治療・予防

薬局で残薬を伝える
~薬不足への対処(Fizz―DI 児島悠史薬剤師)~

 最近、薬局に処方箋を持って行っても、「在庫がないです」と言われるなど、薬不足が続いている。ウェブサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information~」を運営するFizz―DIの薬剤師、児島悠史さんに薬不足の背景や対処法を聞いた。

薬局で説明を

薬局で説明を

 ◇後発医薬品が不足

 2020年12月に明るみに出た後発医薬品メーカーが製造した抗真菌薬に睡眠導入剤成分が混入していた問題で、240人以上に健康被害が発生し業務停止処分が出た。他の後発薬メーカーも品質不正で業務停止になった。新型コロナウイルス感染症の流行期には、需要急増で解熱鎮痛薬が足りなくなることも。日本製薬団体連合会は22年12月、医薬品全体の約3割が供給不足になっていると発表した。

 一つのメーカーの医薬品が足りなくなると、別のメーカーの代替薬や類似薬にも不足が連鎖する。ただし、児島さんによると、その理由は、特定のメーカーの生産停止だけでなく、需要の急増や原薬供給を外国に頼っていること、低い薬価では採算が取れず製造販売中止になること―なども含め、さまざまな要因が重なったためという。

 ◇地域で分け合い残薬を活用

 「風邪症状に対するせき止めであれば、蜂蜜で代用することもできますが、血圧の薬などは代替できないため、難しい状況です」と児島さん。

 薬不足に対処するにはどうすればいいのか。「薬局の在庫は地域の人たち全員の物でもあります。奪い合うのではなく、必要な人同士で分け合ってほしい。風邪になったときに抗菌薬を欲しがるなど、不要な薬を求めるのはやめましょう。それだけでも、本当に必要な人に薬が届くようになります」

 自宅に薬が残っている人は、薬局でそのことを伝えることも重要だ。「飲み忘れなどで残薬が少なからずあると思います。薬局で、その薬の名前と残りの数を薬剤師に伝えてください」と児島さん。その残薬分、受け取る数を減らしてもらうことができる。ある程度のまとまった数であれば、薬代も安くなるなど患者にもメリットがある。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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