医療・医薬・福祉

ニルセビマブ、第III相MELODY試験において、乳児のRSウイルス感染症を有意に予防

アストラゼネカ株式会社
健康な乳児において、RSウイルスによる診療を要した下気道感染症に対し、74.5%の有効性を示す すべての乳児に対し、単回投与でRSウイルス感染症流行シーズンを通じ持続的な予防効果を示した初めての予防薬候補 MELODY試験、MEDLEY試験の結果をThe New England Journal of Medicine誌に掲載


本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年3月3日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

第III相MELODY試験において、アストラゼネカとサノフィにより開発中のニルセビマブ(遺伝子組換え)は、単回投与でRSウイルスに起因する診療を要した下気道感染(LRTI)の発生率をプラセボと比較して74.5%(95%CI49.6、87.1;p<0.001)低下させ、有効性の主要評価項目を達成しました(1-2)。

試験対象は、RSウイルス感染症流行シーズンを初めて迎えた健康な正期産児および後期早産児(在胎35週以上)でした(1-2)。

また、RSウイルス感染症流行シーズンを初めて迎える先天性心疾患(CHD)や慢性肺疾患(CLD)に罹患している乳幼児、および早産児を対象として安全性及び薬物動態を評価する第II/III相MEDLEY試験において、有害事象は、CHDやCLDに罹患している乳幼児ではニルセビマブ投与群とシナジス(一般名:パリビズマブ[遺伝子組換え])投与群でそれぞれ71.2%、73.5%(以下、同順)に発現、早生児では66.0%、65.0%に発現しました。また重篤な有害事象はそれぞれCHDやCLDに罹患している乳幼児では、19.2%、20.4%に発現、早生児では6.9%、5.3%に発現しました(3,4) 。

この試験における投与後 (151日目) のニルセビマブの血中濃度は、第III相MELODY試験で観察された値と同等であり、この集団における予防効果が健康な正期産児および後期早産児と同様である可能性が高いことを示しています(1-4)。シナジスは、現在、RSウイルスに対する重篤な下気道疾患の発症抑制の唯一の予防的手段です。

ニルセビマブは、研究段階の長時間作用型抗体であり、1回の投与でRSウイルス感染症流行シーズンを初めて迎えるすべての乳児に対して予防効果を発揮するようデザインされています。ニルセビマブは、第III相試験における一般乳児集団においてRSウイルスに対する予防効果を示した初めての予防薬候補です(1-2)。

米イリノイ州シカゴのノースウェスタン大学ファインバーグ医学部小児科准教授、Ann & Robert H. Lurie小児病院の臨床及びCommunity試験の学術部長であり、第III相MELODY試験の治験責任医師であるWillian Muller博士は次のように述べています。「新型コロナウイルス感染症に対する公衆衛生対策が緩和されるにつれ、RSウイルスの再興がみられます。これは、乳幼児、その家族および医療サービスにRSウイルスがもたらす世界各地での重い負担を軽減するには、幅広い集団を対象とする予防薬が必要であることを示しています。

今回のデータは、ニルセビマブがすべての乳幼児をRSウイルスから保護できる可能性を示しており、このことは、この疾患に対するアプローチのパラダイムシフトになるとも考えられます」。

アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発部門エグゼクティブバイスプレジデントMene Pangalosは次のように述べています。「RSウイルスは、乳幼児の入院だけでなく、細気管支炎または肺炎などの下気道感染症の主要な原因です。これらのデータは、ニルセビマブの単回投与により、最初にむかえるRSウイルス感染症流行シーズンにわたりすべての乳幼児をRSウイルス感染から有意に保護できる可能性を初めて示しました。規制当局と協力して、ニルセビマブをできるだけ早くお届けできることを期待しています」。

サノフィパスツールのグローバル研究開発の責任者であるJean-François Toussaintは次のように述べています。「私たちは、3つの主要なピボタル後期臨床試験を行い、全ての乳幼児を守るファースト・イン・クラスのRSウイルス予防薬をお届けする研究に集中してきました。健康な後期早期産児と正期産児を対象とした第III相MELODY試験の結果は、このゴールに向けた大きなマイルストーンへの到達を示しています。私たちは、ニルセビマブが1回の投与でRSウイルス感染症流行シーズンを通じて全ての乳児の予防を行うことができる初めての予防薬となる可能性を示せたことを嬉しく感じています」。

MELODY試験および第IIb相試験の事前に規定された併合解析では、規定用量のニルセビマブ投与により、RSウイルス関連の入院が減少したことが示されました(1-2,5)。正期産児および早産児 (在胎期間28週以上) では、プラセボ群の786例中21例 (2.7%) にRSウイルス関連の入院が認められたのに対し、ニルセビマブ群では1564例中9例 (0.6%) でした。投与後150日間の有効性の推定値は77.3% (95%CI50.3、89.7;P<0.001) でした(1,2,5)。MELODY試験のみで観察されたRSウイルス関連の入院リスクについては、統計的に有意ではないものの数値的な減少が認められました (62.1%、95%CI:-8.6%、86.8%、p=0.07)(1-2) 。ニルセビマブ群では、994例中6例 (0.6%) の乳幼児がRSVによるLRTIで入院しましたが、プラセボ群では496例中8例 (1.6%) の乳幼児でした(1-2)。

ニルセビマブの全体的な安全性プロファイルは、これまでに報告された結果と一致しています。MELODY試験および第IIb相試験においては、有害事象はニルセビマブ投与群とプラセボ群でそれぞれ、87.4%、86.8%に発現しました。また重篤な有害事象はそれぞれ、6.8%、7.3%に発現しました(1-2,5-6)。

なお、MELODY試験の結果はThe New England Journal of Medicine (NEJM) に掲載されました。また、MEDLEY試験の詳細データもNEJM誌に掲載されました。海外の一部の国では規制当局への申請は、2022年上半期に始まっています。

※現在、ニルセビマブが承認されている国はありません。

以上

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呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス) について
RSウイルスは、気管支炎や肺炎を含む、LRTIの季節的流行の原因となる一般的な伝染性病原体です(7-9)。これは、世界中で乳幼児における入院の最大の原因となっています(9)。世界的にみると、2015年には300万例以上の入院に至った急性下気道感染症が約3000万例あり、5歳未満の小児の院内死亡は60,000例と推定されます(9-10)。最近、COVID-19の公衆衛生対策の緩和に伴い、RSウイルスの再興が見られます(11-12)。RSウイルスが原因の入院の大部分は、ウイルス感染がなければ健康な正期産児でした(13-17)。さらに、診療を要するLRTIは、医療コストの増大につながります(18)。

MELODY試験について
MELODY試験は、RSウイルス感染症流行シーズンを初めて迎えた健康な乳児を対象とし、投与後150日間、プラセボとの比較で、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応 (RT-PCR) 検査により確認された、RSウイルスに起因する診療を要したLRTIの発現率の検証を目的とする、21カ国で実施された無作為化プラセボ対照第III相試験です(1-2)。在胎35週以上の健康な後期早産児および正期産児が2:1の割合でニルセビマブ の筋肉内注射による50mg 単回投与群 (体重5kg未満の乳児) もしくは100mg 単回投与群 (体重5kg超の乳児) またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられました。2019年7月から2021年2月までの期間に1,490例の乳児がニルセビマブまたはプラセボの投与をRSウイルス感染症流行シーズンの当初に受けました(1-2)。また、MELODY試験および第IIb相試験におけるRSウイルスによるLRTIでの入院関連の評価項目について、多重性を回避するための階層的検定ストラテジーとして事前に規定された併合解析も実施しました。

MELODY試験の主要評価項目の評価は予想よりも早く実施されました。世界的な公衆衛生上の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)対策は、試験登録時にRSウイルスを含むすべての呼吸器系ウイルスの流行を低減しましたが、このパンデミック以前に、プラセボに対するニルセビマブのRSウイルスによるLRTIを予防する効果を評価するために十分な症例が蓄積されました。本試験は、さらなる安全性データを収集すべく、さらに1,500例の乳児を北および南半球で登録します(1-2)。

投与150日後までの診療を要したLRTI、およびRSVによるLRTIでの入院(ITT 集団)


*事象がなく、投与後150日間追跡されなかった参加者について、データを補完
解析はロバスト分散によるポアソン回帰分析を用いて実施
CI:信頼区間、ITT:intent-to-treat、LRTI:下気道感染、RRR:相対リスク減少、RSV:RSウイルス

MELODY試験、MEDLEY第II/III相試験および第IIb相試験の結果から、ニルセビマブは単回投与で広範な乳幼児集団にRSウイルスに対する防御効果をもたらすことが示されています。この広範な乳幼児集団には、早産児、健康な後期早産児および正期産児のほか、CHDまたはCLDを有する乳児が含まれます(2,4-5)。これらの試験結果は、アストラゼネカが2022年前半から計画している規制当局への提出資料の基礎となります。

MEDLEY試験について
第II/III相MEDLEY試験は、無作為化二重盲検シナジス対照試験で、シナジスの投与対象となる早産児、慢性肺疾患または先天性心疾患を有する乳幼児を対象に、ニルセビマブの安全性、忍容性を評価することを主な目的としています(3,4)。2019年7月から2021年5月までの間、初めてRSウイルス感染症流行シーズンを経験する918例の乳児にニルセビマブまたはシナジスを投与しました。安全性は、投与後360日まで有害事象 (TEAE) および重篤な有害事象 (TESAE) の発生をモニタリングすることによって評価されます(3-4)。

MEDLEY試験におけるニルセビマブの安全性と忍容性の評価は、予想よりも早く実施されました。十分な数の乳児が参加し、初めてのRSウイルス感染症流行シーズンに追跡が行えたため、シナジスとの比較でニルセビマブの安全性と忍容性を評価する主要解析が早期に行われました。

ニルセビマブについて
ニルセビマブは、アストラゼネカ独自の半減期延長(YTE)技術を利用し、すべての乳幼児に対し、最初のRSウイルス流行シーズンを通じてRSウイルス感染の予防を目的としてアストラゼネカとサノフィにて開発中の長時間作用型抗体です。

YTE技術を用いることで、初めてRSウイルス感染症流行シーズンを迎える全ての乳児、初めておよび2回目のRSウイルス感染症流行シーズンを迎える先天性心疾患または慢性肺疾患を持つ乳幼児に対し、単回投与で流行期を通じて効果を発揮する予防薬として開発中です(2,4,19)。現行の抗RSウイルス抗体であるシナジスは投与対象が高リスクの小児に限られているとともに、予防期間は1カ月であるため、1度のRSウイルス感染症流行シーズンに5回の投与が必要です(15)。

ニルセビマブは、全ての乳幼児に抗体を直接投与し、RSウイルスによるLRTIを予防する目的でデザインされた予防薬です。モノクローナル抗体が作用するために免疫系を活性化する必要がないために、疾患に対して迅速で直接的な予防効果が期待されています(21)。

ニルセビマブは、世界中のいくつかの主要な規制当局により、迅速に開発を行うための指定を受けています。これには、中国国家薬品監督管理局(NMPA)の医薬品審査センター(CDE)の画期的治療薬指定(BTD)、米国食品医薬品局のBTD、欧州医薬品庁(EMA)のPRIority MEdicines (PRIME)指定が含まれます。日本においては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が「小児領域における新薬開発促進のための医薬品選定等に関する研究」において、ニルセビマブを「優先的に開発すべき医薬品」としています。ニルセビマブは現在臨床開発段階にあり、規制当局による承認は受けていません。

2017年3月、アストラゼネカとサノフィはニルセビマブの開発および商業化に関する契約を発表しました。本契約に基づき、アストラゼネカは初回の薬事承認までのすべての開発活動を主導するとともに製造活動を保持し、サノフィは商業化活動を主導し収益を計上します。この全世界を対象とする契約に基づき、サノフィは1億2,000万ユーロの契約一時金および3,000万ユーロの開発マイルストーンを支払いましたが、さらに、最大4億6,500万ドルを一定の開発および売上関連のマイルストーン達成時に支払うことになります。両社はすべてのコストと利益を折半します。本契約による収益は当社の財務諸表において提携収入として計上されます。

関連事項として、2018年11月、アストラゼネカは、アストラゼネカが受領する可能性のあるニルセビマブの米国における損益をオーファン・バイオビトラム AB (上場企業) (略称:Sobi)が共有する権利に加え、シナジスの米国における商業化権利をSobiに売却しました。本契約に基づき、アストラゼネカは、契約完了時に現金で10億ドルおよびSobiの普通株式で5億ドルからなる15億ドルの対価を一時金として受領しましたが、2019年から2021年までの期間にニルセビマブ に関する最大で合計6,000万ドルの無条件の支払いも受領しました。また、アストラゼネカは最大4億7,000万ドルのシナジスに対する売上関連の支払い、ニルセビマブの生物製剤承認申請後の1億7,500慢ドルのマイルストーン、およびその他のニルセビマブの利益および開発関連マイルストーン達成に対し可能性のある約1億1,000万ドルの正味支払いも受領することになります。BLA後の1億7,500万ドルの支払い後、米国におけるニルセビマブに関するサノフィとの契約に基づき、Sobiの継続的参画は損益のアストラゼネカの全持分に達することになります。アストラゼネカは引き続き世界中でニルセビマブの製造および供給を行う一方、米国におけるニルセビマブの利益が事前に規定された水準を超えた場合、Sobiから追加のロイヤリティを受け取る権利を有しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ) をフォローしてご覧ください。

注釈については添付のプレスリリースをご確認ください。
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