単純疱疹〔たんじゅんほうしん〕 家庭の医学

 粘膜や皮膚に小さい水疱(すいほう)を生じるウイルス性によるものです。原因ウイルスは単純疱疹ウイルスですが、体力低下、紫外線、免疫(めんえき)不全などが誘因となり発症します。発生した部位によりヘルペス性口内炎、口唇ヘルペスとに分けられます。

 ヘルペス性口内炎は6歳までの小児に多く、約1週間の潜伏期ののち、発熱を伴い口の粘膜全体に小さい水疱が多くみられます。やぶれてびらんになりますが、約2週間で治ります。いっぽう、口唇ヘルペスは20~30歳の女性に多く、赤唇と皮膚の境目に小さい水疱が多くみられます。やぶれてかさぶたとなり約1週間で治ります。
 血液中の単純疱疹ウイルスの抗体価を測定することにより診断がつくことがあります。発症から1週間前後で抗体価が上昇し始め、2~3週間で最高値となります。
 治療は症状を軽くするための対症療法をおこないます。重症になると抗ウイルス薬の全身投与や感染予防のための抗菌薬投与がおこなわれます。

【参照】
 皮膚の病気:単純ヘルペス(単純疱疹)

(執筆・監修:東京大学 名誉教授/JR東京総合病院 名誉院長 髙戸 毅)
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