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悪性リンパ腫「ステージ4」でもツアー決行
ジャズドラマー・大隅寿男さん

 海原 治療中も演奏を続け、ツアーで各地を旅していたんですよね。体がきついこともあったと思いますが、副作用にはどう対処していたのですか。

 寿男 治療中は吐き気に襲われ、精神的につらいこともありましたが、医師や病院を信頼していましたし、演奏している時は忘れることができたので乗り切れました。ツアー中は、他のミュージシャンやファンの方々から励まされ、ありがたかったです。

 副作用は、先生から当たり前のことのように聞かされていたので、仕方がないかなと思っていました。「風邪を引かないように。他の薬を一切飲まないこと」「しっかり食べて、水分をとって頑張れ!」と言われていました。


 海原 治療を終えて、不安が生じることはありませんか。

 寿男 不安はいつもあります。主治医に「がん細胞が消滅しましたよ」と言われ、これからどのように予防し、生活していけばいいかを聞いたら、「予防法はございません。普通に生活されて、またなったら、なった時に考えればいいです」と言われて、何となく安心したことを思い出します。自分でも納得しています。国立がんセンターと医師には心から感謝しています。


 海原 息子の卓也さんに伺います。ご家庭ではどんなお父さんですか。大隅さんは娘さんたちともとても仲良しでご家族が結束なさっている感じがしますが、どのようにお感じになりますか。

 卓也 とにかくポジティブですね。いい加減な部分もありますが(笑)。仕事も遊び(ゴルフ)も一緒にやりますが、家でも変わらず明るいリーダーです。父親と言うよりは仲の良い先輩という感じでしょうか。姉や妹の家族ともフレンドリーな関係で、やはりそこでも明るい先輩ですよ(笑)。

(文 海原純子)

〔インタビュー後記・海原純子〕

 大隅さんの長女の夫は作家の東野圭吾さんと伺いびっくりしました。先日行われた東野さん原作の映画の公開イベントにも大隅さんは一家で来られ、家族のつながりの強さを感じました。寿男さん、卓也さん親子は一緒にステージで演奏なさることも多く、その姿はすてきです。そしてステージ4のリンパ腫を経験した方がパワフルにドラムを演奏しているということは、多くの人に勇気を与えてくれると思います。仕事をしながら治療をする、そして病気であることをあえて隠さない。それが大隅さんの強さだと感じました。大隅さんは70歳を超えていらっしゃいますがダンディーで、若い女性の追っかけファンもいて、いつも客席は満員。そのパワーに感服しています。


大隅寿男(おおすみ・としお)

福井県出身、明治大政治経済卒。大学時代にジャズドラムを始め、1969年からプロドラマーとして活躍。78年「大隅寿男トリオ」を結成。リーダーとして国内外のアーティストと共演。2005年スイングジャーナル誌が主催する日本ジャズ界に最も貢献した人物に贈られる「第30回南里文雄賞」を受賞。09年には音楽生活40周年記念盤として「Walk Don’t Run」 を発表。近年は長男卓也氏ともしばしば共演。


大隅寿男氏(右端)と卓也氏(右から2人目)、中央は海原純子氏

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