病気別のリハビリテーション 家庭の医学

解説
 リハビリテーションの方法は病気によって異なりますが、家庭でおこなう際の共通要点は次のようになります。
□昼間は寝かせておかないこと
 ・背上げ・ひざ上げ・高さ調整などができるベッドを導入して、上半身を起こしておく。
 ・車椅子に座るようにする。
 ・ベッドわきに安定した椅子を置き、その椅子に座るようにする。
 ・畳に布団を敷いて寝ている場合、座椅子を利用して座るようにする。
□床ずれ(褥瘡〈じょくそう〉)の予防
 ・長く寝ている必要がある場合は、定期的に姿勢を変える(体位変換)。
□関節拘縮(こうしゅく)の予防
 ・関節の可動域(ROM:range of motion)を保つ運動を心掛ける。
□日中の覚醒リズムをつける
 ・「昼夜逆転」を防ぎ、ずれてしまった体内時計をリセットするために、環境が許せば「日光(朝日)を浴びる」方法を取り入れる。
 ・日中の活動の中で日光を浴びることで、日中の覚醒水準を高め、夜眠りやすい環境をつくる。
□転倒の予防に留意する
 ・車椅子を利用する場合は、ベッド、トイレの便座、通常の椅子などへの乗り移りのときにブレーキを確認し、必要に応じた介助を心掛ける。
□自分でできることは、できるだけ自分でするように見守る。ただし、無理はさせないこと。
□自立や介助に役立つ便利な道具や器具(自助具)を利用する。

□杖の長さは適切に、杖先ゴムはすりへったら交換すること。

□家族団らんにつとめ、親類や友人との接触の機会をもち、家に閉じこもらないこと。
□気分が落ち込んでいるときに、励ましすぎないことと、孤立させないよう配慮すること。
□エルゴメーターなど、家庭用運動機器の導入は、主治医と相談して決めること。
□電気、磁気、マッサージ器具など家庭用治療機器の導入は主治医と相談すること。
□福祉や介護保険制度の各種サービス(社会資源)を利用すること。

(執筆・監修:帝京大学医学部リハビリテーション医学講座 准教授 中原 康雄)