治療・予防

広範囲の薄毛
~女性型脱毛症(西新宿サテライトクリニック 坪井良治院長)~

 薄毛で悩む女性は少なくない。特に40歳代ごろから「髪の量が少なくなった」「髪が細くなった」と気にする人が多くなるという。女性の薄毛の特徴や対処法について、脱毛症に詳しい西新宿サテライトクリニック(東京都新宿区)の坪井良治院長に聞いた。

薄毛の範囲が次第に広がる

薄毛の範囲が次第に広がる

 ◇原因は不明

 女性に生じる薄毛の代表格は「女性型脱毛症」。最初は髪の分け目が目立つ程度だが、次第に頭頂部の薄毛の範囲が広がり、地肌が透けて見えることもある。「後頭部を除く頭頂部、前側頭部が薄毛になる『パターン脱毛』と、1本1本の髪が細くなる『軟毛化』が特徴です」と坪井院長は説明する。男性ホルモンが関係する男性型脱毛症と違い、髪が完全に消失することはない。

 更年期前後に発症することが多いことから女性ホルモン(エストロゲン)との関連を示唆する報告もあるが、原因はよく分かっていない。「エストロゲンを補充しても薄毛は改善しません」。加齢、体質、生活習慣、ストレス、頭皮環境などさまざまな要因が関わって発症すると考えられている。

 間違われやすいものに「休止期脱毛症」がある。髪が生え替わるサイクル(成長期・退行期・休止期)のうち、成長が止まる休止期の髪が増えるもので、頭部全体から1日300本以上の髪が急に抜けるのが特徴だ。脱毛が始まる2~3カ月前に、原因となる出来事(新型コロナウイルスなどへの感染、ストレス、ダイエット、出産など)があることが多い。この場合、脱毛の原因を除去できれば、基本的に毛髪量は1年以内に回復する。

 ◇外用育毛剤で対策

 薄毛が気になっている場合、坪井院長は発毛促進効果が報告されている外用育毛剤ミノキシジル(承認された医薬品だが医療保険の適用外)の使用を勧めている。女性型脱毛症、休止期脱毛症のいずれにも有効で、処方箋がなくても薬剤師のいる薬局で購入できる。

 薄毛の改善が見られるまでに数カ月かかるので、根気よく使い続けるのがポイントだ。「効果を実感するために、使用前の頭髪の写真をスマートフォンなどで撮っておくとよいでしょう」。副作用は塗布部位のかゆみやかぶれなど。使用を止めると数カ月で元の薄毛の状態に戻る。

 日々のヘアケア、頭皮ケアも大切だ。シャンプーのし過ぎは髪や頭皮の油分が必要以上に取れ、髪が細くなる原因になる。洗髪後は髪と頭皮にヘアオイルをつけるのがよい。また、「髪をつくるタンパク質を含めて栄養バランスの良い食事を心掛けてください」と坪井院長は話している(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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