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カイロで温めることで血管が生まれる可能性発見 - 2021年9月4日 Modern Rheumatologyにて報告-

小林製薬株式会社
小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩)と国立大学法人大阪大学(学長:西尾章治郎)は、使い捨てカイロ(以下、カイロ)の温熱技術を用いた末梢血行障害に対する新規治療法の確立を目指して2018年より大阪大学大学院医学系研究科に「血管作動温熱治療学共同研究講座(産学連携・クロスイノベーションイニシアティブ)」(以下、本講座)を設置し、温熱治療の研究に取り組んできました。 このたび、本講座における嶋良仁特任教授との共同研究において、カイロで温めることで末梢血行障害の一種であるレイノー現象※の症状が緩和されることと血管を新しく作る時に働く因子(以下、毛細血管形成因子)が増加することを明らかにし、結果が一般社団法人日本リウマチ学会の学会誌「Modern Rheumatology」に掲載されました。 ※レイノー現象:末梢血行障害の一種。冷たい刺激で血行が悪くなり、突然指先が白色や紫色に変わる現象。


<研究の背景>
これまで様々な血管拡張剤や血管の収縮を抑える薬剤が治療薬として使用されてきましたが、満足のいく効果は得られておりません。そこで今回、レイノー現象の症状が現れる全身性強皮症患者14名を対象にカイロを使用する期間と使用しない期間でレイノー現象の症状のひどさに違いが出るかを検証しました。

<結果>


カイロで肘上を温めている期間、レイノー現象の症状のひどさを示す指標が低いことを確認(図1)。
カイロで肘上を温めた後に毛細血管形成因子が増加(図2)。




<考察>


カイロで温めることでレイノー現象の症状が緩和されることが示されました。
レイノー現象を示す人は毛細血管が蛇行していることが知られていますが、温めることで毛細血管の走行が良くなる可能性が示されました。



本研究成果により、カイロで温めることが、レイノー現象の症状緩和だけにとどまらず、毛細血管の走行が良くなる可能性が示されました。毛細血管の形態が良くなることでレイノー現象に対する治療効果が期待できます。
今後もさらにカイロの温熱技術の研究を進めて、将来的には、レイノー現象だけでなく、さまざまな末梢血行障害への応用を目指します。

<研究詳細>
対象者:レイノー現象を呈する全身性強皮症患者14名
実験手法:
カイロで温めることが、レイノー現象の症状へどのような影響を与えるかを調べるために、肌温度40℃が6時間持続するカイロを肘上に装着し、カイロを使用しない期間、カイロを使用する期間の順に1週間ずつ期間を設けて、レイノー現象の症状のひどさを示す指標としてVisual Analog Scale(以下、VAS)※を用いてカイロを使用する期間と使用しない期間でレイノー現象の症状のひどさに違いが出るかを検証しました。
※VAS:長さ100mmの黒い線を対象者に見せて、程度を指し示す視覚的評価スケール


その結果、カイロを使用する期間でVASが低いことが確認できました(図1)。このことから、温めることでレイノー現象の症状が緩和されることが示されました。

さらに、レイノー現象に対するカイロの作用機序を調べるため、カイロを使用する前と後で指先から血液を採取し、毛細血管形成因子であるアンジオポエチン1(以下、Ang1)の量が変化するかを検証しました。

その結果、カイロを使用した後にAng1の量が増加していることが確認できました(図2)。レイノー現象を示す人は毛細血管が蛇行していることが知られていますが、今回の結果から、血管を新しく作る時に血管構造の安定化に働く因子であるAng1の量が増加することで、温めることで毛細血管の走行が良くなる可能性が示されました。
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