設への接種を進めていくにあたり、同じくメグラスが運営する別の医療機関(メグラス在宅クリニック刈谷)での集合契約も別途検討しましたが、医療機関が集合契約をするだけで3ヶ月かかるとのことでした。そのため、これらの市に関しても、既に集合契約を終えているメグラス在宅クリニック葵(愛知県名古屋市)にてワクチンを発注し、接種をすることになりました。

3.必要なワクチン数の発注
メグラスの場合、毎週火曜と金曜に佐川急便からワクチンが届く仕組みとなっていました。
施設の接種計画に準じて、その週に必要なワクチン数の発注をSWMS上で行いました(1バイアルで6人分の接種が可能で、バイアル単位での発注を行いました。)

4.ワクチン接種後、システム上での実績報告
V-SYS…ワクチンの接種実績の報告を行いました。接種者の氏名等は必要なく、接種したバイアル数とワクチンに記載されたロットナンバーのみを報告しました。また、どの医療機関からワクチンを分配されたかについても報告が必要で、該当する保健所名を記載しました。
VRS…接種後、配布されたタブレット端末にて予診票の番号の読み込みを行いました。


◆高齢者施設での動き
1.高齢者施設の従事者に関する、接種対象者リストの提出
高齢者施設等の従事者向けの優先接種に従い、接種対象者リストの作成・提出を行いました。リストには、対象者の氏名、性別、生年月日、所属事業所、住所を記載しました。
リストの提出は、NAGOYA介護ネットというサイトを通じて行いました。(リストの提出は自治体によって異なっており、愛知県大府市の場合は、USBにエクセルのデータを入れ送付するよう指示がありました。)
接種対象者リストの提出後、対象者全員分の問診票が各事業所に郵送で届きました。

2.ご入居者様に関する接種意思の確認、接種券の回収
65歳以上の方向けの優先接種に従い、メグラスが名古屋市内にて運営する3施設のご入居者様(合計137名)に関する接種意思の確認と、クーポンの回収を約10日間で行いました。
住民票の場所によって、ご入居者様の接種券が施設に届く場合と、ご自宅に届く場合とが発生します。そのため、ご入居者様のご家族に対してSMSや電話にて以下の確認を行いました(意思疎通がはっきりと取れるご入居様の場合は、ご家族ではなく本人に接種希望の確認を行いました)。

接種を希望されるかどうかを、期日までに教えて頂きたい
(接種を希望されており、接種券がご自宅に届いている場合)接種券と予診票に署名のうえ、期日までに施設にご持参またはご郵送頂きたい
(接種を希望されており、接種券が施設に届いている場合)接種券と予診票に署名するために施設にお越し頂くか、看護師による代筆を指示頂きたい・当施設外の医療機関等で接種を希望される場合、問題はないが2回の接種ともその医療機関にて接種をして頂くことになる

ご入居者様の接種率は、2021年6月時点でほぼ100%です。
回収した接種券現物は事務所内のボックスにて管理、接種の有無についてはクラウド上のシートにて情報管理を行いました。ご家族から接種に関する問い合わせがあった際は、必ずシート上に内容を記録するようにしました。
接種当日までにご家族から接種券が届かなかった場合は、予定していた接種日より後の接種日に回す対応をしました。
また、接種券発行時と、接種当日とで住所が異なる事例が発生しました。名古屋市に指示を仰いだ ところ、古い住所が記載された接種券にて接種をして問題ないとのことでした。

3.ご入居者様に対する接種の実施
施設内にて設けられた訪問診療日に合わせて、以下の流れでワクチン接種を行いました。
1.最初に寝たきりのご入居者様の居室を医師と看護師が回り、接種を行う
2.寝たきりのご入居者様の接種終了後、同じフロアにて車いすで移動できるご入居者様に共有スペースまで集まっていただき接種を行う。この間、介護スタッフが寝たきりのご入居者様の摂取後の経過観察を行う。異常があれば看護師に報告する。
3.車いすのご入居者様への接種終了後、寝たきりのご入居者様の経過観察時間(15分)が過ぎるため、通常の訪問診療として寝たきりのご入居者の居室へ伺い、異常がないことを確認する。その間、車いすのご入居者様の経過観察は、共有スペースにて介護スタッフが行う。異常があれば看護師に報告をする。
※経過観察中、アナフィラキシーショックがあった際にすぐ対応できるよう、看護師がアドレナリン注射を持ち合わせていました。

4.高齢者施設の従事者に対する接種の実施
ご入居者様への接種を最優先するなかで、バイアルロスが出る場合はメグラスのスタッフに接種をすることで、ロス解消を行ってまいりました。さらに、ご入居者様への接種が全員分終了した段階で、全スタッフへの接種を開始しました。


【まとめ】
この度の新型コロナワクチン接種の準備から実施までを通じて、今後同様の対応が求められた際の学びとなる「気づき」がいくつもありました。このように各事業所にて生まれたこれらの「気づき」を蓄積し、将来に活かすための仕組みが見当たらなかったことから、メグラスでの事例をレポートにまとめ、自ら社会へ発信することといたしました。
本レポートの内容に関しては、メグラス内での経験のみでは判断・判別できないこと、賛否両論あることも多いと考えます。しかし、新型コロナウイルスに関して社会全体が模索を続ける中で、このような情報公開が何かの役に立つことを切に期待いたします。
最後に、日々感染対策に向き合われる医療従事者・介護従事者の皆さまに、敬意を表します。
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