医療・医薬・福祉

アストラゼネカのリムパーザ、BRCA遺伝子変異陽性の乳がん患者さんにおける術後薬物療法として希少疾病用医薬品の指定を取得

アストラゼネカ株式会社
第III相OlympiA試験の結果に基づく指定 BRCA遺伝子変異陽性患者さんを対象とした術後薬物療法として最初の治療薬


アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は、11月22日、リムパーザ(R)(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)がBRCA遺伝子変異陽性の乳がんの患者さんにおける術後薬物療法として、希少疾病用医薬品の指定を取得いたしましたのでお知らせいたします。

厚生労働省は、患者さんが5万人未満で、アンメットニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品に対して、希少疾病用医薬品指定を行っています。

2020年には、世界中で推定230万人が乳がんと診断されました(1)。また、乳がん患者さんの約5%にBRCA遺伝子変異が認められています(2)。

アストラゼネカ 執行役員 研究開発本部長の大津智子は、次のように述べています。「今回の指定は、BRCA遺伝子変異を標的とした薬剤が、再発リスクが高い早期乳がんの術後薬物療法として初めて承認されるための大切な一歩です。これらの高リスク患者さんはがん再発への恐怖を依然として強く抱えています。がんが広がり生命を脅かす再発の確率を低減するために、リムパーザが新たな標準治療となることを期待しています」。

リムパーザは現在「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」の適応症で日本において承認されています。また、米国を含む多くの国においても化学療法歴のある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移性乳がんに対する治療薬として承認されております。

※BRCA遺伝子変異陽性乳がんにおける術後薬物療法に対するリムパーザの適応は、本邦では未承認です。

以上

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早期乳がんについて
乳がんは世界的に女性で最も罹患率の高いがんであり、全乳がんのうち、推定で70%が早期に診断されています(3,4)。乳がんは生物学的に最も多様な腫瘍タイプの1つであり、その発症と進行の背景には、様々な因子が存在します(5)。乳がんの発症におけるバイオマーカーの発見は、この疾患の科学的な理解と患者さんの治療に大きな影響を及ぼしています(6)。

OlympiA試験について
OlympiA試験は、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性(gBRCAm)かつHER2陰性の高リスク早期乳がんで、根治的な局所治療および術前または術後補助化学療法を完了した患者さんを対象に、術後薬物療法として投与したときのリムパーザの有効性および安全性をプラセボと比較検討する、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同第III相試験です。本試験の主要評価項目は浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)であり、ランダム化から最初の再発(局所領域再発、遠隔再発、新規がん、または死因を問わない死亡)日までの期間と定義します。主要な副次評価項目は全生存期間(OS)および遠隔無病生存期間(DDFS)であり、DDFSはランダム化から乳がんの最初の遠隔再発(遠隔再発、新規がん、または死因を問わない死亡)日までの期間と定義します(7)。

BRCA遺伝子変異について
BRCA1およびBRCA2(乳がん感受性遺伝子1/2)は、損傷したDNAの修復を担うタンパクを生成する遺伝子であり、細胞の安定性維持に重要な役割を果たします。これら遺伝子のいずれかに変異があるとBRCAタンパクが生成されない、または正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。その結果、細胞はがん化につながるさらなる遺伝子異常を起こす可能性が高くなり、リムパーザを含むPARP阻害剤への感受性を高めます(8-11)。

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPと結合し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法として、現在EU諸国を含む多くの国で承認されており、白金製剤ベースの化学療法に奏効後のBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としても米国、EU、日本、中国およびその他数カ国において承認されています。米国においては、相同組換え修復欠損を有する(BRCA遺伝子変異陽性および/またはゲノム不安定性)患者さんに対するベバシズマブとの併用療法が初回治療後の維持療法としても承認されました。また、化学療法による治療歴のある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、日本を含む多くの国において承認されており、EUにおいては、局所進行乳がんも含まれます。さらに、米国、欧州、日本、およびその他数カ国においては、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんの治療薬としても承認されています。また、米国においては、HRR関連遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(BRCA遺伝子変異陽性およびその他のHRR関連遺伝子変異陽性)の治療薬として承認されており、EUおよび日本においてはBRCA遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんに対して承認されています。加えて、卵巣がん、乳がん、膵がんおよび前立腺がんに関する薬事承認審査が他の国において進行中です。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、全世界で4万人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および他の薬剤との併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザはDDRを標的治療とした薬剤であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおける乳がん領域について
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解が深まってきていることから、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を始めており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。

アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の既承認および開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。アストラゼネカは、フェソロデックス(フルベストラント)およびゾラデックス(ゴセレリン)、ならびに次世代の選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD)および新薬候補のcamizestrant(AZD9833)によって、HR陽性乳がんの転帰を継続的に変革することを目指しています。PARP阻害剤であるリムパーザ(オラパリブ)は、BRCA遺伝子変異を有する転移性乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSDは、BRCA遺伝子変異を有する転移性乳がんの患者さんにおけるリムパーザの研究を継続しており、これらの患者さんを疾患の早期段階で治療する新たな機会を模索しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca( https://twitter.com/AstraZeneca )(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社については https://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。

References
1. World Health Organization. Estimated number of cases in 2020, worldwide, both sexes, all ages. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/20-Breast-fact-sheet.pdf . Accessed May 2021.
2. Mitri Z, et al. The HER2 Receptor in Breast Cancer: Pathophysiology, Clinical Use, and New Advances in Therapy. Chemother Res Pract. 2012;743193.
3. Breast Cancer School. Will I survive breast cancer? Available at: https://www.breastcancercourse.org/will-i-survive-breast-cancer/ . Accessed May 2021.
4. Bertozzi S, et al. Biomarkers in Breast Cancer. Intechopen. 2018.
5. Yersal O, and Barutca S. Biological Subtypes of Breast Cancer: Prognostic and therapeutic implications. World J Clin Oncol. 2014;5(3):412-424.
6. Rivenbark A, et al. Molecular and Cellular Heterogeneity in Breast Cancer: Challenges for Personalized Medicine. Am J Pathol. 2013;183(4):1113-1124.
7. ClinicalTrials.gov. Olaparib as Adjuvant Treatment in Patients with Germline BRCA mutated High Risk HER2 Negative Primary Breast Cancer (OlympiA). Available at https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02032823 . Accessed May 2021.
8. Roy R, et al. BRCA1 and BRCA2: Different Roles in a Common Pathway of Genome Protection. Nat Rev Cancer. 2021;12(1):68-78.
9. Wu J, et al. The Role of BRCA1 in DNA Damage Response. Protein Cell. 2010;1(2):117-11.
10. Gorodetska I, et al. BRCA Genes: The Role in Genome Stability, Cancer Stemness and Therapy Resistance. J Cancer. 2019;10(9):2109-2127.
11. Li H, et al. PARP Inhibitor Resistance: The Underlying Mechanisms and Clinical Implications. Mol Cancer. 2020;19:107.

プレスリリースは以下よりダウンロードできます。
https://prtimes.jp/a/?f=c-24308-2021112409-c3ce0a623c1dcd61f7a85bc50c60ae7a.pdf
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