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ギリシャ:移民らが公的保険の対象外に 医療を受けられない難病の子どもたち

国境なき医師団
ギリシャ・レスボス島のモリアにある難民・移民キャンプで、致命的な難病を抱える140人余りの子どもらが、適切な医療を受けられない状況が続いている。2019年にギリシャ政府が領内の庇護希望者や未登録の移民らを公的保健の対象から外したためだ。国境なき医師団(MSF)は同政府に対し、この深刻な医療問題に配慮し、難病の子ども全員を適切なケアの受けられるギリシャ本土ないし他のEU加盟国へ移送するよう求めている。


MSFの要求:


定期的な患者移送の仕組みを設けて、慢性難治性疾患の患者全員をレスボス島から、近隣で専門医療の受けられる適切な滞在施設へと速やかに移す。また、その際は子どもを優先する
ギリシャ国内の庇護希望者、保護者のいない未成年者、未登録移民の全てに無償で滞りのない十分な保健医療を可及的速やかに届ける
難民や庇護希望者をレスボス島の悲惨で非人道的な環境に閉じ込める措置を打ち切る


麻痺がある息子と共にソマリアからギリシャにたどり着いた女性 (C) Anna Pantelia/MSF

医療を受けられず、後遺症や命を落とす恐れも

「糖尿病、ぜんそく、心臓病などの病気を抱える子どもはたくさんいて、皆、テント暮らしを強いられています。不衛生な最悪の環境で、必要な専門医療も薬物療法も受けられません」そう話すのはMSF医療コーディネーターで医師のヒルデ・フォホテンだ。

「MSFは子どもを本土に移して緊急ケアを受けさせるべくギリシャ当局と協議していますが、一部の子のスクリーニング検査までしながら、まだ誰も移送されていません。子どもたちの中には赤ちゃんもいるのに、早急かつ組織的な解決策に対するギリシャ政府の及び腰はひどいものです。子どもたちの健康を悪化させていますし、生涯にわたる後遺症や命を落とす恐れさえあります」

専門医療が受けられない子どもたち

2019年7月、ギリシャ政府が領内の庇護希望者や未登録移民を公的保健の対象から外したため、5万5000人余りが医療を受けられなくなった。

レスボス島のモリア・キャンプ外に設けられたMSF小児診療所の医師らが同年3月以降に診察した心臓病、てんかん、糖尿病などの慢性難治性疾患の子どもは270人を超える。これらの疾患には専門的な治療が求められるが、MSF診療所にはそのための設備がない。島の地元公立病院も患者の増加に応じるだけの余裕がなく、やはり一部の専門ケアが提供できない。

EU・トルコ合意が生み出した理不尽な犠牲


「自閉症のある娘のザーラと一緒に、電気もほとんど使えない窮屈な場所で過ごしています。夜中によく痙攣をおこすのですが、頼れる人もいません。娘が他の子と同じように遊べて、いい医師に診てもらえる場所に何とかして移りたいです」。モリア・キャンプの滞在者でアフガニスタン出身のシャムセイェーさんはそう訴える。

自閉症のある娘のザーラを抱っこするシャムセイェーさん (C) Anna Pantelia/MSF
この4年間、MSFはモリア・キャンプを各国政府の施策が招いた人類の悲劇だと繰り返し非難してきた。現状を見れば、2016年のEU・トルコ合意に基づく移民政策がやはり不必要な苦しみを生み出し、多くの命を危険にさらしていることは明らかだ。

ギリシャでMSF活動責任者を務めるトマソ・サントは次のように述べている。「年齢や性別に関係なく、人びとは排斥を前提にした移民政策のせいで理不尽な犠牲を強いられています。これまでの卑劣な措置に加え、重病の子どもたちから保健医療を奪とは、許されることではありません」

MSFは1996年からギリシャで庇護希望者や難民・移民に医療・人道援助を提供している。2014年には、トルコから領内の島しょ部と本土に続々と到着する移民のニーズを受け、活動を拡大。2016年には、国内で基礎医療、慢性疾患の治療、リプロダクティブ・ヘルスケア(性と生殖に関する医療)、理学療法、臨床心理・精神科ケアといった援助に加え、包括的な社会支援を提供した。現在の活動地はレスボス島、サモス島、首都アテネ中心部。
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