医療・医薬・福祉

小児における進行性近視の新しい治療薬として開発中のSYD-101についてSantenとSydnexis社が独占的ライセンス契約を締結

参天製薬株式会社
参天製薬株式会社(本社:大阪市、以下Santen)はこのほど、スイス法人のSanten SAを通じて、進行性の近視治療薬の開発に注力するバイオ医薬品企業Sydnexis Inc.(本社:米・カリフォルニア、以下Sydnexis社)と、同社が独自に開発している低用量アトロピン製剤SYD-101について、ヨーロッパ、中東、アフリカ地域(EMEA)における独占的ライセンス契約を締結しました。SYD-101は現在、ヨーロッパおよび米国において大規模多施設共同第III相臨床試験(STAAR試験)が実施されており、世界的に存在する近視の治療ニーズに対応する医薬品として、Santenにとって製品戦略上、重要な位置づけのものとなります。


「近視を矯正しないまま放置すると、視力の低下を引き起こします。幼少期など早期に発症すると、長期的に眼の合併症を発症するリスクが高くなります。現時点では、近視の症状を矯正する治療法しかないため、本領域で世界最大規模の臨床試験を通じてSYD-101を研究することは、原因疾患に対する治療薬を見つける上で重要な一歩になります。」とオーストリア・グラーツ医科大学 眼科医のMartina Brandner氏は述べています。

SYD-101は、治験中の低用量アトロピン硫酸塩点眼液(0.01%および0.03%)であり、治療継続率の向上に向け、有効性、安定性の達成および、不快感を軽減するように設計されています※1,2。 一方、低用量のアトロピンは有効であることが報告されていますが、保存期間が短く、かつ、小児において点眼時に刺激を伴う酸性領域でのみ安定性が保たれるという制約があります※3,4。SYD-101は、独自の処方に基づき、pHを下げることなく薬理学的に安定し、室温で最大3年に及ぶ有効期限を実現させる低用量アトロピン製剤として開発されました※5。

Sydnexis社CEOのKenneth Widder氏は、次のように述べています。「SYD-101をEMEA地域で展開するという目標に向け、眼科領域のグローバルリーダーであるSantenと連携することになり大変嬉しく思います。近視は世界的な課題であり、さらに新型コロナウイルス感染症によるロックダウンの期間中にパソコン画面を見る時間が増えたことなどにより、ますます増加することが懸念されています。EMEA地域での承認申請プロセスを進める上でSantenの専門知識を高く評価しており、この地域における近視ニーズに協力して取り組んでいけることを楽しみにしています。」

最も一般的な眼疾患のひとつである近視は、患者数が2050年までに世界で50億人に達すると予測されており、公衆衛生上の課題となっています※6-8。ヨーロッパだけでも、近視の有病率はここ10年で42%近くまで増加すると推定されています※8。近視の発生率と重症度の上昇は、子供たちが読書、勉強、デジタル機器の使用などの近業(近くを長時間見る作業のこと)に費やす時間が増え、屋外で過ごす時間が減っているライフスタイルの変化に大きく起因しています※6,9。強度近視や急速に進行した近視は、治療を行わない場合、緑内障、白内障、網膜剥離などの深刻な眼疾患につながり、不可逆的な視力低下を引き起こす可能性があります※8。現在、ヨーロッパの子供の近視は、眼鏡やコンタクトレンズで視力矯正されていますが、進行を遅らせることはできません。このような症例の増加を受けて、欧州眼科学会は、アトロピンによる治療の導入や、屋外での活動時間の増加を促すガイダンスを発表しています※9。

SantenのEMEA事業統括のルイス・イグレシアスは、次のように述べています。「目の健康は、子供の心身の健康において重要であり、発育に影響を及ぼします。当社は、近視進行抑制治療薬となる可能性を持つSYD-101のEMEA地域での開発・上市に向け、Sydnexis社と連携できることを誇らしく思います。治療しなければ、近視の長期的な合併症により、成人期まで患者さんの生活に支障をきたします。本ライセンス契約を通じて、患者さんの経験から得た学びと、我々の専門知識を結集し、急増する子供の近視に対処していきます。」

Santenの代表取締役社長兼CEOの谷内樹生は、次のように述べています。「国連総会は先月23日、目の健康と持続可能な開発目標との関連性を考慮し、目の健康に関する初めての決議を採択しました。この国連の動きは、目の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減するための大きな一歩となります。当社は、急増する近視を社会的な問題として捉えており、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして患者さんのアンメットニーズに応えるべく近視領域に取り組んでまいります。また、近視領域は中長期的に当社の成長ドライバーのひとつでもあります。欧州で先行して開発されているSYD-101を当社の開発パイプラインに加えることで、近視治療に関する事業を効率的にグローバル展開することができ、世界中で治療を必要としている近視患者さんへの貢献度を高めることにつなげてまいります。」

※参考資料
1. Chua WH, Balakrishnan V et al., Atropine for the treatment of childhood myopia. Ophthalmol. 2006; 113: 2285-91.
2. Tong l, Huang XL et al., Atropine for the treatment of childhood myopia: Effect on myopia progression after cessation of atropine. Ophthalmol. 2009; 116(3):572-579
3. Polling JR, Kok RG et al., Effectiveness study of atropine for progressive myopia in Europeans. Eye. 2016; 30(7):998-1004
4. Diaz-Llopis M, Pinazo-Duran MD. Super diluted atropine at 0.01% reduces progression in children and adolescents. A 5 year study of safety and effectiveness. Arch Soc Esp Oftalmol. 2018; 93(4):182-185
5. Sydnexis internal stability data. Data on file.
6. Burton MJ, Ramke J et al., The Lancet Global Health Commission on Global Eye Health: Vision beyond 2020. Lancet. 2021; 9(4): 489-551
7. Eye Disease Prevalence Research Group. The prevalence of refractive errors among adults in the United States, Western Europe and Australia. Arch Ophthalmol. 2004; 122(4): 495-505
8.Holden BA, Fricke TR et al., Global prevalence of myopia and high myopia and temporal trends from 2000 through 2050. Ophthalmol. 2016;123(5):1036–42
9.Nemeth J, Tapaszto B et al., Update and guidance on management of myopia. European Society of Ophthalmology in cooperation with International Myopia Institute. Eur J Ophthalmol. 2021

近視について
目に入ってきた光の情報は、角膜と水晶体を通り、屈折して網膜の上下反転した像として写し出されます。近視とは、目に入った光が調整されずに網膜の手前でピントが合ってしまう視覚の状態を指します。この状態は、主に眼球が正面から背面にかけて伸びることによると考えられています。近視の度合いは、等価球面屈折異常(単位:ジオプトリ(D))で表されます。国際近視機関は、等価球面屈折異常の値に従って近視を分類しており、等価球面屈折異常−0.5 D以下を「近視」、等価球面屈折異常−6.0 D以下を「強度近視」に分類しています。強度近視の患者さんは、失明につながる合併症を発症するリスクが高くなることが報告されています。近視は、一般にメガネまたはコンタクトレンズを用いて矯正されます。これに加えて、点眼薬、角膜矯正治療など、近視の進行を抑制するさまざまな治療が開発されており、様々な臨床試験が実施されています。

STAAR試験について
STAAR試験は、3~14歳の850人以上の子供を対象に、SYD-101の2つの用量を評価する世界的な多施設共同の無作為化二重遮蔽基剤対照試験です。この研究では、等価球面度数(SE)が一定の値まで進行した患者の割合、SEで測定された平均進行率、眼軸の長さの平均伸長量などのエンドポイントにより、実験群と対照群の間の近視の進行を測定します。

Sydnexis社について
Sydnexis社は、進行性の近視治療薬の開発に注力するバイオ医薬品企業です。進行性の近視の子供たちの生活を向上させるために、近視の進行を改善するための低用量アトロピンの治療薬開発に注力しています。

Santen(参天製薬株式会社、本社:大阪市)について
Santenは、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、医療用・一般用の医薬品や、医療機器の研究、開発、販売・マーケティング活動を行っており、世界約60を超える国・地域で製品を販売しています。
Santenが目指す理想の世界、「WORLD VISION」(Happiness with Vision)の実現に向け、世界中の技術や組織・人材をつなぎ、「見る」を通じて人々の幸せを実現するSocial Innovatorとして、眼の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減することを目指します。
130年の歴史の中で培われた科学的知見や企業力を活かし、製薬企業としての枠を越え、患者さん起点で眼科医療ソリューションの開発と提供に取り組み、価値ある製品・サービスの提供を通じ、患者さんや患者さんを愛する人たちを中心に社会への貢献を果たしていきます。
詳細については、当社ホームページ https://www.santen.co.jp をご参照ください。
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