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障がいのある子どもたち:教育を含むあらゆる場面で不利な状況~社会へのインクルージョン実現に向けて【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

生まれつき両腕がないオマールくん(15歳)は、貧困家庭に生まれ、母親と3人で暮らしている。ユニセフの支援で、職業訓練を受けている。(バングラデシュ、2021年10月27日撮影) (C) UNICEF_UN0547561_Mawa
【2021年11月10日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した障がいのある子どもに関する調査報告書『Seen, Counted and Included - Using data to shed light on the well-being of children with disabilities)』によると、世界の障がいのある子どもの数は約2億4,000万人と推定され、彼らは、子どもの幸福度に関するほとんどの指標において、障がいのない子どもたちと比較して、不利な状況にあります。

ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは「この新しい調査結果は、私たちがすでに知っていたことの裏付けです。障がいのある子どもたちは、彼らの権利を実現する上で、いくつもの複合的な課題に直面することが多いのです。教育へのアクセスから家庭での読み聞かせに至るまで、障がいのある子どもたちは、ほとんどすべての機会が少なく、あまりにも多くの場面で、彼らはただただ取り残されているのです」と述べています。

本報告書には、国際的に比較可能な42カ国のデータが含まれており、栄養や健康、水や衛生設備の利用、暴力や搾取からの保護、教育など、子どもの幸福度に関する60以上の指標を網羅しています。これらは、機能障がい(functional difficulty)の種類と重症度、子どもの性別、経済状況、国別に集計されており、障がいのある子どもたちが社会に十分に参加するために立ち向かわなければならない障壁と、それがどのように健康面や社会面において不利な結果につながるのかを明確に示しています。

障がいのある子どもたちの状況は、障がいのない子どもたちと比較して下記の通りです。

幼いころから十分な刺激のある、個人として尊重されたケアを受けることができる可能性は24%低い。
基本的な読解力や計算力を身に着けることができる可能性は42%低い。
消耗症になる可能性は25%、発育阻害になる可能性は34%高い。
急性呼吸器疾患に苦しむ可能性は53%高い。
学校に全く通うことができない可能性は49%高い。
小学校は47%、中学校は33%、高校は27%、それぞれ通うことができない可能性が高い。
不幸だと感じる可能性は51%高い。
差別されていると感じる可能性は41%高い。
厳しい体罰を受ける可能性は32%高い。



極北部にあるモラの小学校で、インクルーシブ教育プログラムに参加する10歳のムスタファくん。(カメルーン、2021年3月撮影) (C) UNICEF_UN0427153_Dejongh
しかし、障がいのある子どもたちの経験は非常に多岐にわたります。この分析は、子どもたちが直面するリスクや結果は、障がいの種類、どこに住んでいるか、どんなサービスを利用できるのかによって、左右されることを示しています。また、不公平さに対処するための的を絞った解決策を考えることの重要性を強調しています。

教育へのアクセスは、本報告書で調査された分野のうちのひとつです。教育の重要性は広く認識されているにも関わらず、障がいのある子どもたちは未だに取り残されています。コミュニケーションを取ることが難しかったり、自分自身をケアできなかったりする子どもたちは、どの教育レベルにおいても、学校に通うことができない可能性が最も高いのです。複数の障がいがある場合、学校に通っていない割合はさらに増え、障がいの重症度を考慮すると、その差はより大きくなります。

ユニセフでインクルーシブ教育のユース・アドボケイト(提唱者)を務めるブルガリア出身のマリア・アレクサンドロワさん(20)は「インクルーシブ教育は贅沢なものではありません。あまりにも長い間、障がいのある子どもたちは社会から排除されてきましたが、それは決してあってはならないことです。障がいのある女性としての私の生きた経験が、この言葉を裏付けています。最も厳しい状況にある子どもを含め、どんな子どもたちも、基本的な人権のためにたったひとりで戦うようなことはあってはならないのです。障がいのある子どもたちが、平等でインクルーシブな教育を確実に受けられるようにするために、各国政府や関係者、NGOの協力が必要です」と述べました。

ユニセフは、世界で、また各地でパートナーと協力して、障がいのある子どもたちの権利の実現を支援しています。障がいのある子どもを含め、すべての子どもたちは、彼らの生活に影響を与える問題について発言権を持ち、彼らの可能性を実現し、権利を主張する機会を与えられなければなりません。ユニセフは各国政府に、下記の通り呼びかけています。

障がいのある子どもたちに、平等な機会を提供する。各国政府は、障がいのある人々と協力して、彼らを社会から切り離そうとしている物理的障壁、またコミュニケーションや態度における壁を取り除き、出生登録、包括的な健康、栄養、水のサービス、公平な教育、支援技術へのアクセスを確保しなければならない。また、コミュニティにおける偏見や差別をなくすことにも努めなければならない。
包括的なサービスや公平で質の高い教育を提供する際には、障がいのある人々と協議し、子どもたちとその家族の特定のニーズだけでなく、あらゆる種類の障がいについて考慮する。これには、柔軟な対応ができるケアや家族に優しい政策、メンタルヘルスや心理社会的支援、虐待やネグレクトからの保護などが含まれます。



首都ベオグラードにある「夢の遊び場」で遊ぶ子どもたち。障がい関係なくすべての子どもが一緒に遊べるように設計されている。(セルビア、6月撮影) (C) UNICEF_UN0497057_Maccak
この分析は、世界の子どもと若者の10人に1人に障がいがあると言われる中、意思決定において彼らがひとりの人として認められ、相談、考慮される対象となるようにすることで、彼らの社会へのインクルージョンを高めることを目指しています。

障がいのある子どもの数に関する新しい世界推計値は、以前の推計値よりも多く、機能障がいの種類、不安や憂うつの症状を考慮しており、障がいに対してより有意義で包括的な理解に基づいたものになっています。

「目に見えないことが、結果として、彼らの社会からの排除につながることは少なくありません。長い間、障がいのある子どもたちの数については、信頼できるデータがありませんでした。こうした子どもたちを無視せず、考慮し、彼らと相談したりすることができなければ、彼らの大きな可能性を引き出すことはできないのです」(フォア)

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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