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気温上昇で夏バテに注意
~他の病気の可能性も~

 各地で真夏のような暑い日が続くが、気温が高いと、熱中症や夏バテになりやすい。どちらも日本の高温多湿な気候と密接に関連しており、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性がある。専門家は「夏バテ対策は梅雨明けから始めるのがいい。熱中症を気にする人が多いが、夏バテにも同時に注意してもらいたい」と訴える。

 ◇気力が低下、食欲不振

 熱中症と夏バテは似ているが明確な違いがある。熱中症は医学的な病名で、高温多湿な環境下で体温調節機能がうまく働かなくなり、脱水症状や体温上昇など目に見える形で急激に体調不良が現れる。

 一方、夏バテは病名ではなく、暑さや蒸し暑さによる自律神経とホルモンバランスの乱れが原因で起こる体調不良の俗称だ。具体的な症状としては、全身の疲労感や気力の低下、食欲不振睡眠障害などがある。熱中症は速やかな治療が必要とされるが、夏バテは基本的には必要ない。

夏バテへの注意を促す谷口英喜医師

夏バテへの注意を促す谷口英喜医師

 ◇過度の冷房と遮光も一因

 真夏はエアコンの設定温度を下げて長時間使いがちで、過度な使用は自律神経の乱れにつながる。暑さを避けるためにカーテンを閉め切り、屋外に出ない生活をすると、太陽の光を浴びることで分泌される「セロトニン」というホルモンが分泌されなくなる。セロトニンは精神を安定させる効果があり、夜間は睡眠ホルモンである「メラトニン」に変わるため、遮光は睡眠障害にもつながる。

 済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師は「暑さと蒸し暑さは直接的に影響するが、過度のエアコン使用や遮光、運動不足は間接的に夏バテを助長させる」と指摘する。

 また、夏の暑い時期に口にしたくなる冷たい飲食物は消化管に負担をかけ、食欲不振や消化不良を引き起こすことがあるため過剰摂取は禁物だ。谷口医師は「消化管に優しい常温かさゆがいい」と話す。

 ◇心掛けたい運動・入浴

 夏バテ対策では、エアコンの設定温度を適切に調整したり、夜間は設定温度を上げたりすることが大切だ。季節の変わり目など、涼しくなってきたらエアコンを切り、自力で体温調節を行うことも有効という。また、朝日を浴びてセロトニンの分泌を促すことや、ウオーキングやストレッチなど軽い運動で自律神経や血流の改善を促すことも重要だ。

 入浴も血流を良くして心身をリラックスさせ、自律神経を整えてくれる。谷口医師は「体温より少し高い程度の38~40度くらいの湯に10分程度ゆっくりつかるのがよい」と話す。

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