必勝!医学部入試

どうなる?2021年度の医学部入試、10月時点で注意が必要なこと

 日本の1日当たりのコロナウイルス感染者数は減少傾向が続いています。このまま収束することを願うばかりです。2021年度入試は大学入試改革の初年度とコロナ禍が重なり、これから受験生にとっては大変な時期を迎えることになります。

2次試験会場でマスクを着けて冊子を配る職員(中央)=2020年2月25日、東京都文京区の東京大学本郷キャンパス

 文部科学省は今年6月、各大学に宛てた「令和3年度大学入学者選抜実施要項について」の中で、「新型コロナウイルス感染症対策に伴う試験期日及び試験実施上の配慮等」を通知しています。これを受け、各大学は入学試験で昨年度までには無かった対応をします。

 大学の対応次第では、受験生は10月以降の学習計画を見直す必要があります。医学部の受験勉強は試験科目数も多く、また成績上位層の比率も高いことから、受験勉強で効率性が求められます。志望校の情報を入手して、それに対応をした勉強が必要なのです。

 一般選抜の個別試験について、その通知内容の主なものをまとめたのが以下です。

 ①試験日の複数日程、追試験、後期試験の新設
 ②出題教科・科目を減らす
 ③教科書の「発展的内容」から出題しない、出題範囲を限定、選択問題を出題

 これらはコロナウイルスのさらなる感染拡大を想定したものと、コロナ禍の影響による高校での学業の遅れを考慮したもので、現役生と浪人生との学力格差を減らすことが目的です。

 ただし、現在検討中の大学も多く、また、今後のコロナウイルスの状況によっては、さらに追加・変更が発生する可能性もあります。受験を検討している大学については、こまめにWEBサイトで確認をしましょう。

 ◇出題教科・科目を減らす医学部はあるのか?

 特に受験勉強に影響を及ぼすであろう②と③を具体的に考えてみましょう。

 まず②の出題科目を減らす医学部はありません。国公立大学ならば共通テストは5教科7科目型、個別試験は国公立大学、私立大学ともに多くは英語・数学・理科・面接(小論文)で、従来通りの入試科目で実施されます。

 平均よりもかなり高い学力が求められる医学部入試。出題教科・科目を減らす配慮がなければ、現役生と浪人生の学力格差は開くばかりだと思うかもしれません。

 ただし、出題教科・科目が減らなくても、学力格差が生まれやすい数学Ⅲや理科などで何らかの考慮をする医学部は多くあります。

県立高校に登校する生徒=2020年5月7日午前、青森市

 ◇教科書の「発展的内容」から出題しない医学部はあるのか?

 そもそも「発展的内容」とは何でしょうか?

 教科書の内容は文科省が定めた指導要領に従って作成されており、最低限度あるいは基本的な内容が中心となっています。これを超える内容については「発展的内容」として教科書に掲載しなければなりません。

 例えば、数学Ⅰの教科書に「発展的内容」として記載されている「2重根号のはずし方」は、ほとんどの進学校で学習する内容です。その他、三角形の面積を求める「ヘロンの公式」(数学Ⅰ)なども同じです。もちろん知らなくてもよいわけですが、入試ではこの知識があった方が解きやすい設問もあります。このような「発展的内容」は、数学と理科の教科書にたくさん記載されています。浪人生の多くは予備校で学習するため、一部の現役生にとっては不利になる可能性もあります。

 ◇「発展的内容」から出題しない大学

 9月初旬現在、「発展的内容から出題をしない」と公表している大学があります。例えば国公立大学では秋田大学、群馬大学、高知大学など、私立大学では金沢医科大学(数学Ⅲ・化学)などです。

 また、「発展的内容を出題する」場合でも、「設問中に補足する内容を記載する等の配慮を行う」など、現役生に不利にならないようにする大学も多くあります。京都大学、大阪大学、神戸大学(数学Ⅲ・理科)、山口大学、九州大学などのほか、私立大学では福岡大学などです。また、東海大学は「発展的な学習内容として記載されている内容からは原則出題しません。出題する場合は、筆記試験においては、設問中に補足事項等を記載します」としています。

 余裕がある現役生は数学と理科の「発展的内容」について、教科書で確認して出題されてもいいように問題集などで類題を解いておく方がよいでしょう。

 ◇出題範囲を限定するとは?

 浪人生との学力格差が生まれる可能性が高いのは、公立高校など一般的な授業進度で学ぶ現役生です。これは次の理由からです。

 個別試験において数学と理科の入試問題は、教科書の後半部分から頻出します。数学は数学Ⅲが出題の中心となる大学が多いのです。特に教科書の後半で学ぶ「積分」は必ず出題されます。物理ならば「電磁気」や「原子」が、化学ならば「高分子化合物」の範囲が、数学の「積分」にあたります。

 公立高校で授業進度が遅い場合には、例年、高3生の12月になっても上記で述べた範囲の学習が終わらずに、受験する大学の過去問演習がままならない状態で試験本番を迎える生徒も多くいます。これでは現役で合格することは難しくなります。

 コロナ禍での状況を考えると、昨年度よりも多くの高校で授業進度は遅れている可能性が高いでしょう。

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