治療・予防

脂肪付かず痩せていく
まれな難病、脂肪萎縮症

 ◇レプチン補充が有効

 脂肪萎縮症による糖脂質代謝異常が、レプチン欠乏により生じることが分かってきたのは近年の研究による。レプチンは脳の視床下部に作用して食欲を抑制し、インスリン抵抗性を弱め、糖脂質代謝を改善する役割を持つホルモンだ。

 中尾特任教授は「脂肪萎縮症の人の体内には、レプチンが通常の10%未満しか存在しません。そこで、レプチンを補充する治療を行ったところ、糖尿病や高脂血症などの症状が劇的に改善されました」と説明する。

 脂肪萎縮症は国内の患者数が100万人に1人程度と非常にまれだが、日本人に多い「痩せ型」の糖尿病で体内に脂肪を貯蔵する能力が低い患者の中に、ごく軽度の脂肪萎縮症が隠れている可能性が注目されている。「脂肪萎縮症の研究は、太れない人と太り過ぎる肥満症の人の原因や病態の比較による解明、痩せ型糖尿病発症の解明なども含め、今後の新展開が期待されます」と中尾特任教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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