ペルテス病〔ぺるてすびょう〕 家庭の医学

 就学前から小学生の、特に男児に多くみられる大腿骨頭(だいたいこつとう)の壊死(えし)性変化(大腿骨頭壊死)で、成長期に起こるため大人とは異なった経過をたどります。
 症状は跛行(はこう:足を引きずって歩く)が中心で、股(こ)関節の動く範囲の制限もみられます。成人の場合と異なり、痛みのうったえがそれほど強くないことが多く、跛行があるまま運動を続けていることも少なくありません。
 診察にはX線検査が有用で、X線写真で扁平(へんぺい)化などの特有の骨頭の変化があればペルテス病と診断されます。また、特に早期の症例ではMRI(磁気共鳴画像法)検査も診断に有用です。

[治療]
 特殊な装具を使って骨頭の変形が生じるのを防ぐ方法がおこなわれます。不幸にして骨頭の変形が生じてしまった場合には、将来的に変形性股関節症の発生が考えられますので、変形性股関節症が起こりにくいように骨のかたちをととのえる骨切り術がおこなわれることがあります。

(執筆・監修:東京大学大学院総合文化研究科 教授〔広域科学専攻生命環境科学系〕 福井 尚志)
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