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【学会速報】脳の健康を測定・評価する研究プラットフォームの構築

ベスプラ
『研究・イノベーション学会』の2021年、年次学術大会にて発表

株式会社ベスプラ(社長:遠山 陽介、以下:ベスプラ)は、研究・イノベーション学会にて2021年10月31日の年次学術大会にて、脳の健康維持に資する効率的な産官学連携ウェルネスサービスの提供を目的とした「脳の健康を測定・評価する研究プラットフォーム」を発表しました。


■研究・イノベーション学会の第36回年次学術大会
期間:2021年10月30日(土)~2021年10月31日(日)

■発表者
○ 遠山 陽介(株式会社べスプラ)
岡本 摩耶(一般社団法人日本薬理評価機構)
山川 義徳(一般社団法人ブレインインパクト、神戸大学、東京工業大学、京都大学)

1. 背景
 近年、民間企業がビジネスを進める上でも有効に活用できると考えられている神経科学研究では、消費者の購買や意思決定について脳情報を用いて明らかにするニューロマーケティングやニューロエコノミクスという新しい研究分野が始まっている。これらを個別の研究分野として閉じることなく、そこで得られる脳情報をビジネス利用も含む開かれた取り組みとすることで、脳科学自体の発展への貢献が期待できる。
 政府は、2025年には我が国の認知症患者数が730万人に達すると発表している[1]。その一方で、近年の研究により、認知症の予防は可能なことが明らかとなりつつある。しかし、国民の7割程度は認知症の予防に係る取組みに対する関心が低いとされており、自治体等においては、予防活動に対するインセンティブとしての健康ポイント等の効果的な付与先などのデータ的根拠がないことに加え、健康ポイントの付与自体が応急的であり持続的ではないという課題を抱えている。
 また、企業やアカデミアにおける従来の認知症予防の学術研究では、被験者の確保、MRI撮像による脳の健康状態のデータ取得、被験者の日常の行動記録システム、被験者へのインセンティブ(謝礼)付与システム、倫理審査、成果公表等について、それぞれ個別に準備して実施する必要があり非常に煩雑であった。

○主な課題
・脳に関わる神経科学研究は、民間企業にとって需要があるものの、前例も少なく研究を実施するための計画・準備・実行・管理・成果発表までのハードルが高い
・被験者の確保や、健康状態や日常行動データの取得、被験者へのインセンティブの付与に手間および高額な費用がかかる
・産官学や研究機関、医療機関との連携を都度構築しなくてはならないため、研究コネクションの維持・構築に時間がかかる
・上記の状況から、企業側の負担が高いため、脳関連の研究頻度が少なく、脳関連における研究側の人材が育ちにくい

これらの課題を解決し、脳の健康維持に資する効率的な産官学連携ウェルネスサービスの提供を目的として、「脳の健康を測定・評価する研究プラットフォーム」を構築したので紹介する。


2. 研究プラットフォームのデザイン
 本研究プラットフォームは、解析基盤、被験者管理基盤、心理アンケート管理基盤、スマートデバイス管理基盤、BHQドック[1]連携基盤の5層の基盤をベースに、研究計画の立案から実行、成果公表まで、一気通貫の支援を実施するものである(図1)。これらの支援にあたっては、大学、病院、デバイスメーカー、マーケティング会社等と連携関係が構築されており、実施する研究に応じて必要な支援を提供することが可能である。各フェーズにおける具体的な支援内容を以下に示す。

【図1.研究プラットフォームのデザイン】


【研究計画支援】
 専門家会議の開催や調査を実施するための「専門家選定支援」、BHQドック拠点の選定やスマートデバイスの選定、心理アンケートの設計を行う「研究環境設定支援」、「被験者リクルート支援」、「倫理審査申請支援」等の支援を実施する。
【実行支援】
 被験者に対し、匿名化IDの発行、同意書取得、スケジュール管理、謝金支払い等を行う「被験者管理支援」、MRIスロット予約、被験者情報の受け渡し等を行う「BHQドック拠点連携支援」、MRIとスマートデバイスのID紐付け、スマートデバイスのログ取得、心理アンケートの実施等を行う「実験実施支援」等の支援を実施する。
【成果公表支援】
 論文執筆や学会発表等の「成果発表支援」、成果のプレスリリース等を実施する際の「アウトリーチ支援」、エビデンスによるマーケティング戦略の立案等を行う「プロモーション支援」、次世代投資計画の策定等を支援する「ブランディング支援」等の支援を実施する。

 本研究プラットフォームは、従来の研究において特に課題とされてきた「倫理審査」、「被験者リクルート」、「インセンティブ(謝礼)付与」、「データ管理」、「アウトリーチ」等を解決するための一手段となり得る。一般にも導入が進んでいるスマートフォンアプリや、セキュアなクラウドシステムなど、ICTを活用する事で安全な被験者管理や各種データ蓄積および分析を行う事ができる本プラットフォームの実現を可能とした。


3. 導入事例
 以下に本研究プラットフォームを活用して実施する研究の事例を4例挙げる。糖尿病研究と脳の健康に係る基礎的研究(導入事例1)から、フィットネスの利用や在宅勤務と脳の健康との関係といった実フィールドに近い研究(導入事例2,3)に加え、健康アプリの活用により地域店舗などで使える健康ポイント獲得のプラットフォーム(官民連携ウェルネスサービス)の構築(導入事例4)など、多方面での活用が可能である。

【導入事例1:糖尿病と脳の健康に関する研究】[2]
 近年、生活習慣病の中でも糖尿病と認知症の密接な関係が話題となっている。久山町研究[3](福岡県)の結果によると、認知症の原因として最も多いアルツハイマー病になるリスクは、糖尿病では血糖が正常な人に比べて2.1倍と報告されている[1]。認知症発症対策のひとつとして血糖コントロールの重要性が示唆される中、糖尿病予備群における脳の健康の維持・増進を目指す研究において、本研究プラットフォームが活用されている。

本研究プラットフォームの導入により実施する研究モデルは以下の通りである。
・糖尿病予備群における脳の健康や認知機能の状況(健常人との比較)
・糖尿病予備群における運動・食事・脳トレーニングは、脳の健康や認知機能にどのような影響を与えるか

本研究は、糖尿病予備群における脳の健康を維持・増進するために必要な要素を明らかにし、患者エンパワーメント[4]に貢献することを目指すものである。また、これらの基礎研究と並行して、糖尿病ならびに認知症にも予防効果があるとされる「運動」について、実フィールドにおける応用研究を実施する。

【図2 糖尿病と脳の健康に関する研究における導入事例】



【導入事例2:フィットネスと脳の健康に関する研究】[5]
 2型糖尿病[6]や一部の心血管疾患、骨粗しょう症、認知症などは、日々の食事や運動などの生活習慣が発症に関与すると言われている。また、過去の多くの研究において、運動が脳に有益な効果をもたらすことが明らかにされてきた。
 昨今の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、従来の接触型の運動および健康管理に加えて、非接触型の運動および健康管理の在り方の検討が重要であると考えられる。
 このような課題の検討を目的とした、フィットネスクラブの利用者の脳の健康の維持・増進に係る研究において、本研究プラットフォームが活用されている。本研究プラットフォーム内では、脳科学に基づいた脳の健康維持・増進を目的としたスマートフォンアプリが提供されている。アプリには運動や食事管理の機能、脳トレーニングを実施する機能が実装されており、その人に最適な活動を提案することが可能である。これにより、生活習慣病や将来の認知症に対して医療従事者・患者・家族・介護を繋げ、医療現場の負担を軽減させる超早期の対策を展開することが期待できる。

本研究プラットフォームの導入により実施する研究モデルは以下の通りである。
・フィットネスは脳の健康や認知機能にどのような影響を与えるのか
・フィットネスクラブの利用者における運動・食事・脳トレーニングは、脳の健康や認知機能にどのように影響を与えるか

【図3 フィットネスと脳の健康に関する研究における導入事例】


【導入事例3:新たなワークスタイルと脳の健康に関する研究】[7]
 新型コロナウイルス感染症の世界的流行から1年以上が経過し、収束の気配が見えないまま、ステイホームが余儀なくされている。企業におけるワークスタイルも徐々にそれに対応し、従来のオフィスでの働き方から在宅・オフィスの共存型の働き方にシフトしつつあることが知られており、東京都の調査では2021年8月時点で65.0%の企業がテレワークを導入(東京都の調査開始以降、過去最高)していることが報告されている[2]。昨今の働き方改革の動きも含め、この傾向はポストコロナにおいてもニューノーマルとして続いていくことが予想される。
 一方で、在宅勤務は、その閉塞感や運動不足等の理由から、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性が示唆されており、感染予防をしながらも、健康の維持・増進が可能なワークスタイルの在り方が議論され始めている。
 ワークスタイルが多様化する中で、感染拡大防止対策に加え、在宅とオフィスのそれぞれの付加価値を検討し、企業や従業員が持続的な成長を行うワークプレイスの提供に関する研究に、本研究プラットフォームが活用されている。

本研究プラットフォームの導入により実施する研究モデルは以下の通りである。
・新たなワークスタイルは、脳の健康や認知機能にどのような影響を与えているか
・新たなワークスタイルにおける運動・食事・脳トレーニングは、脳の健康や認知機能を高めるか

 本研究プラットフォームの活用により、若年層(ビジネスマン)に対して脳の健康維持・増進を目的としたアプリによるアプローチを行うだけでなく、ポストコロナに適応した従業員のウェルビーイングを実現するオフィス環境づくりを進めることが期待できる。

【図4 新たなワークスタイルと脳の健康に係る研究における導入事例】



【導入事例4:官民連携サービスにおけるインセンティブ付与モデル(東京都、八王子市)】[8]
 近年の研究により、認知症の予防は可能なことが明らかとなりつつある。しかし、国民の7割程度は予防に係る取組みに対する関心が低いとされており、自治体等においては、予防活動に対するインセンティブとしての健康ポイント等の効果的な付与先などのデータ的根拠がないことに加え、健康ポイントの付与自体が応急的であり持続的ではないという課題を抱えている。
 具体的には、予防活動に対するインセンティブの設計とその付与手段を構築し、それらを入口として積極的な予防活動や社会参加を促すことで地域住民の健康意識への需要を掘り起こすともに、需要に応える効果的なウェルネスサービスを持続的に提供可能なビジネスモデルが必要とされている。
 これらの課題を解決し、効率的な官民連携サービスを構築するために、東京都や八王子市において本研究プラットフォームが活用されている。プラットフォーム内の健康アプリを活用することにより、そのインセンティブとして地域店舗などで利用可能な健康ポイントの付与を実施するというもので、予防活動の促進と地域活性化の双方が期待できる。本サービスにはセキュアなクラウド技術を利用する事で、官民連携の課題とされるデータの高度な保護と活用の両立が可能となっている。

【図5 官民連携サービスにおけるインセンティブ付与モデル(東京都、八王子市)】


4. 考察
 本研究プラットフォームは、企業やアカデミアにおける従来の脳の健康に係る研究において、非常に煩雑であることから課題とされてきた、倫理審査、被験者リクルート、MRI撮像による脳の健康状態のデータ取得、インセンティブ(謝礼)付与、データ管理、成果公表等を解決するための一手段として構築したものである。特に、既存のスマートフォンアプリを活用することで被験者の活動データが取得できる点、脳関連データとの連携体制が構築されている点、仕組みの一式がICT化されており当該プラットフォームの拡大が容易なことから、東京都や八王子市以外においても、官民等の連携サービスでの活用が期待できる。
 アカデミアの研究者においては、研究費を活用しての被験者リクルートや被験者へのインセンティブ(謝礼)の付与、データを収集するスマートデバイスの調達等が困難であるという課題を本研究プラットフォーム上で一元化して処理できるというメリットを有している。
 また、民間の事業者は、自社の健康サービスを本研究プラットフォーム上に乗せることで、本研究プラットフォーム内で提供される脳科学に基づいた脳の健康維持・増進を目的としたスマートフォンアプリのユーザーに利用してもらうことが可能となっている。事業者は自社のサービスを利用したアプリユーザーのデータを追えることから、自社の健康サービスが、どのような人にどのくらい貢献したかを確認することができ、自社サービスの効果測定といった研究的側面からの活用も可能である。

■今後の取り組み
 本研究プラットフォーム上で、「事業者」と「研究者」を繋ぐような仕組みの構築を検討しており、脳の健康に係る産官学工が連携した研究の推進と、それに関わる幅広い研究人材・技術人材の育成への貢献が期待できる。

参考文献
[1] 内閣府「平成29年版高齢社会白書」
[2] 東京都産業労働局「テレワーク実施率調査結果(2021年8月の調査結果)」

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/09/03/09.html
[1] 一般社団法人ブレインインパクトの監修のもと、国際標準規格(H.861.1)に準拠した脳の健康管理指標BHQ(Brain Healthcare Quotient)を用いて開発。脳ドックの検診者に対して、脳の健康状態をわかりやすい数値で伝えるとともに、脳の健康の維持向上につながる情報を提供。

[2] 2021年8月25日付プレスリリース https://bspr.co.jp/news/388/

[3] 1961年から、福岡市に隣接した糟屋郡久山町(人口約8,400人)の住民を対象に実施されている脳卒中、心血管疾患などの疫学調査

[4] 患者が受け身ではなく積極的に治療や介護のプロセスに参加するという概念

[5] 2021年8月25日付プレスリリース https://bspr.co.jp/news/387/

[6] 遺伝因子や環境因子(食べ過ぎや運動不足などの生活習慣の悪化等)により発症する糖尿病

[7] 2021年8月25日付プレスリリース https://bspr.co.jp/news/386/

[8] 東京都(2021年8月25日付プレスリリース):https://bspr.co.jp/news/389/ 、八王子市(2021年2月17日付プレスリリース):https://bspr.co.jp/news/369/


■弊社発表内容
https://www.braincure.jp/pdf/2C02_toyama.pdf
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