画像診断(X線CT、MRI、PET、エコーなど) 家庭の医学

 血液検査や症状からがんが疑われても、がんがからだのどこにあるのかわからなければ、治療に取りかかることはできません。乳がんや皮膚がんなどは、直接見たり、さわってみたりするだけでわかることがあります。また、胃がんや大腸がんなども内視鏡検査で直接がん病巣を見ることができますが、そのほかの多くのがんは直接見ることはできません。リンパ節転移もからだの外から触れることが可能な場合がありますが、触れることのできるリンパ節は限られており、多くは直接見たり触れたりすることはできません。そのような場合に役に立つのが、X線や超音波などを利用した画像診断です。

■X線検査
 X線検査には単純X線検査のほか、バリウムなどの造影剤を用いるX線検査があります。そのほかにX線CT検査やマンモグラフィなど、X線を利用したいろいろな画像診断技術ががん種に応じて用いられます。特にX線CTは単純X線検査に比較して多くの情報が得られ、広く普及しています。がんの治療戦略を立てるうえでは、もっとも大事な検査の一つです。しかし、X線を利用した検査では、X線被ばくが大なり小なり避けられませんので、被ばくによる健康被害に注意が必要です。最近は被ばく量の少ないCTも開発されています。

■MRI検査
 X線を用いていないため、被ばくはありません。撮影に時間がかかるのが欠点ですが、X線CT検査と並んで重要ながんの検査法の一つです。

■超音波検査(エコー検査)
 検査は無害なので、頻回に検査しても問題ありません。また、検査機器をベッドサイドに持ち込んで、検査することも可能です。精度はX線CTやMRIに劣りますが、簡便で広くおこなわれる検査法です。また、臓器の動きや、血液の流れを観察することもできる、優れた検査法です。

■PET検査
 放射線同位元素を注射して、がん病巣をとらえる検査です。がんの代謝の状態をみることができるので、X線CTやMRIと違った観点からがんを評価することができます。撮影に用いる放射性同位元素による被ばくがあることや、高額な検査であることが欠点です。

 このほかに、シンチグラフィ検査などさまざまな画像検査がありますが、それぞれの特性を生かしてがんの種類に応じた検査法を組み合わせておこないます。