治療・予防

陥りやすい無謀な飲酒
急性アルコール中毒

 お花見に歓送迎会など、春は何かと飲み会の多いシーズン。酒の席が盛り上がってくると、つい湧き起こる「一気」コール。その結果、急性アルコール中毒で救急搬送される人も少なくない。久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の松下幸生(まつした・さちお)副院長に、その危険性や対処法について聞いた。

 ◇20歳代が4割

 大量のアルコールを短時間に摂取すると、血中のアルコール濃度が急激に上昇し、脳がまひを起こす。これが急性アルコール中毒だ。意識を失い、呼吸や心臓が止まってしまう危険もある。

 ゆっくり飲めば問題ない量でも、一気飲みのようにアルコールの分解速度が追いつかないような急ピッチで飲んでしまうと、急性アルコール中毒に陥る危険が高まる。アルコールを分解する酵素の働きが強い、いわゆるお酒の強い人でも、血中アルコール濃度が高まれば、急性アルコール中毒になるという。

 東京消防庁によると、2015年に急性アルコール中毒で救急搬送された人の数は1万5474人に上った。中でも20代が突出していて、全体の4割以上を占める。「こうした傾向は、以前から変わりません。若い人は、酔うこと自体に慣れておらず、自分の限界が分からないのが原因です」と松下副院長は説明する。

 適切なお酒の飲み方を教わる機会もないまま大学生や社会人になり、飲酒を始めてしまう。こうした環境も、若者の急性アルコール中毒が減らない要因だろう。

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