インタビュー

イヌ、ネコも「メンタル」になる=ペット病めば、飼い主ショック

 ◇過度な干渉避ける

 ペットが雷を怖がるときは、雷の音源が入ったCDを使って、小さな音から徐々に慣らしていく。場合によっては、薬も用いる。飼い主の過度な干渉が、ペットの問題行動を誘発することもある。イヌやネコが眠たそうにしているときに触ったりなでたりすると攻撃され、けがをすることも。特に小さな子どもの場合は、注意が必要だ。

 ネコで最も多いと考えられるのは、排せつの問題だ。海外の場合は、「もう耐えられない」と獣医師に相談したり、(収容施設である)アニマルシェルターに持ち込んだりするという。一方、日本人は自ら解決できる問題についてはお金を出してまで受診しない傾向がある。「日本人は忍耐強い。家中をネコのトイレだらけにしてもよいという飼い主もいる」と武内教授は話す。より問題なのは、常同行動だろう。同じ所でぐるぐると回る。光や影を追い続ける。毛布やセーターなどがボロボロになるまで吸い続ける。体の部位をなめ続けて、そこが脱毛してしまうことも。人間で言えば、強迫性障害に類似すると考えられている。

 イヌやネコにも、加齢に伴う認知障害がある。イヌがいつもいる部屋から別の部屋に行って戻って来ない。ネコが昼夜の別なくずっと鳴き続けるといった症状がそれだ。大型のイヌは比較的寿命が短いが、チワワやダックスフント、柴犬などの小型・中型犬はより長生きする。それだけに、認知障害のリスクは高まる。

 ◇新分野の動物行動学

 行動治療法は、武内教授が留学した米国などで20世紀末から少しずつ理解が広がった。同教授の帰国前後から日本でも研究が始まり、その臨床部門として行動診療科が発足している。同科には専任スタッフを置いているが、診察後のフォローなども必要なため、新患の受け付けは週に2~3件が限度。このため2カ月程度の予約待ちのイヌやネコがいるという。

 治療にはできるだけ多くの情報を治療前から収集する必要がある。受診前に飼い主が記載・提出する問診票は犬用と猫用それぞれA4判9ページ。問題行動についても同様で、内容や頻度だけでなく、行動を起こす際に共通するきっかけがあるか、行動に出る対象は決まっているのか無差別なのか―などを時系列に沿って克明に記入する。

 診察で活用されるのが「動物行動学」だ。動物の行動や習性の研究はかつて「生態学」とも呼ばれてきたが、現在では動物の行動を社会行動学的な手法も採り入れて解析する比較的新しい学問領域だ。このため、一般の獣医師の間にはまだ十分に浸透しているとは言えない。武内教授は「一生懸命勉強している獣医師も多いので、ペットの問題行動が気になる場合は、私が会長を務めている日本獣医動物行動研究会のホームページで、行動治療に理解のある最寄りの獣医師を探して受診してもらいたい」と話している。日本獣医動物行動研究会のURLは(http://vbm.jp/)。(喜多壮太郞・鈴木豊)

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