リンパ浮腫〔りんぱふしゅ〕 家庭の医学

 リンパ管が感染や炎症、外傷、放射線照射、手術によるリンパ節の郭清(摘出)などにより閉塞したり、リンパ流が遮断されたり、先天的な形成異常などのためにリンパ液の還流が障害されるとリンパ浮腫を生じます。下肢のリンパ浮腫では、片側に発生して足部から大腿(だいたい)部まではれている場合が多く、皮膚をつまむと厚ぼったくなりますが、静脈血栓症のようなうっ血した皮膚の変色はみられません。乳がんの手術で腋窩(えきか)リンパ節の除去(郭清〈かくせい〉)がおこなわれると、リンパ管の流れがさまたげられ、上肢のリンパ浮腫が起こることがあります。
 軽症のものでは上肢・下肢の挙上や安静により腫脹(はれること)はもとに戻りますが、進行すると浮腫が残り、組織間質の線維化が進んでかたくなります。この時期には感染を起こしやすく、リンパ管炎を起こすとリンパ管の閉塞やうっ滞は、さらに高度となって浮腫が増悪(ぞうあく)する悪循環を起こします。もっとひどくなると皮膚の角化も高度となり、象の皮膚のような様相(象皮〈ぞうひ〉病)を呈しますが、現代ではまれです。
 リンパ浮腫が長く続いたものにリンパ肉腫という悪性腫瘍ができる例もありますが、きわめてまれです。
 治療は上肢・下肢の挙上やマッサージが有用ですが、日常生活のうえで長期にわたりマッサージが必要となるため、弾力の強い医療用弾性ストッキングや弾性スリーブ、グローブをしっかりと着用し、手足の清潔を保って感染の機会を少なくすることがもっとも大切です。弾性ストッキングを正しく着用すれば、10年、20年といった長期の観察でもそれほどわるくなる例はありません。運動療法などを組み合わせることもあります。
 これらの治療で十分でない場合は、リンパ管と細静脈をつなぎ合わせるリンパ管細静脈吻合(ふんごう)術などの手術が試みられることがあります。

【参照】
 血圧・血管の病気:リンパ浮腫
 形成外科:リンパ浮腫

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