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エーザイとPRISM BioLab共同創製のCBP/β-catenin阻害剤E7386について、臨床におけるPOC(Proof of Concept:創薬概念の検証)を達成

株式会社PRISM BioLab
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤 晴夫、以下 エーザイ)と株式会社PRISM BioLab(本社:神奈川県、代表取締役:竹原 大、以下 PRISM)は、このたび、両社が共同で創製した中分子化合物であるCREB-binding protein (CBP)/β-catenin阻害剤E7386について、臨床におけるPOC(Proof of Concept:創薬概念の検証)を達成したことをお知らせします。E7386については、エーザイが、単剤による固形がんを対象とした臨床第I相試験、およびエーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤レンバチニブメシル酸塩(製品名:「レンビマ(R)」、以下レンバチニブ)との併用療法による肝細胞がんを含む固形がんを対象とした臨床第Ib相試験を実施中です。今回のPOC達成は、両社間の契約に定めたクライテリアに従って、上記の臨床試験における抗腫瘍効果やバイオマーカーの変動等のデータに基づき確認されました。





E7386のターゲットであるβ-catenin は、創薬への展開が特に難しい標的分子(Undruggable target)の一つとされています。同じくE7386のターゲットであるCBPとともにWntシグナルの下流に位置し、Wntシグナル転写活性を制御します。E7386 は、CBPとβ-cateninのタンパク質–タンパク質相互作用を阻害し、Wntシグナルに依存した遺伝子発現を調節するCBP/β-catenin阻害剤であり、Wntシグナルに依存した腫瘍増殖を抑制することが期待されます1。また、E7386は、Wntシグナル活性化による腫瘍浸潤T細胞の抑制を解除することも期待され、免疫チェックポイント阻害剤の効果を増強する可能性があります1。担がんマウスモデルにおいては、E7386単剤およびE7386と抗PD-1抗体との併用による抗腫瘍効果が確認されています1。

本POC達成を受けて、エーザイは、E7386と抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法を固形がんにおいて評価する臨床第Ib/II相試験(201試験)を日本で開始しました*。

エーザイ株式会社の常務執行役 オンコロジービジネスグループ プレジデントである大和隆志博士は、「POCを達成したことで、E7386をがん治療薬として患者様にお届けできる可能性に自信を深めています。E7386は、レンバチニブやペムブロリズマブと併用することにより、それらの治療抵抗性を克服できる可能性があります。E7386とレンバチニブ併用療法あるいはペムブロリズマブ併用療法の臨床試験を加速し、アンメット・メディカル・ニーズの高いがんへの新たな治療法創出をめざして全力を尽くします」と述べています。

株式会社PRISM BioLabの代表取締役である竹原大は、「E7386の臨床試験におけるPOCが認められたことで、これまで困難とされてきた創薬標的に対してPRISMの創薬基盤が有効な手法となることが実証されました。この開発を進めていただいているエーザイ株式会社に感謝するとともに、今後も多くの標的に対してチャレンジし、一人でも多くの患者様に新たな治療方法を提供することを目指してまいります」と述べています。

* 201試験は、本試験に関するエーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の提携・供給契約に基づき実施されます。

以 上


【参考資料】
1. エーザイ株式会社について
エーザイは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。当社はグローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、hhcの実現に向けて戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界中の約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
当社はhhcの理念のもと、サイエンス、臨床科学、患者様の視点から、顧みられない熱帯病、持続可能な開発目標(SDGs)を含む世界のアンメット・メディカル・ニーズに対して、革新的なソリューションの提供をめざします。
エーザイ株式会社の詳細情報は、www.eisai.co.jpをご覧ください。Twitterアカウント@Eisai_SDGsでも情報公開しています。

2. 株式会社PRISM BioLabについて
PRISM BioLabは、独自に開発したαヘリックス・βターン擬態技術を活用して、低分子化合物によるタンパク質間相互作用の制御による創薬を目指しています。PRISMは、細胞内で様々な信号を伝達するタンパク質/タンパク質相互作用を制御する独自のペプチド模倣技術『PepMetics™』を利用し、癌や線維症分野の臨床パイプラインを創出するとともに、国内外の多数の製薬会社と提携して新たな創薬標的に取り組んでいます。
http://www.prismbiolab.com/

3. Wntシグナルについて
Wnt は分子量約4万の糖タンパク質で、線虫やショウジョウバエから哺乳類に至るまで生物種を超えて保存され、初期発生や形態形成、器官形成、出生後の細胞の増殖・分化・運動などを制御することが報告されています。Wntシグナルには、細胞分化・背側形成にかかわるWnt/β-catenin 経路、平面内細胞極性・原腸陥入運動にかかわるWnt/PCP経路、胚葉分離にかかわるWnt/Ca2+経路、筋新生の制御に関与する経路、などが知られています。Wntシグナルの中で最もよく知られているのがWnt/β-catenin 経路です。β-cateninがWnt シグナルのメディエーターとして遺伝子発現を誘導し、その結果細胞の増殖や分化を制御することが報告されています。β-catenin は、RAS、P53およびMYCとともに“Cancer’s Big 4”と呼ばれ、創薬への展開が困難な標的分子(Undruggable target)の一つとされています。

4. E7386について
E7386 は、転写コアクチベーターであるCBPとβ-cateninの間のタンパク質–タンパク質相互作用を阻害し、Wntシグナルに依存した遺伝子発現を調節するCBP/β-catenin阻害剤です。E7386は、Wntシグナルの最下流であるCBP/β-catenin転写複合体に作用するため、リガンド依存性の活性化だけでなく、adenomatous polyposis coli(APC)やβ-cateninなどのWntシグナル因子の遺伝子変異に起因する活性化も阻害することが期待されます。

1Cancer Res. 2021 Feb 15;81(4):1052-1062.
https://cancerres.aacrjournals.org/content/81/4/1052.full-text.pdf
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