スモン 家庭の医学

 亜急性脊髄・視・神経症(Subacute-Myelo-Optico-Neuropathy)の頭文字をとってSMON(スモン)と呼ばれるようになりました。
 1955年ごろから日本各地で腹痛・下痢などの腹部症状を伴って、足から上行する感覚障害、運動障害を生じ、ついには視力障害(失明)にいたる病気が報告されるようになりました。合計で、1万人を超える患者が発生しました。
 70年ころにスモンの患者の97%に整腸下痢どめ薬として広く用いられていたキノホルムの服用があきらかになり、当時の厚生省はこれを受けてキノホルムの販売中止と使用見合わせを指示しました。この結果急速に発生が終息しました。
 症状はキノホルムを服用する原因となった下痢・腹痛とキノホルムによって起こされた腹痛・下痢・血便があります。神経症状は両下肢のジンジンとするしびれ感と下肢の運動まひが起こります。
 視神経障害は足のジンジンとする感覚が生じて1カ月以上たってから発病し、全盲にまで至ります。
 治療は後遺症に対しておこないます。国の特定疾患治療研究事業対象疾患(難病)に最初に指定され、原因の究明が進みました。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)