一流のレジリエンス~回復力~Dr.純子のメディカルサロン

朝ドラのヒロインは「何者かになりたい女子」
コラムニスト・矢部万紀子さん

 朝ドラに話を戻します。「カーネーション」という私の大好きな作品のヒロイン糸子は、コシノ三姉妹を育てた小篠綾子がモデルです。尾野真千子が演じた糸子は、勇気と正義感と商才にあふれる女子として描かれます。

 昭和の初めに東京の百貨店で火災があり、和装の制服を着た店員が多数死亡したことを新聞で知り、糸子は心斎橋の百貨店に制服を洋装にしないか、自分は作れると売り込みに行きます。洋装店を始めたばかりで、実績など何もない糸子だから、あっさりと断られます。でも、諦めず、何度もデザイン画を持っていき、何度も断られるうち、糸子はこう思うのです。「気に入られようとするからダメなんだ。自分が着たい制服を作ればいい」。

 私はこのエピソードが大好きで、著書にも他のメディアにも書いたのですが、この時、まだ糸子は10代です。すごいと思います。私は「自分の好きを大切にすることが、一番大切だ」と思っています。でもそういうふうに思い至ったのは、多分30代の半ばです。

 雑誌をつくることは大好きで、多少得意でもあったのですが、60歳までそれを続けるより、さっぱりと一人で生きてみようと思いました。息苦しい息苦しいと言いながら組織に縛られるのはやめようと決めたのです。56歳でした。雑誌づくりと同じくらい好きな文章を書くことを頑張ってみようと思い、生まれて初めて「売り込み」というのをし、本を出すことができました。これからも細々とでも、好きな文章を書いていこうと思っています。


 海原 組織の中で生きてきた方がフリーランスで仕事をするのはとても勇気がいることだと思います。組織は息苦しいですが組織の名前で仕事をできることもありそれが安心感につながることもあると思います。自分の名前で生きることは本当に自由に堂々と自分を主人公として生きる人生、50代で新しい人生をスタートする矢部さん、かっこいいですね。「働く女子の本音」委員会、またいたしましょう。

(文 海原純子)



矢部万紀子(やべ・まきこ)

1961年生まれ。コラムニスト。83年朝日新聞社入社、宇都宮支局、学芸部、「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。2011年に朝日新聞を辞めてシニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に就き、17年からフリーランスに転じた。



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