医療・医薬・福祉

リムパーザとベバシズマブの併用療法、進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としてFDAが優先審査指定

アストラゼネカ株式会社
バイオマーカーの状態および手術の結果を問わない進行卵巣がん患者さんを対象とした第III相PAOLA-1試験に基づき承認申請


本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年1月13日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、2020年1月13日、米国食品医薬品局(FDA)が、プラチナ製剤ベースの化学療法とベバシズマブの初回治療で完全または部分奏効を示した進行卵巣がん患者さんに対する初回治療後の維持療法として、リムパーザ(一般名:オラパリブ)とベバシズマブの併用療法の追加承認申請を受理するとともに、同剤を優先審査品目に指定したことを発表しました。

処方薬ユーザーフィー法に基づく審査期限は、2020年第2四半期を予定しています。

FDAの優先審査指定は、The New England Journal of Medicine誌(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1911361)に掲載された第III相PAOLA-1試験の良好な結果に基づくものです。本試験では、進行卵巣がん患者さんを対象に、初回治療後の維持療法として、患者さんの遺伝子変異等のバイオマーカーの状態および手術の結果を問わず、リムパーザとベバシズマブの併用療法と標準治療であるベバシズマブ単剤療法を比較検討しました。

治験担当医師の評価に基づく無増悪生存期間(PFS)において、リムパーザとベバシズマブの併用療法群では病勢進行または死亡のリスクが41%減少(ハザード比0.59に相当)し、PFS中央値はベバシズマブ単剤療法群が16.6カ月であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法群で22.1カ月に延長されました。

試験開始から2年経過した時点において病勢進行が認められなかった患者の割合は、ベバシズマブ単剤療法群では28%であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法群では46%でした。リムパーザとベバシズマブの併用療法群で認められた安全性および忍容性プロファイルはそれぞれの薬剤に関する既知のプロファイルと一致していました。また、生活の質(QOL)への悪影響は認められませんでした。

リムパーザは、進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、2つの無作為化第III相試験で良好な結果を示した唯一のPARP阻害薬です。また、SOLO-1試験に基づき、BRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として米国で承認された(https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2018/2018122602.html)唯一のPARP阻害薬です。今回の優先審査によってリムパーザが承認されると、米国においては卵巣がんに対する4つ目の適応となります。

※進行卵巣がんに対するリムパーザとベバシズマブの併用療法は本邦未承認です。

以上

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卵巣がんについて
卵巣がんは全世界で、女性のがん死の原因としては8番目に多いがんです。2018年には、約30万人が新たに診断され、約18万5,000人が死亡しました(1)。大多数は進行(III期またはIV期)卵巣がんと診断され、5年生存率は約30%です(2)。新たに進行卵巣がんと診断された患者さんにとって治療の最大の目的は、完全寛解または根治の達成を目指し、病勢の進行を出来る限り遅らせ生活の質を維持することです(3,4,5,6)。

PAOLA-1試験について
PAOLA-1試験は、新たにFIGO臨床進行期分類III-IV期の高異型度漿液性または類内膜卵巣がん、卵管がんまたは腹膜がんと診断され、プラチナ製剤ベースの化学療法とベバシズマブによる初回治療により完全または部分奏効を示した患者さんを対象とし、初回治療後の維持療法としてリムパーザとベバシズマブの併用療法あるいは標準治療であるベバシズマブ単剤療法の有効性および安全性を比較検討した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験です。

本試験の結果、リムパーザとベバシズマブの併用療法群ではPFSの統計学的に有意で臨床的に意義のある延長が認められました。具体的には、病勢進行または死亡のリスクが41%減少し、PFS中央値はベバシズマブ単剤療法群が16.6カ月であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法群で22.1カ月に延長されました(ハザード比0.59に相当)。盲検下での独立中央判定(BICR)に基づいたPFSによる感度解析の結果は治験担当医師の評価に基づくPFSの結果と一貫しており、ベバシズマブ単剤療法群の中央値が18.3カ月であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法群の中央値は26.1カ月に延長されました(ハザード比0.63に相当)。

グレード3以上の有害事象の発現率は、リムパーザとベバシズマブの併用療法群において57%、ベバシズマブ単剤療法群においては51%でした。発現率が20%以上の主な有害事象は、悪心(53%)、疲労(53%)、高血圧(46%)、貧血(41%)、リンパ球減少(24%)、嘔吐(22%)および関節痛(22%)でした。グレード3以上の有害事象は高血圧(19%)、貧血(17%)、リンパ球減少(7%)、好中球減少(6%)、疲労(5%)、悪心(2%)、下痢 (2%)、白血球減少 (2%)嘔吐(1%)および腹痛(1%)でした。リムパーザとベバシズマブ併用療法群で休薬に至った有害事象の発現率は54%、投与中止に至った有害事象の発現率は20%でした。

PAOLA-1はGINECO(Groupe d’Investigateurs National des Etudes des Cancers Ovariens et du sein)を代表してARCAGY Research(Association de Recherche sur les CAncers dont GYnécologiques)により実施されたENGOT(European Network of Gynaecological Oncological Trial groups)の試験です。ARCAGY-GINECOは患者さんのがんの臨床研究およびトランスレーショナルリサーチに特化した学究的な団体であり、GCIG(Gynecologic Cancer InterGroup:婦人科がんグループ)の会員です。

リムパーザについて
リムパーザは、ファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、BRCA遺伝子変異の有無に関わらず、プラチナ感受性再発卵巣がんの維持療法として現在EU諸国を含む65カ国で承認されており、プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効後のBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としても米国、EU、日本、中国およびその他数カ国において承認されています。また、本剤は化学療法による治療歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、日本を含む44カ国において承認されており、EUにおいては、局所進行乳がんも含まれます。さらに、米国においては、BRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんの初回治療後の維持療法としても承認されています。加えて、卵巣がん、乳がんおよび膵がんに関する薬事承認審査が他の国・地域において進行中です。

アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われているリムパーザは進行卵巣がん、転移性乳がんおよび転移性膵がんの治療薬として承認され、現在までに全世界で3万人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは複数のがん種にわたって、リムパーザが単剤療法および併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するため一致協力しています。リムパーザはがん細胞のDDRメカニズムを標的とする新薬候補のアストラゼネカの業界を主導するポートフォリオの基盤となる化合物です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがんの種類において共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は共同で、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1医薬品との併用療法としてリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたオンコロジーをアストラゼネカの成長の主要な推進力として進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. The World Health Organization. IARC. Globocan 2018. Available at: https://gco.iarc.fr/ [Accessed December 2019].
2. National Cancer Institute. (2019). Cancer Stat Facts: Ovarian Cancer Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/ovary.html [Accessed December 2019].
3. Moore K et al. Maintenance Olaparib in Patients with Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer. Presented at ESMO October 2018.
4. Raja, F. A., Chopra, N. & Ledermann, J. A. 2012. Optimal first-line treatment in ovarian cancer. Annals of Oncology. Official Journal of the European Society for Medical Oncology. 23 Suppl 10, x118-127.
5. NHS Choices. Ovarian Cancer Available at: https://www.nhs.uk/conditions/ovarian-cancer/treatment/ [Accessed December 2019].
6. Ledermann.et al. 2013. Newly diagnosed and relapsed epithelial ovarian carcinoma: ESMO Clinical Practice for diagnosis, treatment and follow-up. Annals of Oncology, 24(suppl 6), pp.vi24-vi32.
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