必勝!医学部入試

2021年度入試 医学部人気が過熱!その理由は?~女子、私大費用など要因~

 2021年度大学入試は、想定外の新型コロナウイルスの感染拡大と大学入試改革の二つのことが受験生を直撃しました。初の実施となった共通テストも無事に終了し、国公立大学、私立大学ともに前期日程が終わり、残すところ後期日程のみとなりました。

 特にコロナ禍の入試は、1年間にわたり、さまざまな負担を受験生に強いることとなりました。現役高3生は高校での授業進度の問題も大きく、また、部活や体育祭、文化祭などの学校行事も中止されました。昨年までなら、高3生は部活を引退した夏頃から気持ちを入れ替えて受験勉強に専念することできましたが、そのようなこともできずにダラダラとした生活を送る人もいたようです。

新宿駅前の街頭ビジョンに映し出された菅義偉首相の記者会見=2021年02月02日

 ◇コロナ禍の医学部人気

 今年の1月16(土)と17(日)の2日間で、初の共通テストは実施されました。翌日の18(月)には、多くの受験生が、河合塾やベネッセなどの大手受験業者が実施する自己採点会に参加しており、採点結果とともに出願を検討している大学名を記入し提出します。出願予定大学の「学部学科系統別」の集計結果を見ると、医学部医学科への人気が沸騰していることがわかります。例えば、河合塾の集計結果を見ると、少子化の中で国公立大学前期の医学部は前年比113%となっています。(2021年1月時点の集計結果)

 ◇世界経済と理系人気

 コロナ禍で世界経済が落ち込む中、今後、大卒の就職内定率が大幅に下がる可能性を考えれば、理科系で資格取得に関係する学部の人気が出てくるだろうと思います。過去もバブル崩壊後やITバブル崩壊後、リーマン・ショック後は、理系人気が高まりました。今回も全学部の系統別志願者を見ると全体的に理高文低となっており、今後、しばらくはこのような状況が続くのではないでしょうか。

 ◇社会貢献と医療系学部の人気

 加えて今回はコロナ禍という中、連日、ネットやテレビなどを通じて、医療の大切さを思い知らせた受験生も多かったと思います。そこで自分も社会貢献をしたいと感じた受験生もいたでしょう。もともと人気のあった医学部ですが、より一層の医学部人気につながったと思います。

 ところで、医学部以上に前年比が高かった学部があります。それは薬学部で、学部系統別で1番人気でした。これも、日々、われわれはワクチン開発のニュースを耳にしており、その影響は大きかったと思います。

 ◇昨年までの十数年間、医学部人気を支えていた理由は何か?

 長い間、医学部バブルと呼ばれるくらい人気が高い医学部ですが、そのバブルははじけることなく受験生の心をつかんでいます。労働環境の過酷さや日々変わり続ける医療の勉強をしなければならないことなど、医師になることの大変さについては、どの医学部志願者もある程度は分かっていると思います。それでも、医学部人気が堅調な理由には、次のことが考えられます。

 (1)職業としての安定性
 (2)女子の医学部進学者の増加
 (3)社会貢献したい人の増加と地域医療を担う医師の不足
 (4)私立大学医学部の学費減免や奨学金制度の充実

 (1)~(4)を簡単に補足すると、以下のようになります。

 (1)医師は経済の状況に左右されません。専門性が高く、一生涯をかけて医療という専門分野に専念できる仕事です。昔から「東大・京大よりも医学部へ!」と言われるのもうなずけますが、より一層、この状況は進んでいる感じがします。

 (2)医学部人気を支えているのは、女子の志願者が非常に増加していることも原因の一つです。ここ最近は、合格者や入学者が40%を超えている大学がたくさんあります。2020年度は、滋賀医科大学や聖マリアンナ医科大学は、入学者が50%を超えました。昔であれば看護師や薬剤師をめざしていた女子が、女性の社会進出に伴って医学部に志望を変更するケースも増えています。

 (3)先で書いたように、困っている人を助けたいと考える人が増えており、とりわけ医師という職業は、人の命に直接関わる仕事ということに魅力を感じているようです。ここ10年近くは、地域医療の問題がクローズアップされ、その解決策の一つとして、多くの医学部は「地域枠」での募集区分の定員を増加させてきました。このことも医学部人気につながっています。

 (4)私立大学の学費が高額であることは、誰もが知っていることです。6年間の学費は国公立大学だと、約350万円、私立大学だと平均3300万円ほどになり、その差は9倍以上にもなります。ところが私立大学の中には、奨学金制度や修学資金制度を利用することで、国公立大学の学費と同等か、または安くなる大学も多数あります。この場合は、主に「地域枠」として学生を募集する場合が多く、ほぼ全ての大学で「貸与」という形での募集ですが、医学部を卒業後に各大学が定める幾つかの条件を満たせば返還免除になります。

 また、学費が2000万円台の大学も増加した結果、一般家庭の中でも私立大学の医学部を第1志望にしている人もいます。

 これらを考えると、医学部人気は今後も継続することが予想されます。

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 ◇「覚悟」や「資質・適性」が問われる医学部進学 

 他の人の命に関わりながら社会貢献ができ、高収入で安定していることに着目をすれば、医学部進学はとても魅力的です。

 さて実際の医療現場というと、コロナ禍だけを考えても、常に死と隣り合わせの場合もあります。ただでさえ、医師の労働は「ブラック」と呼ばれて、「働き方改革」についてもようやく2019年から議論されることになりました。

 AIやICT、5G通信などの技術革新は、今後はものすごいスピードで医療現場にも入ってきます。また、医療だけの世界もiPS細胞などの再生医療やゲノム編集技術、コロナ禍で注目を浴びているmRNAワクチンなど、日々、新しいニュースが報道されており、医師になった際に、目の前にいる患者を治療する以外にも学ぶべきことがたくさんあります。

 つまり、あれもこれも含めて医師になる覚悟があるのかを問われる受験になるでしょう。学科試験はもちろんのこと、面接試験や小論文試験では、「覚悟」や「資質・適性」が評価の対象になります。

 医学部の面接試験で、「あなたは医師になったら何ができますか?」と問われたら、あなたはどのように面接官へ返答しますか?(医系専門予備校メディカルラボ 山本雄三)

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