アフターピルの効果や副作用|いつまでに飲めばいい?副作用はない?

アフターピルの効果や副作用|いつまでに飲めばいい?副作用はない?

2023年8月1日

Pillクリニック新宿 院長 宮本 亜希子 先生

監修医師 宮本 亜希子(みやもと あきこ)

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日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 兵庫医科大学卒。 産婦人科専門医として保険診療と自由診療の両面から女性が人生のQOLを高められる治療に尽力。 専門は産婦人科全般で、周産期、婦人科美容、アンチエイジング、性教育などあらゆる世代の女性の悩みに寄り添う。3児の母でもあり、自身の経験を生かし、診療やメディア活動にも勤しんでいる。

アフターピルは、避妊に失敗した場合に性行為後72時間以内に使用することで妊娠を防止するための緊急避妊薬です。

しかし、アフターピルの効果や副作用、飲むタイミングなどについては知らない方も多いかもしれません。

この記事では、アフターピルの正しい使い方や注意点、効果や副作用について解説します。きちんと理解して不安を解消しましょう。

アフターピルとは性交渉後に使われる緊急避妊薬のこと

アフターピルは、性交渉後に妊娠を防止するために使われる緊急避妊薬です。例えば、コンドームが破れたり途中で外れてしまったり、避妊具を使わなかったりした場合などの避妊失敗時に使用されます。

性行為後72時間以内に使用することで効果を発揮しますが、できるだけ早く使用することが推奨されています。

アフターピルを服用することによって、卵巣から放出された卵子の受精を防ぎ、子宮内膜を薄くすることで着床を防止します。

しかし、妊娠を確実に防止するための完全な避妊方法ではありません。また、過度の使用は副作用を引き起こす可能性があります。

また、アフターピルを使用する前には必ず使用方法や注意点を理解し、副作用や飲み合わせに関する情報を収集することが大切です。

3種類のアフターピルそれぞれの効果について

現在市販されているアフターピルは3種類あり、それぞれ成分や服用方法によって効果が異なります。ここでは、3種類のアフターピルの効果について解説します。

ノルレボ・レボノルゲストレル:排卵を阻止・遅らせて妊娠しないようにする効果

ノルレボは黄体形成ホルモン(プロゲステロン)の一種であり、排卵を阻止・遅らせることで妊娠を防ぐ効果があります。

排卵とは、卵子が卵巣から放出されることを指します。通常、排卵が起こると、卵子は卵管内で精子と出会い、受精が行われます。

しかし、ノルレボを含む緊急避妊薬を避妊失敗後72時間以内に服用することで、排卵を阻止・遅らせることができます。服用までの時間が早いほど避妊率も高く、避妊失敗後24時間以内で99%・48時間以内で98%・72時間以内で97%の避妊効果があると言われています。

また、ノルレボには、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ作用もあるとされています。この作用は着床抑制効果と呼ばれ、受精卵が子宮内に入ってきても、子宮内膜に定着するのを防ぐ効果があるとされています。

※レボノルゲストレルはノルレボのジェネリック医薬品

プラノバール(ヤッぺ法):中用量ピル2錠を2回服用して妊娠を防ぐ

プラノバールは、中用量ピル2錠を2回服用することで妊娠を防止する方法です。この方法は「ヤッペ法」とも呼ばれています。

具体的には、避妊に失敗した場合や性的暴力被害などの緊急事態に対応するため、最初のピル2錠を24時間以内に服用し、12時間後に再び2錠を服用します。

性交渉後24時間以内に服用する場合、プラノバールに含まれるホルモン成分が排卵を抑制することで、避妊効果は97%以上となることが報告されています。

エラワン:副作用が少なく高い避妊効果がある

エラワンは、ピルの中でも高い避妊効果がありながら副作用が少ないことで知られています。

エラワンは、排卵を抑制することで妊娠を防止することができます。エラワンは、他の緊急避妊薬と比較して副作用が少ないことが特徴です。

副作用は吐き気、頭痛、下痢、腹痛などが報告されていますが、重篤な副作用はほとんどありません。

使用方法は、性交渉後72時間以内に1回1錠を服用することです。

日本国内ではノルレボ・レボノルゲストレルを医療機関や処方箋薬局で購入することができます。ただし、購入にあたっては医師の診察を受けて処方箋をもらう必要があり、適切な使用方法や注意点について事前に確認することが重要です。

また、長期的な避妊方法としては適しておらず、緊急時のみに使用することが推奨されています。

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アフターピルには吐き気や不正子宮出血などの副作用がある

アフターピルは緊急避妊の手段として広く利用されていますが、実は使用にあたって副作用に注意が必要です。

副作用の例として、吐き気や不正子宮出血などが挙げられますが、これらは使用する薬剤や服用した月経周期によって異なります。ここではアフターピルの副作用の中でも特によくある、吐き気や不正子宮出血について詳しく解説していきます。

吐き気

アフターピルを服用後、体内のホルモンバランスの変化によって吐き気が現れることがあります。吐き気はピルの副作用として多くの人に現れますが、多くの場合は数日で症状は緩和されていきます。

アフターピルを食事と一緒に摂ることで、胃の刺激を和らげ、吐き気の発生を軽減できる場合があります。

食事は脂っこい食べ物や胃を刺激するような食品を避け、軽い食事を摂ることをおすすめします。消化がしやすい食材や消化促進の効果のある食品を選ぶと良いでしょう。

嘔吐してしまうと薬の成分も一緒に体外に出てしまうことになるので、注意が必要です。

不正子宮出血

アフターピルに含まれる成分が体内のホルモンバランスを変化させることで、子宮内膜の一時的な剥離を引き起こし、通常の月経周期からはずれた出血が起こる場合があります。これが不正子宮出血です。

不正子宮出血の特徴は個人によって異なりますが、以下が一般的に見られる特徴です。

不正子宮出血に見られる特徴
出血量の増加通常の月経よりも出血量が多いことがあります。また、出血が比較的長く続くこともあります
出血の不規則性通常の月経周期から逸脱した不規則な出血が見られることがあります。また、周期や出血の間隔が通常と異なる場合があります
血の色や質の変化通常の月経とは異なる血の色や質が見られることがあります。鮮血や茶色っぽい血が混じることもあります
腹痛や下腹部の不快感不正子宮出血と共に腹痛や下腹部の不快感を感じることがあります。これは子宮内膜の一時的な剥離によるものです

その他の副作用

アフターピルの副作用としては、他にも腹痛・下痢・乳房の張り・だるさ・眠気・めまい・肌荒れなどが報告されていますが、どの症状も発生してから24時間程度で症状がおさまることがほとんどです。

副作用が強く出る場合は婦人科を受診し医師に相談しよう

もし副作用が強く出た場合は婦人科を受診し、医師に相談することをおすすめします。医師からは症状の軽減方法や、適切な対処法を教えてもらえます。

また、副作用が強く現れる場合は、アフターピルを使用しない方が良い場合があります。アフターピルは緊急時のみの使用を推奨していますので、適切な使用方法についても医師や専門のクリニックに相談しましょう。

アフターピルの効果時間はいつまで?

正しい使い方や効果時間を知ることは、意外なトラブルを避けるためにも大切です。アフターピルの効果時間は、使用する薬剤によって異なります。ここでは、アフターピルの効果時間について詳しく解説していきます。

ノルレボ、レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック医薬品):性交渉後24~72時間まで。95%以上の避妊効果

レボノルゲストレルは、性交渉後72時間以内に服用することで、避妊効果を発揮します。

正確には性交渉後24時間以内に服用する場合、避妊効果は95%以上になりますが、72時間以内に服用した場合でも避妊効果は高く、推定される避妊効果は58%から85%の間になります。

性交渉後72時間以内の服用が必要ですが、できるだけ早く服用することで避妊効果を高めることができます。

性交から服用までの時間による妊娠阻止率は、24 時間以内に服用した場合は 95%、25 ~ 48 時間で 85%、48 ~ 72 時間で 58%とされ、早期の服用により高い臨床効果が期待できる。

井手口直子. レボノルゲストレルの位置づけとオンライン診療下での投薬時の注意点. 診療と新薬, 2021, 58.2: 159-165.

プラノバール(ヤッぺ法):性交渉後24~72時間まで。97%以上の避妊効果

性交渉後24時間以内に服用する場合、避妊効果は97%以上になることが報告されています。

プラノバールは緊急避妊薬の中でも比較的高い避妊効果があります。性交渉後72時間以内に使用すれば、妊娠リスクを減らすことができます。

ただし、避妊効果は時間が経つにつれて低下するため、できるだけ早い服用が推奨されます。

エラワン:性交渉後120時間まで。約97.8%の避妊効果

※日本では厚生労働省未承認

エラワンは、性交渉後120時間以内に使用すれば、約97.8%の避妊効果があります。

ただし、できるだけ早い服用が推奨されます。性交渉後24時間以内に使用する場合、避妊効果は最大限に発揮されます。

避妊失敗後の経過時間~72時間48~120時間
妊娠率1.9%(1.5% , 3.2%)2.2%(1.1% , 3.1%)
FDA(米国食品医薬品局),ELLA (ulipristal acetate) tablet

しかし、どのアフターピルもあくまでも緊急避妊薬であり、定期的な避妊方法として使用することはできません。避妊方法としての選択肢を検討する場合には用量を守り、医師や薬剤師と相談することが望ましいです。

また、避妊効果が100%保証されるわけではありません。アフターピルを服用する場合でも、定期的な避妊方法を併用することが望ましいです。

アフターピルの効果を確認する方法について

アフターピルは緊急時に妊娠を避けることができる非常に有効な避妊方法の一つですが、効果を保証するものではありません。アフターピルの効果を確認するためには、いくつかの方法があります。

ピル服用後3日目以降に起きる出血は避妊成功のサイン

ピルを服用して3日目以降に起きる出血は通常、軽度の出血であり、継続的な出血ではありません。この現象は、ホルモンバランスが変化することによって起こる正常な現象であり、心配する必要はありません。

性交渉から約3週間以降または生理予定日から1週間後以降に妊娠検査薬で確認しよう

妊娠検査薬は、尿中に存在する妊娠ホルモンであるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を検出することで、妊娠の有無を判断します。通常、妊娠検査薬は性交渉から約3週間後、または生理予定日から1週間後に使用することが推奨されています。

これは、妊娠が成立するまでには受精卵が子宮内膜に着床してから数日〜数週間かかるためです。

また、妊娠ホルモンの分泌も着床後に始まるため、妊娠検査薬を早すぎる時期に使用すると、妊娠が成立していないために偽陰性となってしまい、正確な結果が得られない可能性があります。

アフターピルに関するよくある質問

アフターピルは薬局で買えますか?

一般的にアフターピルは処方箋薬局で購入することができますが、医師の診察を受けてから処方箋を貰う必要があります。

アフターピルは緊急避妊薬であり時間が重要なため、緊急性がある場合はできるだけ早く医療機関に相談することが重要です。

アフターピル服用後いつから性行為していいですか?

アフターピルを服用した後、避妊効果が得られるまでの期間は個人差がありますが、一般的には服用後7日間から14日間程度とされています。

ただし、アフターピル服用後に性交し、再び避妊に失敗した場合、その性交に関する避妊効果はありません。

また、アフターピルを使用する場合でも性感染症のリスクはあるため、コンドームを使用しましょう。

アフターピルを飲むとなぜ妊娠しないのでしょうか?

アフターピルに含まれる成分には、卵胞ホルモンや黄体ホルモンがあります。これらのホルモンが女性の卵巣や子宮内膜に影響を与え、妊娠を防ぎます。

アフターピルの種類にもよりますが、アフターピルに含まれるホルモンが女性の体内に吸収されると、卵巣からの卵子の排出を遅らせます。

これによって精子が卵子と出会う機会が減少し、受精を防ぎます。また、アフターピルに含まれるホルモンが子宮内膜の厚みを変化させることで、受精卵が着床することを防ぎます。

アフターピル服用後の妊娠率はどれくらいですか?

アフターピルの妊娠防止効果は、服用するタイミングや個人差などによって異なります。一般的には、アフターピルを正しく服用した場合の妊娠防止率は、24時間以内の服用で約80%から95%程度とされています。

ただし、アフターピルの効果は服用する時間が遅れるほど低下するため、避妊に失敗した場合、性交渉後できるだけ早く服用することが重要です。

アフターピルを飲んで何日後に生理がきますか?

アフターピルを服用した後の生理開始までの期間は、個人差があります。通常、アフターピルを服用した場合、次の月経は通常よりも早く出血することが多いです。ほとんどが月経予定日の7日後以内に月経がきます。月経が予定より7日以上遅れたり通常より軽い場合には妊娠検査を受けてみましょう。

アフターピルには卵子の排出を防いだり、子宮内膜の成長を抑制することで妊娠を防止する作用があります。しかし、アフターピルに含まれるホルモンが生理周期にも影響を与えるため、生理が通常よりも早くまたは遅れることがあります。

まとめ

アフターピルは、避妊に失敗した場合や性的暴力の被害者など、緊急避妊の必要がある場合に使用される薬です。アフターピルを適切に使用することで妊娠率を下げることができますが、100%妊娠を防げる訳ではありません。

また、アフターピルには副作用があり、吐き気・不正子宮出血・腹痛・下痢・乳房の張り・だるさ・眠気・めまい・肌荒れなどが報告されていますが、ほとんどの場合は軽度で一時的なものです。

アフターピルを使用する場合は、避妊失敗後できるだけ早く服用することが重要です。24時間以内に服用すると妊娠率を下げる効果が高まります。

また、アフターピルは緊急時に使用するためのものであり、定期的に使用することは推奨されません。

最後に、アフターピルはあくまでも緊急時に使用する方法であり、本来は事前の避妊方法を確実に行うことが望ましいです。性行為を行う前にはしっかりと相手と話し合い、避妊方法を選択することが大切です。

この記事の監修医師

Pillクリニック新宿 院長 宮本 亜希子 先生

監修医師 宮本 亜希子(みやもと あきこ)

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日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 兵庫医科大学卒。 産婦人科専門医として保険診療と自由診療の両面から女性が人生のQOLを高められる治療に尽力。 専門は産婦人科全般で、周産期、婦人科美容、アンチエイジング、性教育などあらゆる世代の女性の悩みに寄り添う。3児の母でもあり、自身の経験を生かし、診療やメディア活動にも勤しんでいる。
  • この記事を書いた人
伊藤 真実(Ito Mami)

伊藤 真実(Ito Mami)

健康・医療・美容ジャンルを得意とするライター。自ら施術やカウンセリングを受けて比較検証。さらに、専門的な知識を持つ医師への取材を重ね、信頼性の高いコンテンツ作りを心掛けている。