治療・予防

脈の乱れ、心房細動の可能性も
~無症状のまま脳梗塞を発症(立川病院 三田村秀雄顧問)~

 心臓のリズムが異常を来す不整脈。立川病院循環器内科(東京都立川市)顧問の三田村秀雄医師は「不整脈は生理的に起こるものから、突然死の原因になるものまで幅広い」と話す。

脳梗塞の原因となる心房細動

脳梗塞の原因となる心房細動

 ◇治療は不要?

 心臓には電気系統が張り巡らされ、そこからの指令によって心筋がリズムよく収縮を繰り返し、血液を全身に送り出している。通常、この指令は右心房内の洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分から一定の間隔で心筋に送られているが、別の場所で指令が起きてしまうと心筋の収縮のリズムが乱れる。

 「心臓が血液を送り出すリズムを拍動として感じ取ることができるのが脈です。そのため、一般的には脈の乱れを不整脈と呼んでいます」と三田村医師。

 脈は睡眠中に遅く、運動時に速くなるなど変動する。健康な人でも一瞬脈が飛んだり途切れたりすることはある。一過性の余分な電気指令で起こるものを期外収縮と呼ぶが、原因となる心臓の病気がなければ大半が治療する必要はない。

 ◇脈を測る習慣を

 脈がばらばらになる不整脈の代表が、高齢者に多い心房細動だ。

 「これは主に肺静脈付近で発生した速く細かい異常な電気信号によって起こるもので、脈が完全に不規則になるのが特徴です。心房の筋肉が有効に収縮しなくなるため、血液の流れが滞って血栓ができ、それが流れて脳の血管に詰まると脳梗塞を引き起こします」

 心房細動はカテーテル治療の進歩で根治が目指せるようになったが、それは心房細動の診断がついていることが前提で、「半数近くは自覚症状がなく、ある日突然脳梗塞を発症してしまうこともあります」。心房細動が原因の脳梗塞は重症化しやすく、寝たきりになることも多い。予防には、日頃から自分の乱れを見逃さないことが重要だ。

 三田村医師は「手首で脈や心電図を確認できるスマートウオッチや、脈波が測定できる血圧計などがあります。脈の乱れを見つけたら、不整脈を専門とする医師に診てもらいましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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