教えて!けいゆう先生

有名人の病気が報道されたら
情報への対応で注意すべきこと

 ◇報道だけで怖がってはいけない

 有名人が病気になると、「私は〇〇さんと同じ病気なのですが、大丈夫でしょうか?同じ治療を受けた方がいいでしょうか?」と患者さんによく言われます。前述の通り、病名が同じであっても他の条件が異なれば、治療の方法や対処法は全く異なります。その患者さんの病状に合った治療を受ける必要があります。

 「そうなのですね、〇〇さんがその治療をされているなら、あなたもやりましょう」という話にはなり得ないということです。また、「〇〇さんがかかった病気が怖いので、検診を受けたい」という方も必ず多くいらっしゃいます。特に、がんの場合はその傾向が強いと思います。しかし、「報道された病気を優先的に怖がる」ということが非合理的であるケースは多いのです。

 分かりやすい例を挙げるとすると、30代で喫煙者の肥満女性が、ある有名人が乳がんになったとの報道を見て、不安になって乳がん検診を希望されたとしましょう。おそらく私たちはまず、生活習慣病のリスクを下げるために肥満を改善し、肺がんなど呼吸器疾患のリスクを下げるため禁煙を優先してほしいと伝えるでしょう。そして、国が推奨している乳がん検診(対策型検診)の対象は40歳以上であり、現時点では優先順位が低い、と伝えることにもなるでしょう。

 どんな情報に接しても、個々のリスクを勘案して病気を予防する、あるいは早期発見に努める必要があることに変わりはありません。著名な方の病気が報道されると、誰しも不安になってしまうものです。しかし、そういう時ほど、その情報に冷静に向き合う必要があるということを私は強調したいと思います。

(参考文献)
公益財団法人 日本対がん協会ホームページ

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横浜市立大学医学部医学科同窓会 倶進会