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大腿骨骨折、余命にも影響
高齢者は寝たきりの危険

  ◇日本でも取り組み開始

総合南東北病院の松下隆外傷センター長

 日本でも、こうした動きが始まっている。

 12年にFNN日本を立ち上げた総合南東北病院の松下隆外傷センター長は「骨格の筋肉量の減少は50代から加速し、80歳までに20歳時点の3~4割まで減少する。ところが、大腿骨骨折によりベッドで安静にしていると、わずか1週間で加齢による4~10年分の筋力低下が起きてしまう」と、大腿骨骨折の治療が長引くことのリスクを強調する。

 日本人研究者による学術論文を基に具体的な数値として、治療1年後に「不自由なく歩ける」状態にある患者は26%にすぎず、47%が歩行に介助を必要としている、と説明した。

 さらに団塊の世代の高齢化が、問題をより深刻化させることが予想されている。2030年代以降、人口比率の高い団塊の世代が90代に達するため、大腿骨やその周囲を骨折する高齢患者の中心が80代から90代に移行するという推計もある。この推計が現実になった場合、骨折患者の手術やリハビリがより難しくなることが明らかだからだ。

富山市民病院で行われている大腿骨などの骨折患者の受け入れ図=松下隆センター長提供

 富山市民病院は病院全体で大腿骨周辺の骨折があった高齢者への対応を始めた。松下センター長は、同病院の澤口毅整形外科部長から提供された数値を基に作成した図などを使って紹介=照会。それによると、大腿骨周辺の骨折で来院した高齢者全員に対して、骨の脆弱性を確認する血液検査を実施する。

 その結果「脆弱性大腿骨近位骨折」と診断された場合、内科医による診察で全身状態を把握し問題がなければ、来院後3~5時間で骨折に対する手術を実施している、という。

 ◇歩行可能で退院の患者増

 松下センター長は「同病院では、脆弱性骨折患者を対象にした再骨折予防のための骨粗しょう症の薬物治療を受ける患者の比率が39%から81%に上昇した。歩行可能状態で退院する患者の比率も20%から52%に増加している」と指摘した。その上で大腿骨などの骨折治療の目的は骨がくっつくかどうかではなく、「歩行能力を再び獲得することを目標にすべきだ」と、FFNの狙いを語った。(時事通信社 喜多壮太郎・鈴木豊)

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