必勝!医学部入試

医学部入試における「主体性」等の評価の注意点!
~大学入試改革スタートで受験生は負担増~

 コロナウイルスの感染が拡大する中で、大学入学共通テストの実施まで約1カ月半となりました。受験生の表情を見ていると、落ち着きがない人、不安感が表情に出ている人などが、例年以上に多いように感じます。

 理由は、以下のことが考えられます。

 (1)コロナ禍の影響で、授業進度や受験対策が遅れている

 (2)共通テストの対策が進まない

 (3)新たに「主体性」等が評価対象になる

 (1)と(2)については、浪人生も含めて困っている受験生が多くいます。共通テストについては、今回が初めての実施となります。昨年までだと、センター試験の過去問が追試験も加えると、過去何十年分もあるため、万全を期して試験本番に臨むことができました。共通テストを想定して全国で実施されている共通テスト模試も、作成する業者によって方針が異なり、混乱している受験生も多くいます。アドバイスをするなら、どのような問題が出題されてもいいように、さまざまな問題集で演習をしておくことです。

東京大学の2次試験前期日程を受ける受験生(2019年02月)

 ◇「学力の3要素」を評価する入試に!

 さて、現在の高3生から、大学入試改革が始まります。入学試験に関わることでは、これまでの試験で求められていた「知識・技能」(基礎学力)と「思考力・判断力・表現力」(応用力)に加えて、「主体性」等が加わります。この三つを『学力の3要素』と言い、これを「多面的・総合的」に評価する入試になります。

 ところで「主体性」等の評価については、受験生によって受け止め方が違います。高校や予備校の指導での違いが出ているからでしょう。私は、ここのとことろ、毎月、三~四つの高校で講演会を実施していますが、高校によっては大学入試改革を意識して、高1生の頃から高校主導でボランティア活動や医療研修などのさまざまな校外活動に参加を促しています。また、「総合的な学習」の授業に力をいれている高校も多くあります。

 昨年までは、推薦入試やAO入試を除けば、一般入試ではほぼ学科試験で合否が決定していました。「主体性」等の評価が加わることで、今後は、ますます新たな受験対策が必要になってくるでしょう。

 ◇医学部での「主体性」とは?

 新たに加えられた「主体性」等ですが、「主体性」を辞書で調べると、「自分の意志・判断で行動しようとする態度」(小学館/デジタル大辞林)と書いてあります。そして、文科省は「主体性」等の評価については、「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」としています。これまでのように、高校で先生の授業を黙って受けているだけでは不十分ということです。

  これまでも医学部受験の場合には、「主体性」等に近いことを評価するために、一般選抜でも面接試験を課していました。それは、「医学部入試≒就職試験」に近い意味を持っているからです。「医師の適性・資質」「協調性」「協働性」「将来性」などを、面接官が面接試験を通して評価するためです。

 実際にこれまで多くの大学が、募集要項等に「学科試験の結果にかかわらず、医師となるための適性を欠くと判断された場合は不合格とすることがある」と記載しています。

  今回の大学入試改革においては、さらに「主体性」等の評価が重視されることになります。

 ◇「主体性」等の評価は面接試験だけでない!

 では、「主体性」等の評価はどうなるのか?評価の対象は、英語や数学、理科など勉強以外のことが中心になります。部活動や生徒会活動、ボランティア活動、英検などの外部検定試験、数学オリンピックなどの探究活動など多岐にわたります。選抜試験で大学側が「主体性」等の評価をする方法は、面接試験以外には小論文試験、願書出願時に提出する「調査書」、「志望理由書」「活動報告書」などがあります。先に述べたように「多面的・総合的」に評価する入試に変わるということです。

 そのために、現在の高3生は、高1生の頃から「主体性」等を意識した活動を行った際には、その活動を文字で記録するようにしています。「活動記録」だったり「e-ポートフォリオ」など、名称や記録する方法も高校によって異なります。

 ◇「主体性」等の事前提出書類を求める医学部もある

 願書提出時に、「志願理由書」を求める医学部はたくさんあります。文字数も200字程度から1000字を超える大学までさまざまです。「志望理由書」の提出については、これまでとは大きくは変わりませんが、加えて「主体性」等の評価を意識した書類の提出が必要な大学もあります。

 例えば、東北大学は、志願票に記載された「主体性評価チェックリスト」5項目のうちで、該当する項目にチェックを入れます。例えば「高校における学習活動に主体的に取り組んできた」「部活動・ボランティア活動等に主体的に取り組んできた」などです。自己申告となり、自由記述欄はありません。(下記参照)

(東北大学のホームページより抜粋)

 自己申告と言っても、適当にチェックをいれることはできません。5項目は、調査書と連動しており、照合をすれば真偽の分かる項目もあります。また、医学部は面接試験を実施するので、「チェックリスト」の内容は面接官から質問されることになるでしょう。

 この「チェックリスト」はどのように合否に影響を及ぼすか?東北大学のホームページには、「チェックリストは合否ラインに同点で並んだ志願者の合否判定を行う際に利用します。」と書いてあります。国公立大学の場合には、共通テストと個別試験の合計点で合格者を選抜しますが、合否を分けるライン上には複数の受験生が並ぶことが予想されます。そのこと考えると、この「チェックリスト」は受験生によっては非常に大切なものとなります。

 ◇面接試験はどのように変わるか?

 面接試験に関しては、2018年に発覚した女子受験生や多浪生を差別した不正入試が社会問題となりましたが、これ以降は各大学が採点方針・基準などを決めて、平等・公平な面接試験が行われるように変化しました。それに今回からは、文科省が時間をかけて取り組んできた「大学入試改革」が、いよいよ始まります。当然、大学側も、それを意識した面接試験を実施することになります。つまり「主体性」等の評価を、意識した面接試験を行うでしょう。面接試験での質問事項としては、先で述べた東北大学の「チェックリスト」に記載されていることに関連した質問をする大学が増えます。

 自分自身の言葉で分かりやすく、医師の適性・資質に触れながら面接官に伝えることができるかが大切になります。

 ◇「主体性」等の評価を意識した面接試験の変更

 公表された来春の医学部入試の変更点を見ると、幾つかの大学は「主体性」等の評価を意識していることが分かります。

  例えば金沢大学は、「面接試験」を「口述試験」に変えて、大阪大学は、これまでは1回のみの面接試験でしたが、「場合によっては,複数回の面接をすることがある」と変更されました。また、京都府立医科大学では、個別試験に「小論文試験」が追加されました。

 また、「調査書」や「志望理由書」などの提出書類を点数化する大学もあるため、自分が受験をする大学の募集要項等を確認して、提出書類の作成や面接試験、小論文試験の対策を行いましょう。

 ◇「思考力・判断力・表現力」を意識した面接試験にも注意!

 冒頭で述べた通り、大学入試改革で、共通テストや個別試験でも「思考力・判断力・表現力」を、これまで以上に評価する出題に変わります。

 面接試験でも「思考力・判断力・表現力」を試す質問が増加するでしょう。11月から学校推薦型選抜や総合型選抜が、全国の医学部で開始されています。ある大学の面接試験では、これまでは「医師志望理由」「本学志望理由」「将来の医師像」など、あらかじめ準備が可能な定形と言ってもよい質問でした。ところが今回は質問の一つに、その場で写真を見て返答する質問がありました。この大学を受験した生徒たちに話を聞くと、誰もが驚いていて、対策の有無が結果に表れています。写真や文章を見て返答する質問は、幾つかの大学では毎年、実施されており、今後、このような質問の増加が予想されます。

 ◇来春、そして今後、医学部を受験する方へ

 2021年は初めての大学入試改革です。コロナ禍の入試でもあることから、高3生時の部活などさまざまな活動が制限された人が多く、「主体性」等の評価を控えめにする大学も出てきそうです。ただし、医学部は面接試験を実施することから、何らかの形で「主体性」等が問われることには間違いはありません。

 自分自身にとっての「主体性」とは何かを、高校生活を振り返りながら、もう一度考えて面接試験に臨みましょう。

 また、高2生や高1生、中学生については、英語、数学などの学科試験の勉強だけでなく、「主体性」等を意識した活動計画を考えていかなければなりません。

 そういった意味では、医学部受験は昔と比較をすると、とても受験生に負担の大きな入試になりました。(医系専門予備校メディカルラボ 山本雄三)

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