医療・医薬・福祉

モバイルヘルスアプリを用いたドライアイに関する共同研究を開始

学校法人 順天堂
~モバイルヘルスアプリとゲノムの融合で拓くドライアイのP4 Medicineの実現~

ドライアイに悩む方は世界中で10億人といわれ、デジタル社会の拡大に伴い、患者数はさらに増加する傾向にあります。よくみられる疾患である一方、ドライアイは症状の個人差が大きく、複数の要因が複合的に絡み合って発症すると考えられており、その原因や機序は未だ解明されていないところが多くあります。さらに治療は点眼による対症療法が中心であり、根治的な治療方法は確立されていません。 東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と順天堂大学は、コホート調査にモバイルヘルスアプリを組み込んで、眼に関連する様々な情報を収集し、ドライアイが環境要因、生活習慣、遺伝要因とどのように関連するのか明らかにする研究を開始します。この研究をもとに、ドライアイ診療におけるSociety 5.0*4を実現し、多くの方がドライアイ症状から解放され、より快適な生活を送るようになると期待されます。この共同研究は2021年8月12日より開始されます。


【発表のポイント】

東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査*1参加者3,000人に対して、モバイルヘルスアプリによる調査を開始します。ゲノム情報を伴う大規模な研究でモバイルヘルスアプリを用いた眼科疾患を対象としたものは世界初とみられます。
モバイルヘルスアプリでは、ドライアイに関する自覚症状だけでなく、気温・湿度・花粉等の環境要因、モニター使用時間・コンタクトレンズ装用等の生活習慣要因等、包括的な情報を収集します。東北メディカル・メガバンク計画によるゲノム解析情報を組み合わせて、ドライアイの新しい病型分類の確立とその発症または重症化に関わる疾患遺伝子多型の特定を目指します。
多くの方々のQOL*2を下げる要因であるドライアイに対する予防・個別化・予測・参加型からなるP4 Medicine*3という新たな価値の提供の基盤となることが期待されます。


【概要】
ドライアイに悩む方は世界中で10億人といわれ、デジタル社会の拡大に伴い、患者数はさらに増加する傾向にあります。よくみられる疾患である一方、ドライアイは症状の個人差が大きく、複数の要因が複合的に絡み合って発症すると考えられており、その原因や機序は未だ解明されていないところが多くあります。さらに治療は点眼による対症療法が中心であり、根治的な治療方法は確立されていません。
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と順天堂大学は、コホート調査にモバイルヘルスアプリを組み込んで、眼に関連する様々な情報を収集し、ドライアイが環境要因、生活習慣、遺伝要因とどのように関連するのか明らかにする研究を開始します。この研究をもとに、ドライアイ診療におけるSociety 5.0*4を実現し、多くの方がドライアイ症状から解放され、より快適な生活を送るようになると期待されます。この共同研究は2021年8月12日より開始されます。

【詳細】
<研究の背景>
・ドライアイとは
ドライアイは本邦で2,000万人、世界で10億人以上が罹患する最多の眼疾患であり、超高齢社会、ウィズ/アフターコロナにおけるデジタル社会において、今後も増加すると推察されています。ドライアイの症状は、乾燥感のみならず、羞明*5、眼精疲労、視力低下等多岐にわたります。また、ドライアイは多因子疾患であり、湿度・花粉・PM2.5等の環境因子、食事・喫煙・運動・モニター使用時間・コンタクトレンズの装用等の生活習慣、加齢・性別(女性)・遺伝・家族歴等の宿主因子等が、複合的に関連してドライアイの発症や経過に影響を及ぼします。
・ドライアイ治療の課題
ドライアイに対する治療は点眼による対症療法が未だ主体であり、完治する治療方法は存在せず人生の長期にわたり生活の質の低下を起こします。そのため、ドライアイの発症や重症化を未然に防ぐ、予防医療や個別化医療が重要です。しかし、従来の研究手法では個々人の多様な自覚症状や、関連する生活習慣等とゲノム情報の包括的な収集が課題でした。

<研究の詳細>
・期間 : 2021年8月~2022年6月
・リクルート方法 : 地域支援仙台センター*6での健康調査に来所された対象者
・同意の取り方 : スマートフォン上でのモバイルヘルスアプリによる電子同意
・目標参加人数 : 3,000名
・使用アプリ : ドライアイ用アプリ「ドライアイリズム」のiOS版とAndroid版
・この研究により得られる情報 : ドライアイ症状の点数化、生活習慣との関連、労働生産性、抑うつ症状

<研究の特徴>
・ドライアイリズムの活用
順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範准教授らの研究グループは、ドライアイの啓発と個別の疾患管理を目的として、2016年11月にiPhone版、2020年9月にAndroid版のスマートフォンアプリ「ドライアイリズム」をリリースしました。これまで25,000人以上の参加者のドライアイの症状と、関連する生活習慣のリアルワールドデータ*7を継続収集しています。
ドライアイリズムの利点は、主に以下の3点が可能なことです。
1) 頻回・継続・遠隔・リアルタイム等の条件を満たした多様なデータの取得
2) 生体センサリングデータの取得
3) 双方向性の参加型医療の実践
また、研究への同意取得のプロセスもアプリ内で包括的に実施可能であるため、個々人の広範な情報収集に適しています。
・大規模なコホート調査/バイオバンクとの協働
ToMMoはこれまで実施してきたコホート調査で、眼科領域に着目して継続的なデータ収集を進めてきました。しかしながら、これまでの調査項目は、コホート調査の参加者がToMMoの地域支援センターに来所した際にのみデータを収集するものでした。本研究ではToMMoと 順天堂大学とが連携し、来所者に対して、モバイルヘルスアプリによるデータ収集を自宅などで複数回行うことを依頼するものです。すでにゲノム解析が進んでいるコホート調査に、ドライアイリズムによる調査を追加することによって、モバイルヘルスとゲノム情報を組み合わせた新しい医療ビッグデータを統合解析し、ドライアイの新しい病型分類の確立とその発症または重症化に関わる疾患遺伝子多型の特定を目指します。

<研究の意義>
本研究の研究グループは電子カルテや疫学調査等の医療情報から収集した「従来の医療ビッグデータ」だけでなく、Society5.0時代の医療として、モバイルヘルスやセンサー機器等を通じて、個々人の多様な症状、頻回・継続・遠隔・リアルタイム・双方向性データ、生体センサリングデータ、ゲノム・オミックス情報等の「新しい医療ビッグデータ」を収集し、人工知能(AI)にて解析します。こういったデータ駆動型多階層横断的アプローチによる予防、個別化、予測、参加型の医療は『P4 Medicine』と呼ばれ、新たな価値を提唱・提供しています。
本研究では、ウィズ/アフターコロナにおけるデジタル社会で今後増加が予想されるドライアイにおいて、モバイルヘルスとゲノム情報を組み合わせた新しい医療ビッグデータを融合したハイブリッド型のデータ駆動型多階層横断的アプローチを推進し、Society5.0時代におけるP4 Medicineの実現に挑戦します。

<研究費>
・国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 共創の場形成支援 (センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム) 令和2年度 COI若手連携研究ファンド デジタル分野連携研究
・科学研究費助成事業 若手研究 (2021-2023)
・科学研究費助成事業 研究スタート支援 (2020-2022)
・公益信託 参天製薬創業者記念眼科医学研究基金 2020年度 (第10回) 公益信託参天製薬創業者記念眼科医学研究基金
・公益財団法人 テルモ生命科学振興財団 2020年度 III研究助成金
・順天堂大学大学院医学研究科共同研究講座(デジタル医療講座)研究費
・研究助成 (SEED株式会社)

【参考】
<東北メディカル・メガバンク計画について>
東北メディカル・メガバンク計画は、東日本大震災からの復興事業として平成23年度から始められ、被災地の健康復興と、個別化予防・医療の実現を目指しています。ToMMoと岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構を実施機関として、東日本大震災被災地の医療の創造的復興および被災者の健康増進に役立てるために、合計15万人規模の地域住民コホート調査および三世代コホート調査を平成25年より実施し、収集した試料・情報をもとにバイオバンクを整備しています。
東北メディカル・メガバンク計画は、平成27年度より、日本医療研究開発機構(AMED)が本計画の研究支援担当機関の役割を果たしています。
図:ドライアイリズムの画面例
【用語説明】
*1 コホート調査 : ある特定の人々の集団を一定期間にわたって追跡し、生活習慣などの遺伝要因・環境要因などと疾病発症の関係を解明するための調査のこと。
*2 QOL : Quality of life(クオリティ オブ ライフ)は一人一人の「生活の質」であり、身体的な苦痛の軽減、精神的、社会的活動を含めた総合的な満足度という意味。
*3 P4 Medicine : 予測医療(Predictive Medicine)、個別化医療(Personalized Medicine)、予防医療(Preventive Medicine)、参加型医療(Participatory Medicine)からなる。Leroy Hが雑誌 Nat Rev Clin Oncolで 2011年に最初に提唱した。
*4 Society 5.0 : サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)(内閣府、第5期科学技術基本計画で提唱)。
*5 羞明 : 通常は苦痛を感じない光量に対して、まぶしさなどの不快感や眼の痛みなどを生じる状態。
*6 地域支援仙台センター : ToMMoが詳細な健康調査を実施するために仙台市に設置したセンター。
*7 リアルワールドデータ : 診療録、健診データなどの臨床現場から得られるデータ。
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