健康増進法と健康日本21 家庭の医学

 生活習慣病などの増加を受け、厚生労働省は2000年から「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)を推進しています。まず壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸および生活の質の向上を実現することを目的とし、生活習慣病やその原因となる生活習慣等の国民の保健医療対策上重要となる課題について、10年後を目途とした目標等を設定し、国や地方公共団体等の行政だけでなく、関係団体等の積極的な参加および協力を得ながら、「一次予防」の観点を重視した情報提供等をおこなう取り組みを推進しました。
 2003年5月には、「健康日本21」の法的裏づけとなる健康増進法が施行され、このなかで注目されたのが第25条「受動喫煙の防止」です。多くの人が集まる施設の管理者に受動喫煙被害の責任を負わせ、受動喫煙の防止に必要な措置を講ずるよう努力義務を課しています。
 2013年には「健康日本21(第2次)」となり、乳幼児期から高齢期までのライフステージに応じて、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現し、社会保障制度が持続可能なものとなることを目的とし健康づくりが推進されました。さらに2023年5月①誰一人取り残さない健康づくりの展開(Inclusion)、②より実効性をもつ取り組みの推進(Implementation)をビジョンとして「健康日本21(第3次)」が策定され2024年度より開始される予定です。ここでは(1)健康寿命の延伸と健康格差の縮小(2)個人の行動と健康状態の改善(3)社会環境の質の向上(4)ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり(胎児期から高齢期に至るまでの人の生涯を経時的に捉えた健康づくり)の4つの柱を基本方針としています。

《参考URL》
厚生労働省 健康日本21(第三次)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21_00006.html

(執筆・監修:自治医科大学附属さいたま医療センター 総合医学第1講座 主任教授/循環器内科 教授 藤田 英雄)