急性糸球体腎炎〔きゅうせいしきゅうたいじんえん〕 家庭の医学

[原因]
 A群β(ベータ)溶連菌に感染すると、体内にこの菌を攻撃する抗体というたんぱく質がつくられ、菌の成分と抗体が反応してできる免疫複合体が腎臓の糸球体(腎臓に入った動脈が枝分かれし、最終的に細い血管が糸球をつくり、尿排泄〈はいせつ〉物がこし出される部分)に沈着して起こります。

[症状]
 4~10歳くらいが好発年齢で、3歳以下にはほとんどみられません。溶連菌感染による咽頭炎や扁桃炎、皮膚のおできなどのあと、2~3週間して尿量の低下、顔のむくみが出てきます。高血圧のために頭痛をうったえることもあります。

[診断]
 尿検査では血尿、たんぱく尿をみとめます。急性期に血液検査で補体という免疫にかかわるたんぱく質が低下しているのが特徴です。

[治療]
 安静、水分制限、塩分制限をします。高血圧に対しては、尿をふやす利尿薬や降圧薬を用います。特にはじめの無尿・乏尿期の水分管理は厳重におこなう必要があり、食事の水分量を含めた飲水量、尿量、毎日の体重測定は必須です。塩分(ナトリウム)も原則的には制限が必要で、食欲が低下して異化(カロリー不足で体内のたんぱくが分解されて尿素窒素などが増加すること)を亢進(こうしん)し、全身状態を悪化させないようにします。
 血圧が正常化し、たんぱく尿が消失し、血液検査が正常化すれば退院ですが、その後1年間は定期的な経過観察が必要です。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
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