発疹の種類 家庭の医学

 皮膚にでき、目で見、手でさわることのできる病変を発疹(ほっしん)と呼び、次のようにいろいろなものがあります。

■紅斑(こうはん)
 皮膚と同じ高さの赤い斑点で、境界がはっきりしています。皮膚毛細血管の拡張によるもので、圧迫すると赤みが消えます。全身の皮膚が赤くなった状態は“紅皮(こうひ)症”と呼びます。

■丘疹(きゅうしん)
 皮膚面からすこし高まったもので、多くは赤みをおびています。丘疹の頂点に小さな水疱(すいほう)をもっているものは“漿液(しょうえき)性丘疹”と呼ばれ、湿疹に固有のものです。これは、ひっかくと表面の皮膚が破れて、水が出て、ジメジメしてきます。このため湿疹という名があるわけです。

■膨疹
 虫に刺されたあとのようにふくらんでいる赤い斑は“膨疹(ぼうしん)”といいます。じんましんに特有の発疹です。

■水疱(すいほう:水ぶくれ)
 透明な液体が皮膚にたまったものです。これが濁って黄色になり、うみをもつと、“膿疱(のうほう)”といわれ、“にきび”や“とびひ”でみられます。

■痂皮(かひ:かさぶた)
 水疱や膿疱が破れると、皮膚のはがれたものが外のほこりといっしょになって内容の液体とまみれ、厚くかたまったものをつくります。これらが痂皮です。血がまじっていると血痂(けっか)、うみがまじって黄色いかさぶたをつくると膿痂(のうか)といいます。

■鱗屑(りんせつ:落屑〈らくせつ〉ともいいます)
 皮膚表面から角質が、大小の破片となってはがれ落ちてくるものです。ひっかくと、白い粉が落ちるように感じます。頭のふけはこの一つです。

■きれつ(ひび、あかぎれ)
 皮膚にできる線のように細い裂けめで、ほとんどは角質から表皮にできますが、時に真皮に及ぶ深いものもあります。乾燥や炎症によって起こります。手足、特に手の指、足の裏によくできます。

■びらん(ただれ)
 表皮の一部がはがれ(たとえば靴ずれのように)、また水疱(すいほう)、膿疱(のうほう)が破れて、鮮紅色のただれた皮膚面をむきだしにしている状態です。これは、表皮だけがはがれてできるので、治ればあとを残しません。

■潰瘍(かいよう)
 深く真皮や皮下組織に及ぶ皮膚の欠損で、治ったのちにあとを残します。

■結節(けっせつ)・腫瘤(しゅりゅう:こぶ)
 皮膚が盛り上がり、かたまりをつくった状態で、結節より大きいと腫瘤と呼びます。皮膚腫瘍の多くは、結節や腫瘤を形成します。
 皮膚病では、一つの病気の発疹は1種類と限らず、同時に2種類以上の発疹をもっているものが少なくありません。また、たとえば水疱→膿疱、水疱→びらん→痂皮といったように、一つの発疹からだんだんほかの発疹に移り変わっていって、同時にいくつかの発疹がまじっていることもよくあります。